僕はお人形を愛でる

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魔法使い

罪人

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王に集められた屈強な男達の大部分は、罪人だ。本人達は知ってか知らずか定かではないが、知らない方が幸せだ。それはこの仕事の危険度が高いからだ。王は四年前に死んだとされる元第一王子が生きていて逃げたと思っているらしい。魔封じの塔に残された遺体にも関係していて、放っておくと危険だと思っている。

だからといって自分の子を殺すなんて、と思っていたら、王子は王とは血が繋がっていないらしい。王宮内では周知の事実であると言う。

極端なことを言えば、この案件は死ぬ可能性が高い。罪人として処刑が先か、元王子に殺されるのが先か。そんな大差はない。

元第一王子に協力者がいるかどうかはわからないが、同じ頃に王妃の息子が王宮を出ており、行方がわからなくなっていることから、二人は一緒かもしれない。

この王妃の息子と言うのは、これまた複雑なのだが、王妃と前の夫の間に生まれた子で王家とは血が繋がっていない。息子本人は魔力がないようなので、彼が元王子の協力者だとしても、大して脅威にはならないだろう。

と、思ってた自分を殴りたい。

まさか元第一王子が王子ですらなく、魔力を持たない彼を守っているとは思わなかったのだ。迂闊な自分を責めても仕方がないが、もう少し早く知ることができれば、結末は変わっただろう。

罪人に紛れて私達は、王命に報いる為に、騎士と言う身分を隠しながら、元王子の足跡を追ったのだった。

騎士と言えど、王都に駐在しているわけではない私達は、安易に切り捨てられる存在として、都合の良い駒だったのだろう。

なくしたとしても痛くない。

そう思われているとも知らず、ただ武勲を立てることだけを夢見た。私達は、魔法は使えない。だから魔法を使う相手には戦いの術がない。それなのに捕まえる気満々だったのは、舐めてたからだ。

所詮は小さな子供、と侮っていた。

彼は人形遣いだと、聞いていたが意味はわかっていなかった。

彼が人形と認識したものは、そのものの意思にかかわらず、彼の人形にすることができる。それは、人間に対しても同じこと。

私達は、私達の意思ではない行為を強制されることになる。

一緒に行動していた何人かが、何も言わずに突如居なくなった。とは言え目的は同じだと気にも留めなかった。

そうしているうちに、次々と人は減り、私は一人になった。

身元不明の死体などは、出ていないようだから心配ないだろう。

不安はあったものの、立ち止まるわけにもいかず先へ進んだ。

その結果、私は人形になってしまった。
他の皆と同じように。

私の主は、幼い姿をしたドス黒いオーラを纏う少年だ。

これが元第一王子だと、わかったところでどうしようもない。すでに人形になってしまったのだ。人間になど戻れない。

その日から私は人形として、彼らに寄り添う日を過ごすことになった。





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