129 / 136
129.アランとの別れ
しおりを挟む
聖女の一行がサラモナに到着した翌日、俺達は早々に王都に向けて出発する事になった。
見送りにはサラモナの神殿関係者と、フラレスから来ている全員が集まっている。
聖女は怪我を治してもらった奴らが泣きながら感謝を伝えていたり、神殿関係者から惜しまれたり忙しそうだ。
こちらでは討伐作戦で一緒になった冒険者達が、意気投合した騎士団員と別れを惜しんでいる。
お前ら一緒に花街にでかけたりしたらしいからな、そりゃ仲良くもなるだろう。
ちなみに俺の前にはアランが泣きそうな顔で立っていた。
「兄貴……、本当は俺も一緒に王都へ行きたいんだけどよ……」
「バカを言うな。お前はフラレスで冒険者達をまとめるという役目があるだろ? それに……三十年以上アランとして生きてきたんだ、大和としての七年間よりずっと長い時間じゃないか。自分を認めてくれる場所があるのは幸せな事だからな」
生まれた時期も記憶を思い出した時も、もっと前に出会っていたとしてもどうしようもなかった。
むしろお互い前世を思い出す前に出会っていたら、俺がアランを無礼だと言って打ち据えていてもおかしくない。
だから今が出会う最適な時期だったのだろう。
「ああ……、そうだな。あと十年もしたら冒険者を続けるのも大変になるだろうし、それまでに後進を育てないと」
「王都に来た時は会いに来い。そうだな……、それこそ十年経って冒険者を引退したのならウチの屋敷で警備として雇ってやる。その頃には俺も結婚してるだろうから屋敷もあるだろう、アランも家族で来てもいいぞ」
「ははっ、俺もそれまでに結婚しねぇとな。けど二回失敗してるからなぁ……」
ここにきてまさかの答えが返ってきた。
すでに結婚した事があったのか。なんだろう、この複雑な気持ちは。
「次に結婚する事があったら、一応俺にも報せてくれ。お祝いくらいはしたいからな」
「じゃあ兄貴も結婚する時は教えてくれよな! お祝いしに王都へ駆けつけるからよ!」
「そうだな。冒険者ギルド経由なら連絡もつけやすいだろう。…………その前に邪神を討伐して平和にしないとな」
俺の呟きにアランがヒュッと息を飲んだ。
「邪神の復活……。冒険者の間でも噂になってるけどよ、やっぱり本当なのか?」
「ああ、だが場所がどこなのかすら不明なんだ。だが聖女と第三騎士団である俺達は確実に討伐に向かう事になる」
「兄貴……」
「そんな顔をするな。勝算はあるんだから!」
「わわっ!?」
再び泣きそうな顔になったアランの頭をワシャワシャと撫でる。
慌てるアランの服の裾をジェスがクイクイと引っ張った。
「あのねぇ、討伐にはボクもボクのお母さんも一緒だからジュスタンを守るよ。だから安心して」
「陽向兄ちゃん……」
「ジェスだよ!」
心強い笑みを見せたジェスに、思わず陽向の名前を出して怒られるアラン。
「わ、悪ぃ……。頼んだぜ、ジェス」
「うん!!」
アランとジェスが拳をコツンと合わせていると、アクセルがもう出発すると全員に告げた。
一行から見送りに来ていた者達が声をかけながら離れていく。
「兄貴、ジェス、元気でな!!」
「ああ、アランも怪我をしないように気をつけろ」
「じゃあね、アラン!」
そうしてサラモナを出発したのはひと月ほど前。
聖女の希望もあり、宿屋を利用せず進めるだけ進んで野営するという方法で移動を続けたおかげで、トラブルもなく王都に到着した。
「くぅ~、やっと自分のベッドで眠れるぜ~!」
シモンがガッツポーズしながら喜んでいる。
「寝袋だと寝返りも打ちにくいもんね。でも一番喜んでるのは従騎士の子達だろうねぇ、食事作りから解放されるんだもん」
「そりゃ嬉しいですけど、オレール副団長の方が嬉しいんじゃないですか? やっと婚約手続きして逢瀬解禁になるんですから」
アルノーがマリウスを見ると、マリウスは目尻の下がっているオレールに視線を向けた。
あの様子じゃあ、到着直後に婚約届を出しに行くんじゃないだろうか。
同行していた神官長は知っているだろうが、神殿長からしたら寝耳に水だろうな。
だがまぁ、あの神殿長なら邪神討伐で先陣を切るであろう俺達と繋がりが太くなるなら……とか考えそうだから問題はないと思うが。
元々懐は広いタイプだろうし。
「では我々は神殿へ戻りますので。ジャンヌ殿はこちらで屋敷へ送らせていただきますが、ジェス殿はいかがされますか?」
南東の門から王都に入ったので、途中にある広場で分かれ道となる。
アクセルが隊列を止めて話しかけてきたが、その時馬車のドアが開いてジェスが降りてきた。
「じゃあね! ボクここからジュスタンと行くから! ジュスタン、ここで別れて宿舎へ帰るでしょ?」
「ああ。よくわかったな」
聞くまでもなくジェスはジャンヌ達に別れを告げて、こちらに走ってきた。
両手を上げて俺を見るジェスを、抱き上げて前に乗せる。
「それでは……、恐らく明日には謁見の間でお会いする事になるでしょう。お疲れ様でした」
