幼馴染は不幸の始まり

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本編

暴走する男達

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「それで?お前は肝心のお嬢様を振り切って、ミリアに会いにきたと。最低だな。」
「いや、でもそう言っておけば、勝手に出歩くことはないだろう?だから、大丈夫だと。」
「妹君から届いた報告では、違ったみたいだな。」
「もう本当に、ご令嬢らしくない奴が多すぎる。大人しくしてられないのか。淑女教育は受けただろう。」
「……お前に言われたくないだろうよ。」

令嬢が来ると、置物みたいに黙って距離を取るだけのアルバートにここまで言わせるご令嬢とやらに会って見たかったが、ここには連れて来ていないらしい。

男は、アルバートとは最近の付き合いでしかないが、変人で有名な彼とはまるで旧知の仲のように見えていた。

「ダニエル・ファーリに目をつけられた女の子」というだけでも、凄い衝撃だが、それが本人には全く通じていないことが、男の興味を誘った。

「確かにイーサンを好きなら、ダニエルは真逆であるから好きではないだろうな。」
「いや、それがイーサンもそんなに、だそうだ。本人は幼馴染として心配なだけ、らしい。」

幼馴染に夢を見るのは大抵男の方だ。幼少期に植え付けられた優しく、裏表のない、ありのままの自分を見てくれる少女というのは、周りの環境が複雑なほど、心の支えとしていつまでも君臨する。

成長するに従い、取り巻く環境に変化が訪れ、幼少期のことなど薄れていくのが殆どの中で、変わらない気持ちを持ったまま体だけ大きくなっただけの男が、暴走に走る。

イーサン・フランも初めの初めに婚約者と出会っていれば、道を外すこともなかったのに。婚約者に本性を隠さなければ、ここまで人生を狂わせることはなかったのに。その点は少し同情する。

少し前に、アリス嬢を追って来たイーサンを捕まえたのはこの男だ。

ダニエルに勝手に死んだことにされていた侯爵子息1である。イーサンがあの頃ずっとアリスに粘着し、彼女の私生活を監視していたことも、彼女が逃げたがっていたことも、知っている。ミリアは気持ち悪い幼馴染から妹を守りたいと、自分に依頼をして来た。

ダニエルがクラリッサ嬢を手に入れて、第二王子に恩を売る為についた嘘を利用して、アリスを逃したのは自分だ。

アリスとミリアを一緒に逃してよかったことは、ダニエルに捕まってしまうと、彼の計画の為に濡れ衣を着せられて処分されてしまう恐れがあったことだ。

クラリッサ嬢が助けを求めた先がアルバートの妹で、アルバートまでミリアを追って来てしまったことが誤算といえばそうなるが、それは瑣末なことだ。

「イーサンはまだ喚いているのか。」
「罵詈雑言の嵐だ。アリスは俺がいないとただの役立たずだ、とか、何をやっても出来損ないのお前には俺が必要だとか、言いたいことを言っているが。あれで好かれようなんざ話にならんな。」

「クラリッサ嬢もあんな暴言を吐かれていたのかな。……いや、まああんまり気にはしなさそうだが。」

捕まったイーサンを見るアリスの目はゴミを見るかのようだった。好きな女にあんな目をされたら自分なら生きていけない。

「あいつは強メンタルだな。」
「だから、クラリッサ嬢と合ったんだろ。」

「クラリッサ嬢とやらに会ってみたいわ。絶対に面白い変人だ。お前をげんなりさせるぐらいだから相当だろ。」

「彼女を呼ぶことはできないが。お前を送ることはできる、どうする?」

アルバートにお前は帰らなくて良いのかと確認すると、「お前が彼女を守るなら俺はいらないだろ」とミリアを眺めながら言う。


「ミイラ取りがミイラになる、って言葉知ってるか。」
最後に問いかけた言葉はアルバートには届かなかったようで返事は返ってこなかった。




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