上 下
4 / 33
サミュエル 7歳  ローラ 12歳

王太子の秘密(ローラとの協定まとめ)

しおりを挟む
王太子のデイヴィスは、ブラコンである。

巷では、ロリコン疑惑が急速に広まっているが、正しくは他所の幼児ではなく、実の弟が好きすぎる残念な王子なのだ。だから、今回の一連の騒動は、あの変態(デイヴィス)が、暴走した結果だ。

最終顔合わせ的な何かの前、私と王太子は協定を交わした。

王太子曰く、王太子が自信を持って、サミュエル様を任せても良い、と思える相手が現れるまで私が、当面の相手として、婚約者を演じてほしい、とのこと。

私としても、サミュエル様のお相手について、思うところがあり、その提案に乗ったのだけれど。

「あくまで、仮だからな。手を出したら殺すぞ?」

「そんな、サミュたんに手を出すなんて恐れ多いよ。」

「そうだ。お触り禁止だぞ。」

「じゃあ、あのサミュたんの相手はどうなるの?」

例の、不合格となった伯爵令嬢である。

「エミリー嬢は、こちらの候補として、最終的にふるい落とす。大丈夫。サミュエルに近寄らせることはない。」

でも、それじゃ、王太子のお相手探しがままならないのでは?

「俺のことはいい。然るべき時がくれば、相手など現れるものだ。お前だって、このまま俺と婚約なんて嫌だろう。ただし、俺が信頼できる女はお前だけなんだ。何が何でも女狐共からサミュエルを守れ。その為ならお触りを認める。」

やったー!言質取ったー!!

「わかりました。お互い、サミュたんの幸せのために、頑張りましょう!」

「あ、そうそう。言っておくが、サミュエルを泣かしたらクビだぞ。わかってるな。」

「クビ……不可抗力も、ですか?」

「不可抗力って何だ。」

「玉葱切って泣いたり……」

「サミュエルが玉葱を切ることはない!」

「足の小指をぶつけたり……」

「裸足で歩かないだろう。」

「……要は傷つけるなと言うことだ。あと、報告をしろ。サミュエルが今日何をしたか、と言うやつだ。影からも報告させているが、どちらかと言うと、それは外敵対策用だからな。」

うむ。さすが、ブラコン。自重って言葉を知らないようで何よりだ。

かくして、私と王太子は協定を結び、基本的にはお触り禁止のスタンスで、サミュエル様を守り隊を結成したのだった。

あと、王太子に言われた報告書は、「サミュたん成長の記録」と言うタイトルにした。そのせいで、侍女が最近冷たい気がするのだが、仕方ないよね。

仕事なんだもの。サミュたんを愛でると言う大切な仕事なんだもの。

私は毎日、王太子に感謝して、眠りにつくのであった。

因みに、サミュたんのお洋服は、私と王太子のセンスだ。

王太子が自分とお揃いにする!と言って聞かなかったので、一部お揃いにした。それをサミュたんが知るのは少しあとのことだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

正妃に選ばれましたが、妊娠しないのでいらないようです。

ララ
恋愛
正妃として選ばれた私。 しかし一向に妊娠しない私を見て、側妃が選ばれる。 最低最悪な悪女が。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

愛していないと離婚を告げられました。

杉本凪咲
恋愛
公爵令息の夫と結婚して三年。 森の中で、私は夫の不倫現場を目撃した。

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました

さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。 王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ 頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。 ゆるい設定です

英雄になった夫が妻子と帰還するそうです

白野佑奈
恋愛
初夜もなく戦場へ向かった夫。それから5年。 愛する彼の為に必死に留守を守ってきたけれど、戦場で『英雄』になった彼には、すでに妻子がいて、王命により離婚することに。 好きだからこそ王命に従うしかない。大人しく離縁して、実家の領地で暮らすことになったのに。 今、目の前にいる人は誰なのだろう? ヤンデレ激愛系ヒーローと、周囲に翻弄される流され系ヒロインです。 珍しくもちょっとだけ切ない系を目指してみました(恥) ざまぁが少々キツイので、※がついています。苦手な方はご注意下さい。

婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました

Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、 あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。 ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。 けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。 『我慢するしかない』 『彼女といると疲れる』 私はルパート様に嫌われていたの? 本当は厭わしく思っていたの? だから私は決めました。 あなたを忘れようと… ※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。

妹に魅了された婚約者の王太子に顔を斬られ追放された公爵令嬢は辺境でスローライフを楽しむ。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。  マクリントック公爵家の長女カチュアは、婚約者だった王太子に斬られ、顔に醜い傷を受けてしまった。王妃の座を狙う妹が王太子を魅了して操っていたのだ。カチュアは顔の傷を治してももらえず、身一つで辺境に追放されてしまった。

婚約者は、今月もお茶会に来ないらしい。

白雪なこ
恋愛
婚約時に両家で決めた、毎月1回の婚約者同士の交流を深める為のお茶会。だけど、私の婚約者は「彼が認めるお茶会日和」にしかやってこない。そして、数ヶ月に一度、参加したかと思えば、無言。短時間で帰り、手紙を置いていく。そんな彼を……許せる?  *6/21続編公開。「幼馴染の王女殿下は私の元婚約者に激おこだったらしい。次期女王を舐めんなよ!ですって。」 *外部サイトにも掲載しています。(1日だけですが総合日間1位)

処理中です...