「ああ、大変だったな。……お互いに」
道中、会話できないからと隙あらばアイコンタクトをしようとする二人を、お互いの視界に入れないようにするのが大変だったのだ。
オレールは命令違反をして聖女に近付く事はないものの、見つめ合う二人はどこからどう見ても愛し合う二人だとバレるので仕方がない。
アクセルは最後に疲れた微笑みを浮かべ、聖騎士達は角を曲がって行った。
さて、明日は俺もオレールと聖女の事を陛下に報告しないといけないんだよな。
この事を知ったエルネストがどう出るか……。こっそりとため息を吐いてから宿舎へと戻った。
見送りにはサラモナの神殿関係者と、フラレスから来ている全員が集まっている。
聖女は怪我を治してもらった奴らが泣きながら感謝を伝えていたり、神殿関係者から惜しまれたり忙しそうだ。
こちらでは討伐作戦で一緒になった冒険者達が、意気投合した騎士団員と別れを惜しんでいる。
お前ら一緒に花街にでかけたりしたらしいからな、そりゃ仲良くもなるだろう。
ちなみに俺の前にはアランが泣きそうな顔で立っていた。
「兄貴……、本当は俺も一緒に王都へ行きたいんだけどよ……」
「バカを言うな。お前はフラレスで冒険者達をまとめるという役目があるだろ? それに……三十年以上アランとして生きてきたんだ、大和としての七年間よりずっと長い時間じゃないか。自分を認めてくれる場所があるのは幸せな事だからな」
生まれた時期も記憶を思い出した時も、もっと前に出会っていたとしてもどうしようもなかった。
むしろお互い前世を思い出す前に出会っていたら、俺がアランを無礼だと言って打ち据えていてもおかしくない。
だから今が出会う最適な時期だったのだろう。
「ああ……、そうだな。あと十年もしたら冒険者を続けるのも大変になるだろうし、それまでに後進を育てないと」
「王都に来た時は会いに来い。そうだな……、それこそ十年経って冒険者を引退したのならウチの屋敷で警備として雇ってやる。その頃には俺も結婚してるだろうから屋敷もあるだろう、アランも家族で来てもいいぞ」
「ははっ、俺もそれまでに結婚しねぇとな。けど二回失敗してるからなぁ……」
ここにきてまさかの答えが返ってきた。
すでに結婚した事があったのか。なんだろう、この複雑な気持ちは。
「次に結婚する事があったら、一応俺にも報せてくれ。お祝いくらいはしたいからな」
「じゃあ兄貴も結婚する時は教えてくれよな! お祝いしに王都へ駆けつけるからよ!」
「そうだな。冒険者ギルド経由なら連絡もつけやすいだろう。…………その前に邪神を討伐して平和にしないとな」
俺の呟きにアランがヒュッと息を飲んだ。
「邪神の復活……。冒険者の間でも噂になってるけどよ、やっぱり本当なのか?」
「ああ、だが場所がどこなのかすら不明なんだ。だが聖女と第三騎士団である俺達は確実に討伐に向かう事になる」
「兄貴……」
「そんな顔をするな。勝算はあるんだから!」
「わわっ!?」
再び泣きそうな顔になったアランの頭をワシャワシャと撫でる。
慌てるアランの服の裾をジェスがクイクイと引っ張った。
「あのねぇ、討伐にはボクもボクのお母さんも一緒だからジュスタンを守るよ。だから安心して」
「陽向兄ちゃん……」
「ジェスだよ!」
心強い笑みを見せたジェスに、思わず陽向の名前を出して怒られるアラン。
「わ、悪ぃ……。頼んだぜ、ジェス」
「うん!!」
アランとジェスが拳をコツンと合わせていると、アクセルがもう出発すると全員に告げた。
一行から見送りに来ていた者達が声をかけながら離れていく。
「兄貴、ジェス、元気でな!!」
「ああ、アランも怪我をしないように気をつけろ」
「じゃあね、アラン!」
そうしてサラモナを出発したのはひと月ほど前。
聖女の希望もあり、宿屋を利用せず進めるだけ進んで野営するという方法で移動を続けたおかげで、トラブルもなく王都に到着した。
「くぅ~、やっと自分のベッドで眠れるぜ~!」
シモンがガッツポーズしながら喜んでいる。
「寝袋だと寝返りも打ちにくいもんね。でも一番喜んでるのは従騎士の子達だろうねぇ、食事作りから解放されるんだもん」
「そりゃ嬉しいですけど、オレール副団長の方が嬉しいんじゃないですか? やっと婚約手続きして逢瀬解禁になるんですから」
アルノーがマリウスを見ると、マリウスは目尻の下がっているオレールに視線を向けた。
あの様子じゃあ、到着直後に婚約届を出しに行くんじゃないだろうか。
同行していた神官長は知っているだろうが、神殿長からしたら寝耳に水だろうな。
だがまぁ、あの神殿長なら邪神討伐で先陣を切るであろう俺達と繋がりが太くなるなら……とか考えそうだから問題はないと思うが。
元々懐は広いタイプだろうし。
「では我々は神殿へ戻りますので。ジャンヌ殿はこちらで屋敷へ送らせていただきますが、ジェス殿はいかがされますか?」
