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第一部 奉仕活動報告
平和な日々
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エレナ様の教育係のお一人から、これから苛める仕事は引き継ぎます、とのお達しがあり、私は漸く役目を終えることができました。とは言いましても、ご期待にはとても添えませんでしたわ。苛めると言うことがどれほど難しいか身にしみましたわ。やはりプロに任せた方が良いのですね。エレナ様も、今では生き生きとされていて、本当の自分を見つけたようでしたわ。
前は少し露出の多い服装でしたのに、最近は淑女らしく肌の見えないデザインの服を好まれているようですわね。とてもお似合いですわ。
では、そもそも私達には共通点が元よりございませんでしたし、課題も終了しましたので、この辺りで、失礼いたしますわ。私、これから寄るところがございますので。ごきげんよう。
エレナ様達にさよならを告げてきました。やっと解放されましたわ。これから祝賀会でもやりたいくらいですわね。
私が密かにウキウキしていたのを、殿下はご存知のようでした。二人で祝賀会をしていただけるようです。わかってはいましたが、いつも通り膝の上です。私今回は頑張りましたのでご褒美が欲しいです。「何が欲しいの?」私の髪を撫でながら、殿下が甘い顔で話しかけてきます。うーん、何にしましょうか。ご褒美が欲しいと言ったものの、具体的には考えていなかったのですわ。
「考えていて。答えが見つかるまでキスして待つよ。」殿下がとんでもないことを言い出しました。これでは私のご褒美ではなくなってしまいますわ。でも、殿下を独り占めできる今は、ご褒美といえばご褒美でしょうか。凄く恥ずかしいですが。
あ、思いつきましたわ。
「何でも良いですか?」口を離して、問いかけると、「勿論。」と眼差しが美しいですわ。「卒業しても、ずっとお側にいたいです。」一瞬、間が空いたので、不安でしたが、殿下は大喜びで、「僕がずっと願っていたことだ。結婚しよう。今すぐでも良いけれど。」と、冗談なのか本気なのかわからないことをおっしゃいます。「ああ、でも、お願いだから卒業式の日に、もう一度こちらから言わせてくれる?どうしても、こう言うことは僕から言いたかったんだ。」子犬のような瞳でお願いされると、断れませんわ。
「ええ、勿論。お待ちしておりますわ。」卒業式まであと一年近くありますので、それまでに気が変わらないことを祈るばかりです。
「あ、忘れてた。」急に殿下が私に箱を渡しました。プレゼントみたいです。ご褒美でしょうか。
わくわくしながら、包みを開けました。
私は絶句しました。「これは、何でしょうか。」「マリィ専用の鞭だよ。可愛いでしょ?」殿下は新しい扉を開けようとしているのでしょうか?もしくはすでに開けてしまったのでしょうか?
そうですわよね。見なかったことにします。それが、一番平和なはずですもの。
前は少し露出の多い服装でしたのに、最近は淑女らしく肌の見えないデザインの服を好まれているようですわね。とてもお似合いですわ。
では、そもそも私達には共通点が元よりございませんでしたし、課題も終了しましたので、この辺りで、失礼いたしますわ。私、これから寄るところがございますので。ごきげんよう。
エレナ様達にさよならを告げてきました。やっと解放されましたわ。これから祝賀会でもやりたいくらいですわね。
私が密かにウキウキしていたのを、殿下はご存知のようでした。二人で祝賀会をしていただけるようです。わかってはいましたが、いつも通り膝の上です。私今回は頑張りましたのでご褒美が欲しいです。「何が欲しいの?」私の髪を撫でながら、殿下が甘い顔で話しかけてきます。うーん、何にしましょうか。ご褒美が欲しいと言ったものの、具体的には考えていなかったのですわ。
「考えていて。答えが見つかるまでキスして待つよ。」殿下がとんでもないことを言い出しました。これでは私のご褒美ではなくなってしまいますわ。でも、殿下を独り占めできる今は、ご褒美といえばご褒美でしょうか。凄く恥ずかしいですが。
あ、思いつきましたわ。
「何でも良いですか?」口を離して、問いかけると、「勿論。」と眼差しが美しいですわ。「卒業しても、ずっとお側にいたいです。」一瞬、間が空いたので、不安でしたが、殿下は大喜びで、「僕がずっと願っていたことだ。結婚しよう。今すぐでも良いけれど。」と、冗談なのか本気なのかわからないことをおっしゃいます。「ああ、でも、お願いだから卒業式の日に、もう一度こちらから言わせてくれる?どうしても、こう言うことは僕から言いたかったんだ。」子犬のような瞳でお願いされると、断れませんわ。
「ええ、勿論。お待ちしておりますわ。」卒業式まであと一年近くありますので、それまでに気が変わらないことを祈るばかりです。
「あ、忘れてた。」急に殿下が私に箱を渡しました。プレゼントみたいです。ご褒美でしょうか。
わくわくしながら、包みを開けました。
私は絶句しました。「これは、何でしょうか。」「マリィ専用の鞭だよ。可愛いでしょ?」殿下は新しい扉を開けようとしているのでしょうか?もしくはすでに開けてしまったのでしょうか?
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