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サミュエル 13歳 ローラ 18歳

新しい侍女

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最近新しく侍女が入ったんだけど、少し苦手。確かどこかの貴族のご令嬢で、兄上の側室になりたがっている人だと思うけど、何故か私の部屋に度々迷い込む。

「ごめんなさい。また迷ってしまって。」
そのセリフ二回までにしないといけないよ?

「君はよっぽど物覚えが悪いんだね。それか、私に近づいて暗殺でもしようとしているのかな?」

私が笑っていることに、機嫌を良くしているが、後ろ見てごらんよ。皆固まっているよ。

「いいえ、そんな。滅相もございません。私は、サミュエル様のことを考えすぎていたに過ぎませんわ。」

「ふーん。そう。それで?迷った、と言う言い訳は流石に苦しいと思うよ。何が目的なの?」

「目的だなんて……」

話している途中だと言うのに、どこか遠くを見ているようだ。気になって、彼女の視線を追うと、ローラに貰った刺繍入りのハンカチが目に入る。

侍女は気味の悪い笑顔で、落とし物をしたのだと、そのハンカチに向かって歩き出す。

彼女はあろうことか、そのハンカチを手に取ろうとするが、護衛に止められた。当たり前だ。勝手に王子の物を拝借しようなど。ただの泥棒ではないか。

「これは、ローラが私のために、刺繍を施してくれたハンカチだ。勝手に触ることは許さない。」

私は必死に凄んだが、恨めしそうな顔で、睨みつけてくる。何だか様子がおかしい。

「す、少しだけ、拝見してもいけないですか?」

私が不思議に思って、黙っていると、更に畳み掛けてくる。

「ローラ様が初めて刺繍されたハンカチと聞きましたわ。こちらは歴史的な一品なのです。」

私の手にあるハンカチを見ていない内から、口がよく回る。

「サミュエル王子殿下はとても、素敵な方ですが、あの、完璧なローラ様が唯一完璧でいられないお相手であることに胡座をかくことなく、お二人で高めあって頂きとうございます。」

「君は、ローラの何、なの?」
「下僕でございます。私、サミュエル様をお慕いしている可愛らしいローラ様が大好きなのです。あ、勿論、サミュエル様に対してよからぬ気持ちは一切抱いておりません。ご安心ください。」

安心と言われて、安心していいのか、迷う。ローラに害がないならいいのかな。

私の目の前で得意げな顔をしているこの侍女について、どうしたらいいかわからなくて、途方に暮れる。

私の困惑に満ちた視線を、周りに向けたが、受け止めてくれる者はいなかった。

とりあえず、ローラから一番離れた場所に配置されるように手配した。


なのに、たびたび彼女は、ローラの前に幾度となく現れた。ローラに気づかれないように彼女が目に入らないように、立ち位置を変える。ローラと会わせなかった理由は、最初はローラの身が心配なだけだったが、今は少し異なる。

何故だか、ローラと、混ぜては危険、な感じがした。もしかして、似た者同士なのでは?

不本意ながら、自分が感じた疑惑を払拭することは遂に出来なかった。
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