Our First−Last Love

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12月の土曜の午前11時半。私は職場にも近い都内の駅南口に向かっていた。

マモと待ち合わせだ。

「実はさ、12月の2週目の土曜に、忘年会を兼ねて中学の時の奴らと同窓会することになってるんだ。よかったら悠里も来ないか?」

ご実家にお邪魔した帰り道、マモが車の中で声をかけてくれた。

高校1年でA町を離れて以来、中学校の友達ともすっかり疎遠になっている。

参加するメンバーを聞いてみたら、マモとも私とも仲良くしていた男女が揃っていたこともあり、参加を快諾した。

「悠里!」

南口に降り立つと後ろからポンっと肩を叩かれる。

振り向いて見るとマモがニコニコして立っていた。

「お。マモ。同じ電車だったのかな?」

「そうだったのかもな!さ、こっち。行こうぜ」

何気ない事を話しながら、雑居ビルの一角にある居酒屋に入る。

ご実家訪問以来、マモが晩ごはんを食べに行く日は駅裏のご両親のお店に家に帰る前に少し顔を出したりしていたが、ゆっくり会うのは久しぶりだ。

今日は子持ちの子もチラホラいるため、昼開催で居酒屋の禁煙室一室を貸し切りにしているそうだ。

座敷のふすまを開けると、もう何人かが席に付いていた。

マモの後ろからヒョコっと顔を覗かせる。

「おぉぉぉぉーーーい。守———!久しぶりだなぁ!って、3ヶ月ぶりくらいだけど。」

マモと同じ空手部だった斉藤君の大きなおどけた声が響く。

「あれ?里宮さん??やっぱりーーー来てくれるって聞いてたけど、あんま変わってないねーー!!昔と変わらずめっちゃ美人だわー」

マモは私をまじまじと舐めますように見る斉藤君の隣に座り、おでこをペチッと叩き「見過ぎ!」と突っ込む。

私は斉藤くんの前に座っていた、あかりちゃんとゆいちゃんに手招きされて、彼女の間に挟まられるように席につく。

あかりちゃんは結婚2年目で只今妊娠8ヶ月。ゆいちゃんはB市でOLをしているそうだ。

その後5人ほどが到着し、忘年会兼、同窓会が始まった。

宴も酣、時刻が14時に差し掛かると、お酒も回ってきたゆいちゃんが嘆く。

「彼氏ほしぃわーーー。この前合コン行ったんだけどさぁーー。。まさかの既婚者にお持ち帰りされそうになった件。」

それな。と独身女子一同がが頷く。

20代も後半ともなると、優良物件にはもう”入居者”がいらっしゃるようで・・。

「ほんと・・既婚者が合コンくるなよ。てかこの歳で余り者ってったら、斉藤みたな事故物件ばっか!」

おい。誰が事故物件じゃ!とすかさず斉藤君が突っ込む。

「自分のことを棚に上げてよく言うわ。てか、俺が事故物件だったら、守はどうなんだよ!こいつだって独身じゃん!」
なーーーーっ!と同意を求める様に斉藤君がマモの肩に腕を回す。

「いや。守くんはふつーに彼女いるでしょ?そのルックスで彼女いないんだったら、BLを疑うわ。いや、むしろそっちの方が尊い・・ごちそうさまです」

「うん。確かに尊いわ。ワンコ系マッチョ男子攻め。激しく希望!」
と元美術部の酒井さんが向こうのほうで手を挙げている。

「で、守。どうなんだよ。俺まじでお前の浮いた話聞いたことないわ。」

斉藤くんは高校・大学とマモと交流があったようだが、今まで彼女を見たことがないらしい。

真相がどうなのか、私もすごく気になって、聞き耳を立てる。

「いやいや。俺のことはいいから!!斉藤くんは自分の心配しましょうね」

とマモは上手に皆をはぐらかす。

「で?宮里さんは?今シングルなんですかーーー???」

斉藤君が私におしぼりをマイクに見立てて聞いてきた。マモにはぐらかされ、興味の矛先が私に向けられたようだ。

ザワザワしていた部屋がいきなり静まり返り、みんなの注目に私は激しく動揺する。

「え?!!?私??イナイイナイ。いたこと無い。」

あ、、しまった。いたこと無いとかそんなことまで別に言わなくってよかったんじゃん。恥ずかしい!!!

