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第二部 幸せに潜む奉仕活動

お兄様みたい

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図書館に入った後は、本の匂いを堪能して、小国の歴史などの本を読みましたが、あまり目新しいものはなく、少し残念ですが、そこで時間切れとなりました。もう少しで、ダフィット様の休憩時間ですので、お部屋に移動します。先ほど暴れていた方は、もう移動されていたようです。

ダフィット様のお部屋に向かおうとすると、また先程騒いでいた方が、いらっしゃいました。まあ、よく通る声ですこと。護衛の方は、こちらを見ると、心良く通してくださいました。先程と似た状況ですわね。部屋に入ると、女性の声はとても小さくなりました。防音設備がきちんとされています。寝ていてあれだけ騒がれたら煩くておちおち寝ていられませんもの。

ダフィット様に用事があるのなら、執務室に行けば良いのですが、警備は勿論いますもの。

そうしていると、ダフィット様が現れましたわ。私の顔を見て明らかにほっとされたご様子です。

「マリィ、あの人に何かされなかった?」
あの人とは、どの人でしょうか。
「あの、部屋の前であった人。煩い。」
「いいえ。何も。」
ダフィット様は私の返事に満足され、私をギュッと抱きしめてくださいます。あまり近づいてしまうと、私の心臓の音が聞こえてしまいます。ドキドキと煩いのです。

ダフィット様は、少し疲れた顔をされています。休憩時間を融通するのも大変なのでしょう。私の為に申し訳ないので、ダフィット様がゆっくりできるように私もお手伝いしたいですわ。

いつまで経ってもギュッと抱きしめているままなので、どうされたのかと、見上げると、またあの青い瞳があまりにも綺麗で見惚れてしまいます。ダフィット様に近づくと、小さく私の匂いを嗅いでるような様子があって、凄く恥ずかしくなりました。私、臭くないですわよね。

「マリィを連れて仕事に行きたい。」
想像して、恥ずかしくなります。一度、そう言われて連れて行かれた際、ずっとお膝に抱えられ座らされたので、もう騙されませんの。丁重にお断りいたします。

ダフィット様はとろとろにとろけた顔をされていて、先程までのキリッとした顔の方と同一人物とは思えません。

ダフィット様の顔を切り替えるスイッチはどこにあるのでしょうか。私はキリッとしたダフィット様を見ることはあまり叶わないので、少しだけ長めに鑑賞したいのですわ。

あ、そう言えば、外の女性が誰か聞くべきでしょうか?

「ダフィット様、あの、外の方はどなたか教えていただけるのですか?」
「マリィは知る必要はないけれど、あの小国の王女だよ。マリィには近づかせないから安心して。ユリウスを呼んでるから、送ってもらうといい。」
「小国の王女様とお話しはしない方が良いですか?」
「うーん、そうしてくれた方が私は安心だ。彼女の性格は苛烈で、マリィに何をするかわからないから。」
私に諭すようにお話しするダフィット様は、私と同じ年なのですが、たまにお兄様みたいに見えるのですわ。

ダフィット様がそう仰るのなら、好奇心で突き進むのはやめることにしますわ。
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