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サミュエル 7歳 ローラ 12歳
王太子の秘密(ローラとの協定まとめ)
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王太子のデイヴィスは、ブラコンである。
巷では、ロリコン疑惑が急速に広まっているが、正しくは他所の幼児ではなく、実の弟が好きすぎる残念な王子なのだ。だから、今回の一連の騒動は、あの変態(デイヴィス)が、暴走した結果だ。
最終顔合わせ的な何かの前、私と王太子は協定を交わした。
王太子曰く、王太子が自信を持って、サミュエル様を任せても良い、と思える相手が現れるまで私が、当面の相手として、婚約者を演じてほしい、とのこと。
私としても、サミュエル様のお相手について、思うところがあり、その提案に乗ったのだけれど。
「あくまで、仮だからな。手を出したら殺すぞ?」
「そんな、サミュたんに手を出すなんて恐れ多いよ。」
「そうだ。お触り禁止だぞ。」
「じゃあ、あのサミュたんの相手はどうなるの?」
例の、不合格となった伯爵令嬢である。
「エミリー嬢は、こちらの候補として、最終的にふるい落とす。大丈夫。サミュエルに近寄らせることはない。」
でも、それじゃ、王太子のお相手探しがままならないのでは?
「俺のことはいい。然るべき時がくれば、相手など現れるものだ。お前だって、このまま俺と婚約なんて嫌だろう。ただし、俺が信頼できる女はお前だけなんだ。何が何でも女狐共からサミュエルを守れ。その為ならお触りを認める。」
やったー!言質取ったー!!
「わかりました。お互い、サミュたんの幸せのために、頑張りましょう!」
「あ、そうそう。言っておくが、サミュエルを泣かしたらクビだぞ。わかってるな。」
「クビ……不可抗力も、ですか?」
「不可抗力って何だ。」
「玉葱切って泣いたり……」
「サミュエルが玉葱を切ることはない!」
「足の小指をぶつけたり……」
「裸足で歩かないだろう。」
「……要は傷つけるなと言うことだ。あと、報告をしろ。サミュエルが今日何をしたか、と言うやつだ。影からも報告させているが、どちらかと言うと、それは外敵対策用だからな。」
うむ。さすが、ブラコン。自重って言葉を知らないようで何よりだ。
かくして、私と王太子は協定を結び、基本的にはお触り禁止のスタンスで、サミュエル様を守り隊を結成したのだった。
あと、王太子に言われた報告書は、「サミュたん成長の記録」と言うタイトルにした。そのせいで、侍女が最近冷たい気がするのだが、仕方ないよね。
仕事なんだもの。サミュたんを愛でると言う大切な仕事なんだもの。
私は毎日、王太子に感謝して、眠りにつくのであった。
因みに、サミュたんのお洋服は、私と王太子のセンスだ。
王太子が自分とお揃いにする!と言って聞かなかったので、一部お揃いにした。それをサミュたんが知るのは少しあとのことだ。
巷では、ロリコン疑惑が急速に広まっているが、正しくは他所の幼児ではなく、実の弟が好きすぎる残念な王子なのだ。だから、今回の一連の騒動は、あの変態(デイヴィス)が、暴走した結果だ。
最終顔合わせ的な何かの前、私と王太子は協定を交わした。
王太子曰く、王太子が自信を持って、サミュエル様を任せても良い、と思える相手が現れるまで私が、当面の相手として、婚約者を演じてほしい、とのこと。
私としても、サミュエル様のお相手について、思うところがあり、その提案に乗ったのだけれど。
「あくまで、仮だからな。手を出したら殺すぞ?」
「そんな、サミュたんに手を出すなんて恐れ多いよ。」
「そうだ。お触り禁止だぞ。」
「じゃあ、あのサミュたんの相手はどうなるの?」
例の、不合格となった伯爵令嬢である。
「エミリー嬢は、こちらの候補として、最終的にふるい落とす。大丈夫。サミュエルに近寄らせることはない。」
でも、それじゃ、王太子のお相手探しがままならないのでは?
「俺のことはいい。然るべき時がくれば、相手など現れるものだ。お前だって、このまま俺と婚約なんて嫌だろう。ただし、俺が信頼できる女はお前だけなんだ。何が何でも女狐共からサミュエルを守れ。その為ならお触りを認める。」
やったー!言質取ったー!!
「わかりました。お互い、サミュたんの幸せのために、頑張りましょう!」
「あ、そうそう。言っておくが、サミュエルを泣かしたらクビだぞ。わかってるな。」
「クビ……不可抗力も、ですか?」
「不可抗力って何だ。」
「玉葱切って泣いたり……」
「サミュエルが玉葱を切ることはない!」
「足の小指をぶつけたり……」
「裸足で歩かないだろう。」
「……要は傷つけるなと言うことだ。あと、報告をしろ。サミュエルが今日何をしたか、と言うやつだ。影からも報告させているが、どちらかと言うと、それは外敵対策用だからな。」
うむ。さすが、ブラコン。自重って言葉を知らないようで何よりだ。
かくして、私と王太子は協定を結び、基本的にはお触り禁止のスタンスで、サミュエル様を守り隊を結成したのだった。
あと、王太子に言われた報告書は、「サミュたん成長の記録」と言うタイトルにした。そのせいで、侍女が最近冷たい気がするのだが、仕方ないよね。
仕事なんだもの。サミュたんを愛でると言う大切な仕事なんだもの。
私は毎日、王太子に感謝して、眠りにつくのであった。
因みに、サミュたんのお洋服は、私と王太子のセンスだ。
王太子が自分とお揃いにする!と言って聞かなかったので、一部お揃いにした。それをサミュたんが知るのは少しあとのことだ。
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