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本編
幼馴染の行方
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アリス嬢の失踪は、知らぬ間にすでに噂として広まっていた。クラリッサもイーサンも口を噤んだのに、姉のミリア嬢が大騒ぎしたことが原因らしい。
彼女は妹の行方不明を、どうしてもクラリッサの所為にしたいらしい。だが幸運にも、クラリッサの友人達からの反撃に遭い、口を閉ざした。
ダニエルが現れたのはそれからすぐのこと。中間報告と題して、いくつかの証拠を持って来てくれたのだった。
「残念な知らせと凄く残念な知らせがあるがどちらを先に聞きたい?」
「どちらにしても残念な知らせなのね。どちらでも一緒なら、いいわ。話しやすい方から教えて。」
「まず、残念な方から。アリス嬢はイーサンとそういう仲ではない。関係しているのは、ミリア嬢の方だ。とはいえ、二人は好きあっている訳ではない。一緒にいる内に偶々そうなったらしい。
ミリア嬢の婚約者も、元はアリス嬢の婚約者でこちらもミリア嬢が奪っていた。理由は何となく、だ。」
「妹の婚約者を奪ったの?ミリア嬢には婚約者はいなかったのかしら。」
「ミリア嬢には婚約したい人がいたのだが、叶わなかったそうだ。彼女は嫁に行くつもりで、だから、アリス嬢が家を継ぐことになっていた。」
「そう。それが残念な方なのね。なら、凄く残念な方ってそれ以上ってこと?」
「ああ、イーサンとミリア嬢は、アリス嬢を虐げている。毎日少量の毒を盛り、監禁して言うことを聞かせていた。
彼らが優秀だったのは、アリス嬢のおかげだ。アリス嬢は、実の姉と幼馴染に搾取され続けていたんだ。」
「何てこと!それはご両親もご存知なの?毒はどこから?」
ダニエルは話しづらい内容だったのか、手元の資料を差し出した。その資料によると、アリス嬢は、ずっと小さい頃から姉ミリアの為に存在していた。ミリアが王子様と結婚したいと言うから、ミリアにはたくさんの家庭教師を施したのだが、身につかず、代わりにアリスに丸投げした。また肝心の王子様には気に入られなかったらしい。
その後、妹を後継にと、彼女に婚約者を宛てがうと、その婚約者を欲しい、と姉が奪った。
ミリアは、本当ならイーサンと結婚したかったらしいが、妹から奪った婚約者を蔑ろにできず、結婚は此方として、イーサンは愛人として囲うつもりだったようだ。
だから、アリスがいなくなったことをクラリッサの所為にしようとした。
「アリス嬢が病弱だと言い出した時期には、ミリア嬢は、アリス嬢の婚約者と親密になっていた。で、今回俺が調べていたのは、このミリア嬢が奪った男なんだが、彼は侯爵家の嫡男ではないんだ。彼は嫡男を殺して、後継者に躍り出た疑惑が出ている。実はその男の亡くなった兄というのは、第二王子のご学友なんだ。調べている矢先に、此方の事情とかち合って、一緒に調べることにしたんだ。」
「ダニエルは、その件にもミリア嬢が関係していると思っているのね。」
「ああ、十中八九関係しているはずだ。今アリス嬢に盛った毒と、亡くなった男に使われた毒が一致するか確認をしている。」
「ということは、アリス嬢は」
「大丈夫。此方で安静に、保護しているよ。」
クラリッサは胸を撫で下ろした。
彼女は妹の行方不明を、どうしてもクラリッサの所為にしたいらしい。だが幸運にも、クラリッサの友人達からの反撃に遭い、口を閉ざした。
ダニエルが現れたのはそれからすぐのこと。中間報告と題して、いくつかの証拠を持って来てくれたのだった。
「残念な知らせと凄く残念な知らせがあるがどちらを先に聞きたい?」
「どちらにしても残念な知らせなのね。どちらでも一緒なら、いいわ。話しやすい方から教えて。」
「まず、残念な方から。アリス嬢はイーサンとそういう仲ではない。関係しているのは、ミリア嬢の方だ。とはいえ、二人は好きあっている訳ではない。一緒にいる内に偶々そうなったらしい。
ミリア嬢の婚約者も、元はアリス嬢の婚約者でこちらもミリア嬢が奪っていた。理由は何となく、だ。」
「妹の婚約者を奪ったの?ミリア嬢には婚約者はいなかったのかしら。」
「ミリア嬢には婚約したい人がいたのだが、叶わなかったそうだ。彼女は嫁に行くつもりで、だから、アリス嬢が家を継ぐことになっていた。」
「そう。それが残念な方なのね。なら、凄く残念な方ってそれ以上ってこと?」
「ああ、イーサンとミリア嬢は、アリス嬢を虐げている。毎日少量の毒を盛り、監禁して言うことを聞かせていた。
彼らが優秀だったのは、アリス嬢のおかげだ。アリス嬢は、実の姉と幼馴染に搾取され続けていたんだ。」
「何てこと!それはご両親もご存知なの?毒はどこから?」
ダニエルは話しづらい内容だったのか、手元の資料を差し出した。その資料によると、アリス嬢は、ずっと小さい頃から姉ミリアの為に存在していた。ミリアが王子様と結婚したいと言うから、ミリアにはたくさんの家庭教師を施したのだが、身につかず、代わりにアリスに丸投げした。また肝心の王子様には気に入られなかったらしい。
その後、妹を後継にと、彼女に婚約者を宛てがうと、その婚約者を欲しい、と姉が奪った。
ミリアは、本当ならイーサンと結婚したかったらしいが、妹から奪った婚約者を蔑ろにできず、結婚は此方として、イーサンは愛人として囲うつもりだったようだ。
だから、アリスがいなくなったことをクラリッサの所為にしようとした。
「アリス嬢が病弱だと言い出した時期には、ミリア嬢は、アリス嬢の婚約者と親密になっていた。で、今回俺が調べていたのは、このミリア嬢が奪った男なんだが、彼は侯爵家の嫡男ではないんだ。彼は嫡男を殺して、後継者に躍り出た疑惑が出ている。実はその男の亡くなった兄というのは、第二王子のご学友なんだ。調べている矢先に、此方の事情とかち合って、一緒に調べることにしたんだ。」
「ダニエルは、その件にもミリア嬢が関係していると思っているのね。」
「ああ、十中八九関係しているはずだ。今アリス嬢に盛った毒と、亡くなった男に使われた毒が一致するか確認をしている。」
「ということは、アリス嬢は」
「大丈夫。此方で安静に、保護しているよ。」
クラリッサは胸を撫で下ろした。
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