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妹が望む姉
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一般的な妹が望む姉と、ロザリアが望む姉は違う。方向性は真逆で、前者が、優しいとか妹を好きで甘やかしてくれる、とか厳しいけど愛してくれる、と言った様子なら、後者は、ロザリアのことを皆の前で虐める、か、人を使って酷い目に遭わせる、なんてのが、当てはまる。
ロザリアはこれまで、人を貶めて、自分を持ち上げる方法で生きてきた。多分それは母が子に望んだ生き方ではなかったが、彼女は自身が勉強やら努力をしなくても生きていける唯一の方法を見出したにすぎない。
人との差を見せつけたいなら、努力して自分を高みに持って行くか、周りの人を貶めて、自分より低い場所に置くかどちらかである。自分は特別でありたい。けれど努力はしたくない。だけどそのことで誹りは受けたくない。
それはアレクシスにも気に入られたやり方だった。
似た者同士の二人は、愚鈍と判断した父を味方に付けて、好き勝手に動いて行く。誰も自分達を止めないのを、許されているからだと勘違いし、助長して行くが、システィーナを始め、その様子はちゃんと見られていた。
決して許されたから、といった理由ではなく。
「いつも私がフォローしていたのが、悪かったのかもしれないわ。」
妹が何か粗相をする度に家の為と思い、うまくいくようにフォローしていたのが悪かったのかもしれない。
何度か「お姉様の評価を上げるために使われた」と文句を言われたりしたもの。家に多少迷惑をかけるとしても、母からの了承は得ているし、問題ないと、システィーナは切り替える。
「ロザリアの行動が明るみになれば、システィーナの価値は上がるわ。あんな妹の世話をしていたなんて、凄いわ、ってね。残念だけどそう言うことなのよ。」
貴族社会が合わないのなら、平民になる手もあるし、あれでも良いと、言ってくれる奇特な人はいるかもしれない。こうなったら、妹の好きにさせるしかないのだ。何を言っても聞かないのだから。
それで、社交界に居場所がなくなっても、自業自得。自分の責任は自分で持つでしょう。加担している兄や父にしてもそう。家での居場所がなくなったところで、大人だし、自分でどうにかするわよね?
申し訳ないのは、多分嫌でも巻き込まれる周りの友人達。仲の良い友人達は、妹の非常識な態度を怒っていたから、システィーナの態度に賛同してくれるだろうが、他の人にはどうしても迷惑をかけてしまうと思うと、今から居た堪れない気持ちになるのだった。
「大丈夫よ。アランなら貴女にしか興味はないから振り向かないし、貴女の害にしかならないなら、寧ろ適当な男性を紹介してくれるんじゃない?見た目は貴女に劣るけれど可愛らしい彼女なら、望まれることもありえるわよ。」
ルイーズの言うアランも彼女も知っている妹を望みそうな相手に心当たりはある。だけど、そんな都合よくいくかしら。
「ね、ピッタリじゃない?あの問題児が片付くのなら、バッチリお膳立てしてあげるわよ。妹は貴女より身分の高い人と婚姻できるし、見た目だけは良い二人はとてもお似合いだし、皆困らないわ。どうする?どうせ、社交界にいられなくなるなら、少しでも願いは叶えてあげたいと思わない?」
「姉としては少し考えさせてほしいけど、きっとあの子なら、飛びつくほどの話ね。いいわ。あの子が望むなら彼を引き合わせましょう。」
ロザリアはこれまで、人を貶めて、自分を持ち上げる方法で生きてきた。多分それは母が子に望んだ生き方ではなかったが、彼女は自身が勉強やら努力をしなくても生きていける唯一の方法を見出したにすぎない。
人との差を見せつけたいなら、努力して自分を高みに持って行くか、周りの人を貶めて、自分より低い場所に置くかどちらかである。自分は特別でありたい。けれど努力はしたくない。だけどそのことで誹りは受けたくない。
それはアレクシスにも気に入られたやり方だった。
似た者同士の二人は、愚鈍と判断した父を味方に付けて、好き勝手に動いて行く。誰も自分達を止めないのを、許されているからだと勘違いし、助長して行くが、システィーナを始め、その様子はちゃんと見られていた。
決して許されたから、といった理由ではなく。
「いつも私がフォローしていたのが、悪かったのかもしれないわ。」
妹が何か粗相をする度に家の為と思い、うまくいくようにフォローしていたのが悪かったのかもしれない。
何度か「お姉様の評価を上げるために使われた」と文句を言われたりしたもの。家に多少迷惑をかけるとしても、母からの了承は得ているし、問題ないと、システィーナは切り替える。
「ロザリアの行動が明るみになれば、システィーナの価値は上がるわ。あんな妹の世話をしていたなんて、凄いわ、ってね。残念だけどそう言うことなのよ。」
貴族社会が合わないのなら、平民になる手もあるし、あれでも良いと、言ってくれる奇特な人はいるかもしれない。こうなったら、妹の好きにさせるしかないのだ。何を言っても聞かないのだから。
それで、社交界に居場所がなくなっても、自業自得。自分の責任は自分で持つでしょう。加担している兄や父にしてもそう。家での居場所がなくなったところで、大人だし、自分でどうにかするわよね?
申し訳ないのは、多分嫌でも巻き込まれる周りの友人達。仲の良い友人達は、妹の非常識な態度を怒っていたから、システィーナの態度に賛同してくれるだろうが、他の人にはどうしても迷惑をかけてしまうと思うと、今から居た堪れない気持ちになるのだった。
「大丈夫よ。アランなら貴女にしか興味はないから振り向かないし、貴女の害にしかならないなら、寧ろ適当な男性を紹介してくれるんじゃない?見た目は貴女に劣るけれど可愛らしい彼女なら、望まれることもありえるわよ。」
ルイーズの言うアランも彼女も知っている妹を望みそうな相手に心当たりはある。だけど、そんな都合よくいくかしら。
「ね、ピッタリじゃない?あの問題児が片付くのなら、バッチリお膳立てしてあげるわよ。妹は貴女より身分の高い人と婚姻できるし、見た目だけは良い二人はとてもお似合いだし、皆困らないわ。どうする?どうせ、社交界にいられなくなるなら、少しでも願いは叶えてあげたいと思わない?」
「姉としては少し考えさせてほしいけど、きっとあの子なら、飛びつくほどの話ね。いいわ。あの子が望むなら彼を引き合わせましょう。」
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