南東の門から王都に入ったので、途中にある広場で分かれ道となる。
アクセルが隊列を止めて話しかけてきたが、その時馬車のドアが開いてジェスが降りてきた。
「じゃあね! ボクここからジュスタンと行くから! ジュスタン、ここで別れて宿舎へ帰るでしょ?」
「ああ。よくわかったな」
聞くまでもなくジェスはジャンヌ達に別れを告げて、こちらに走ってきた。
両手を上げて俺を見るジェスを、抱き上げて前に乗せる。
「それでは……、恐らく明日には謁見の間でお会いする事になるでしょう。お疲れ様でした」
「ああ、大変だったな。……お互いに」
道中、会話できないからと隙あらばアイコンタクトをしようとする二人を、お互いの視界に入れないようにするのが大変だったのだ。
オレールは命令違反をして聖女に近付く事はないものの、見つめ合う二人はどこからどう見ても愛し合う二人だとバレるので仕方がない。
アクセルは最後に疲れた微笑みを浮かべ、聖騎士達は角を曲がって行った。
さて、明日は俺もオレールと聖女の事を陛下に報告しないといけないんだよな。
この事を知ったエルネストがどう出るか……。こっそりとため息を吐いてから宿舎へと戻った。
433
お気に入りに追加
2,587
あなたにおすすめの小説
ドン引きするくらいエッチなわたしに年下の彼ができました
中七七三
恋愛
わたしっておかしいの?
小さいころからエッチなことが大好きだった。
そして、小学校のときに起こしてしまった事件。
「アナタ! 女の子なのになにしてるの!」
その母親の言葉が大人になっても頭から離れない。
エッチじゃいけないの?
でも、エッチは大好きなのに。
それでも……
わたしは、男の人と付き合えない――
だって、男の人がドン引きするぐらい
エッチだったから。
嫌われるのが怖いから。
婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた
cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。
お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。
婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。
過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。
ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。
婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。
明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。
「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。
そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。
茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。
幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。
「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?!
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。
★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません
【完結】婚約破棄をめぐる思惑~魅了の指輪を使われて婚約破棄されました~
蜜柑
恋愛
15歳から18歳までの貴族が通い、学びながら交流関係を築くネピア王国の王立貴族学園のホールで、侯爵令嬢のルイーズは婚約者である王太子のネイサンに、商人の娘のモニカを好きになったからと婚約破棄を告げられる。その上、ルイーズはモニカを虐めたという濡れ衣をかけられてしまう。
婚約者になって、仲良くしていたはずなのにどうして急に態度が変わってしまったの?
困惑するルイーズだったが、モニカが身に着けている指輪に何か秘密があるようで……。
そんなルイーズを助けたのは、隣国から留学中のリアムだった。
リアムから婚約を考えて欲しいと言われたルイーズは――。
(ざまぁあんまりありません。すっきりしないかもしれません。)
成り損ないの異世界譚
深海めだか
BL
勇者として召喚されながら勇者にはなれなかった受けが、あることをきっかけに攻めから離れようとする話。
執着心強め勇者×不憫平凡受け。
安定で受けが可哀想なんですが、私にしては珍しくハッピーエンド風になりました(なんで?)
