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本編
彼女の処遇
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捕まったミランダは観念したのか取り繕うのをやめた。クラリッサを襲わせようとしたことも、その目的もペラペラと話し、悲しい第二王子との悲恋の話もして、尚且つ本物のアリスと第二王子との不貞にまで話は及んだ。
話し終えた後の彼女はどう言う心境か期待のこもった瞳でこちらを見ている。同情してほしいのだろうか。
彼女の頭の中は、クラリッサには絶対に理解できない。どこに自分を危機に追いやろうとした人間に同情する者がいると思うのだろうか。
「貴女の事情は分かっても、同情はできないわ。」
クラリッサを嫌そうな顔で一瞬見た後、それでもまるで自分が可哀想な女のように表情を作る彼女の意識は、クラリッサよりも隣の男に向いていた。
どう考えても謝罪をする態度ではない。彼は助けてくれただけの護衛の代わりで、実際に被害に遭ったのはクラリッサなのだから。
「まあ、知ってたわ。」
ミランダは昔から変わらない。こんなだから、修道院に送られたのだ。反省もしないし、未だに自分の罪など理解していないから、自分の境遇に酔える。酔っていても、自分が加害者でしかないことに気がつかない。
アリス嬢とよく似ている。アリス本人には会ったことがないが、多分第二王子の好みのタイプはこういう女なのだ。他人の好みについて言うことはないが、傍迷惑な、と言いたくもなる。
「第二王子と一緒になっても、多分贅沢な暮らしはもうできないと思うわ。」
確かに彼らの考えでは、皆から祝福はされるようになるだろう。だけど、それから先は?現実を見たくないのか、彼女の話は、ハッピーエンドで終わっている。現実にはその先がまだまだ続くのに。
「贅沢なんて、そんなのは望んでいないわ。私は愛する人さえ側にいてくれたら、いいの。」
誰用の台詞かわからないが、彼女の発言は白々しい。
「そうか。なら、君はきっとずっと幸せさ。陛下は第二王子が結婚すれば、漸く第二王子を王籍から外せるし、心置きなく王太子に、王位を譲るだろうね。第二王子が君を選ぼうが、違う人を選ぼうがどちらも結果は同じだよ?」
彼女は彼の発言が心底腑に落ちない表情を浮かべている。少し考えればわかるだろうに。王太子ではない王子がたどる人生は、能力がある程度ある人であっても険しいものだ。ましてや、今まで好き勝手やっていたあの第二王子なら、これからも何かとやらかすに違いない。初めからその危険の芽を摘んでおくことを王家が考えないと何故思えたのだろう。
「王子のまま、なんて、そんな勢力争いを増長させるようなことをする訳ないだろう。君達は王家の人気取りに使われたあとは大人しくさせられるだろうね。そこから先は何があっても王家は構わない訳だから。」
ミランダの顔は青を通り越した白色になっている。彼女の自業自得であるが、クラリッサは胸がすく思いがした。
話し終えた後の彼女はどう言う心境か期待のこもった瞳でこちらを見ている。同情してほしいのだろうか。
彼女の頭の中は、クラリッサには絶対に理解できない。どこに自分を危機に追いやろうとした人間に同情する者がいると思うのだろうか。
「貴女の事情は分かっても、同情はできないわ。」
クラリッサを嫌そうな顔で一瞬見た後、それでもまるで自分が可哀想な女のように表情を作る彼女の意識は、クラリッサよりも隣の男に向いていた。
どう考えても謝罪をする態度ではない。彼は助けてくれただけの護衛の代わりで、実際に被害に遭ったのはクラリッサなのだから。
「まあ、知ってたわ。」
ミランダは昔から変わらない。こんなだから、修道院に送られたのだ。反省もしないし、未だに自分の罪など理解していないから、自分の境遇に酔える。酔っていても、自分が加害者でしかないことに気がつかない。
アリス嬢とよく似ている。アリス本人には会ったことがないが、多分第二王子の好みのタイプはこういう女なのだ。他人の好みについて言うことはないが、傍迷惑な、と言いたくもなる。
「第二王子と一緒になっても、多分贅沢な暮らしはもうできないと思うわ。」
確かに彼らの考えでは、皆から祝福はされるようになるだろう。だけど、それから先は?現実を見たくないのか、彼女の話は、ハッピーエンドで終わっている。現実にはその先がまだまだ続くのに。
「贅沢なんて、そんなのは望んでいないわ。私は愛する人さえ側にいてくれたら、いいの。」
誰用の台詞かわからないが、彼女の発言は白々しい。
「そうか。なら、君はきっとずっと幸せさ。陛下は第二王子が結婚すれば、漸く第二王子を王籍から外せるし、心置きなく王太子に、王位を譲るだろうね。第二王子が君を選ぼうが、違う人を選ぼうがどちらも結果は同じだよ?」
彼女は彼の発言が心底腑に落ちない表情を浮かべている。少し考えればわかるだろうに。王太子ではない王子がたどる人生は、能力がある程度ある人であっても険しいものだ。ましてや、今まで好き勝手やっていたあの第二王子なら、これからも何かとやらかすに違いない。初めからその危険の芽を摘んでおくことを王家が考えないと何故思えたのだろう。
「王子のまま、なんて、そんな勢力争いを増長させるようなことをする訳ないだろう。君達は王家の人気取りに使われたあとは大人しくさせられるだろうね。そこから先は何があっても王家は構わない訳だから。」
ミランダの顔は青を通り越した白色になっている。彼女の自業自得であるが、クラリッサは胸がすく思いがした。
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