終わりのはじまり

momiwa

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第四章 ユウジの話

再婚①

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 サキとの離婚が成立して一ヶ月。あれからサキと連絡はとっていない。

 サキは逃げるように荷物をまとめて出て行った。そして離婚届けと鍵だけがポストに入っていた。

 そんなに自分のことが嫌だったのかと愕然としたが、最後に自分がサキにしてあげられることは離婚届けに判を押すことだけなのかもしれない。そう思うことにした。

 自分にはできなかったが、今でもサキには笑顔でいて欲しい。そう幸せを願う気持ちに変わりはなかったが、エリコとの関係はずるずると続いていた。サキがいなくなってしまった今、エリコがユウジの心のよりどころだった。ぽっかりと空いてしまったサキの穴をエリコで埋めようとしていたのかもしれない。

「ユウジさん……」

「うん? どうした」

「わたし、妊娠したみたい」

 そうエリコに告げられ、ユウジは驚きを隠せずにいた。何か言わなければと思うのだが、何も言葉が浮かばず沈黙が続く。

「ユウジさんが嫌なら、わたし一人でも産んで育てます」

「エリコちゃん、ごめん。俺、離婚したばかりで、エリコちゃんとお腹の子を幸せにする自信がなくて」

「わたし、ユウジさんに幸せにしてもらおうなんて思ってないです。わたしがユウジさんを幸せにします。それじゃぁダメですか?」

「エリコちゃん……」

「わたし、ユウジさんのそばにいられるだけで幸せです」

「ありがとう」

ユウジは泣いていた。ただ静かに唇を噛みしめ、肩を震わせ、涙が流れ落ちる。

「こんな俺で良いの?」

「ユウジさんが良いんです」

ユウジは声を上げて泣いていた。
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