⚠︎以下注意⚠︎
・結腸責め
・無理矢理
・受けの嘔吐
猫耳幼女の異世界騎士団暮らし
namihoshi
ファンタジー
来年から大学生など田舎高校生みこ。
そんな中電車に跳ねられ死んだみこは目が覚めると森の中。
体は幼女、魔法はよわよわ。
何故か耳も尻尾も生えている。
住むところも食料もなく、街へ行くと捕まるかもしれない。
そんな状況の中みこは騎士団に拾われ、掃除、料理、洗濯…家事をして働くことになった。
何故自分はこの世界にいるのか、何故自分はこんな姿なのか、何もかもわからないミコはどんどん事件に巻き込まれて自分のことを知っていく…。
ストックが無くなりました。(絶望)
目標は失踪しない。
がんばります。
兄がいるので悪役令嬢にはなりません〜苦労人外交官は鉄壁シスコンガードを突破したい〜
藤也いらいち
恋愛
無能王子の婚約者のラクシフォリア伯爵家令嬢、シャーロット。王子は典型的な無能ムーブの果てにシャーロットにあるはずのない罪を並べ立て婚約破棄を迫る。
__婚約破棄、大歓迎だ。
そこへ、視線で人手も殺せそうな眼をしながらも満面の笑顔のシャーロットの兄が王子を迎え撃った!
勝負は一瞬!王子は場外へ!
シスコン兄と無自覚ブラコン妹。
そして、シャーロットに思いを寄せつつ兄に邪魔をされ続ける外交官。妹が好きすぎる侯爵令嬢や商家の才女。
周りを巻き込み、巻き込まれ、果たして、彼らは恋愛と家族愛の違いを理解することができるのか!?
短編 兄がいるので悪役令嬢にはなりません を大幅加筆と修正して連載しています
カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。
忘れられた幼な妻は泣くことを止めました
帆々
恋愛
アリスは十五歳。王国で高家と呼ばれるう高貴な家の姫だった。しかし、家は貧しく日々の暮らしにも困窮していた。
そんな時、アリスの父に非常に有利な融資をする人物が現れた。その代理人のフーは巧みに父を騙して、莫大な借金を負わせてしまう。
もちろん返済する目処もない。
「アリス姫と我が主人との婚姻で借財を帳消しにしましょう」
フーの言葉に父は頷いた。アリスもそれを責められなかった。家を守るのは父の責務だと信じたから。
嫁いだドリトルン家は悪徳金貸しとして有名で、アリスは邸の厳しいルールに従うことになる。フーは彼女を監視し自由を許さない。そんな中、夫の愛人が邸に迎え入れることを知る。彼女は庭の隅の離れ住まいを強いられているのに。アリスは嘆き悲しむが、フーに強く諌められてうなだれて受け入れた。
「ご実家への援助はご心配なく。ここでの悪くないお暮らしも保証しましょう」
そういう経緯を仲良しのはとこに打ち明けた。晩餐に招かれ、久しぶりに心の落ち着く時間を過ごした。その席にははとこ夫妻の友人のロエルもいて、彼女に彼の掘った珍しい鉱石を見せてくれた。しかし迎えに現れたフーが、和やかな夜をぶち壊してしまう。彼女を庇うはとこを咎め、フーの無礼を責めたロエルにまで痛烈な侮蔑を吐き捨てた。
厳しい婚家のルールに縛られ、アリスは外出もままならない。
それから五年の月日が流れ、ひょんなことからロエルに再会することになった。金髪の端正な紳士の彼は、彼女に問いかけた。
「お幸せですか?」
アリスはそれに答えられずにそのまま別れた。しかし、その言葉が彼の優しかった印象と共に尾を引いて、彼女の中に残っていく_______。
世間知らずの高貴な姫とやや強引な公爵家の子息のじれじれなラブストーリーです。
古風な恋愛物語をお好きな方にお読みいただけますと幸いです。
ハッピーエンドを心がけております。読後感のいい物語を努めます。
※小説家になろう様にも投稿させていただいております。
義兄に告白されて、承諾したらトロ甘な生活が待ってました。
アタナシア
恋愛
母の再婚をきっかけにできたイケメンで完璧な義兄、海斗。ひょんなことから、そんな海斗に告白をされる真名。
捨てられた子犬みたいな目で告白されたら断れないじゃん・・・!!
承諾してしまった真名に
「ーいいの・・・?ー ほんとに?ありがとう真名。大事にするね、ずっと・・・♡」熱い眼差を向けられて、そのままーーーー・・・♡。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる