異世界で嫁に捨てられそう

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貴族令嬢に睨まれる嫁と似たものを感じる俺

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イケメン君達のアプローチはまだまだ続いていたが、俺のレベル上げと言う最重要課題が残っているため、クエストに向かうことにする。イケメン1~3号は、無駄に強いので守って貰うため、一緒に連れて行く。すっかり従者と化した俺は、荷物運びをする代わりに守って貰うつもりで、馬車に揺られていた。馬車を手配したイケメンのおかげだ。似たような風貌なので、どのイケメンかが曖昧だ。2号か?

かなこがふんわりと微笑んでお礼を伝えると、途端にいい雰囲気になった。顔面が自分と違い過ぎるせいで、嫉妬する自分をどの面下げて、と嗜める自分がいる。だって、無理でしょ。顔面偏差値特上の上ぐらいのイケメンに元の世界では中の下ぐらいかな?の俺が敵うわけないし。かなこはイケメンが好きなのかもハッキリしないし。態度をみていると、満更でもないけれど、タイプではない、って言う感触ではなかろうか。かなこは金髪碧眼より、実直剛健みたいなのが、好きだと思う。まあ、俺関係ないけどね。

そんなことより、先程から、やたらと目つきの鋭いご令嬢に睨まれている。明らかに貴族っぽいからできればあまり近づきたくないけれど。多分、かなこか、イケメン君達のどれかが目当てだろう。

自分には関係ないから失礼な想像をしてみる。彼女はイケメン君達の誰かの婚約者候補だったが、最近彼が別の女に夢中で、様子を見にきた、ってところか。うーん、それか、単に精霊王の愛娘に興味があるのか。精霊王の娘と言う肩書きが気に入らないのかな。気はキツそうだけど美人だし、かなこに害がないなら別に気にしないけど。何も言いにこないから、わからない。

どのみち、俺は従者と間違われるのがオチだ。

ああいうご令嬢ってツンとしているのがテンプレなんだろうか。普通にしていたら可愛いと思うのだが、中々貴族令嬢としては難しいのかな。

まあ、優しい態度ばかりじゃ、舐められて良いように利用されたりするのは何もこの世界だけの話ではない。そう言う俺だってかなこが何も言わないのを良いことに、舐め切った挙句、こんな風になっているのだから。


実はあのご令嬢はツンデレで、かなこのファンだけど言い出せないでいる、とかなら可愛いから応援するのに。

そこまで妄想してから、ご令嬢を見ると、まるでゴミを見るかのような目つきだ。

いや、ないか。

そんな目つきで俺を見ないで欲しいけど、ゴミ部分は合っているから何も言えません、はい。

こうしてみると、イケメン君と並んでるかなこは、日本にいた時よりも確実に美人になってると思うのだが、身内の欲目みたいなものだろうか。

ギリギリの夫婦生活を送ってる俺たちが身内と言えるのかは微妙だけど。

それか、これも精霊王の力?

こちらの世界のイケメンは、顔だけでなく、性格もイケメンみたいだし、かなこを幸せにしてくれそう。

俺はいつのまにか、すっかり張り合うことすらなくなって、イケメン君とかなこがどれだけお似合いかを受け止められるようになってきた。

かなこは未だに律儀にこちらの面倒を見てくれる。本来なら、空気を読んですぐにでもかなこの側から離れるべきだろう。

でも、きっとかなこが側にいないと今度こそ俺は駄目な気がする。

イケメン君と並んでいるのはたくさん見てるけれど、そんな資格などないと言うのに、嫉妬心がムクムクと頭をもたげている。先ほどの令嬢の目を見ていると、自分の顔を鏡で見ているような不思議な感覚に陥る。アレはやっぱり嫉妬だ。負の感情だと思う。

あんなに美人な顔と、似ているなんて失礼すぎて、口が裂けても言えないけれど。



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