と後悔したときには時遅し・・この私のバカ正直な告白に、一同大盛り上がりを始めた・・。

「宮里さん・・ずっと好きでした!!!うわーー。まじかーー。悪いようにはしないから、このあとどっか行かない?」

斉藤君が、私の手をグッと握って迫ってくる。

「斉藤まじでサイテー。」「斉藤くんの声は、胎教に悪いわ・・」

斉藤くんの手を容赦なくピシャリと叩き、あかりちゃんとゆいちゃんに私の手は救出された。

恥ずかしすぎて顔も上げられず、マモがどんなリアクションをしていたかは確認できず・・この歳にもなって、付き合ったこと無いなんて、引かれたかもしれない・・。

なんとか、恋愛関係のネタからは離れて、その後は思い出話に花が咲き楽しいひとときを過ごす事ができた。

時は午後16時。土曜ということもあり、みなそれぞれその後の予定に向かうとのことでお開きとなった。

「じゃ!私は旦那くんが迎えにくるから、ここでねー!またねー」
とあかりちゃんは駅の方へ。

「私は斉藤の根性叩き直すためにもう一軒行ってくるわ!!ほら!来なさい!」
とゆいちゃんは斉藤君の腕を引っ張り歓楽街へと向かっていった。

「なんだか、ゆいちゃんって斉藤くんのこと・・??」
とマモの顔を見上げると、あいつらいっつもあんな感じ。と苦笑いをしながらこちらを見返した。


♦♦


「悠里・・このあと予定ある?」

駅に向かおうと方向転換したときマモが聞いてきた。

「予定?・・・ないけど?」

「そっか・・よかったら晩飯一緒に食わねえ?」

「うん。いいよ。ん?お父さんのお店は土日休みだよね?」

「・・・いや、、親父の店じゃなくって、2人で・・」

「あ・・・ふっ・・2人か!もちろんもちろん!!」

「じゃ、行こっか!スーパー!!!」

「ん?スーパー?!」









その後、私たちはC市の最寄り駅まで帰り、マモの自宅の近くのスーパーへ。

「今夜は俺んちでお鍋でもごちそうしようかと思いまして!」

と、さらりと爽やかに言うと、マモは慣れた様子で鍋の材料をカゴに入れていく。

いまさら拒否すると、こちらが如何わしいことでもでも考えているみたいだし、、と頭の中はあらゆる感情と思考がサミット中だが、表面上では言われたとおりにおとなしく白菜をカゴに入れる。

高齢処女をこじらせている私にだって、女が一人で男の家に上がり込むと大体どうなるのかなんて知っている・・。経験が無いというだけで、一応の知識は持ち合わせているのだ。

前回は意識がなかったけど、今日は私に意識がある・・。

そんな私の困惑とは裏腹に、マモは自宅につくと、さらっとエプロンをつけ、手際よく鍋の用意を終わらせた。

鳥のつくねには生姜を刻んで入れるのがマモ流らしい。

私といえば、野菜を洗うくらいしかできず・・。
座ってて。と言われるままに、前回はなかったリビングのコタツの中に収まって、お鍋の準備をするマモを見ていた。

コタツに収まっている私と目が合うたびに、マモはキッチンからニコっと微笑んでくれる。











「マモ、料理うますぎだわ!めっちゃ美味しかった!おなかいっぱーい」

〆の雑炊を食べ終わってほっと一息、コタツの中で足を伸ばして後ろに腕をつく。

コツっと足先がマモの足に当たってしまって、ビクッと足を引っ込めた。

マモがニヤッと笑う。

「悠里。今日俺んちに来て、もしかしたら襲われちゃうかもってドキドキしてんだろ?」

「な!!なんで?そんなこと全然思ってないよ!」

図星を突かれうろたえる私。

「ははは。もしそうだったとしたら、作戦成功。今日は俺のことばっかり考えてドキドキさせてやろうと思った」

コタツに肘を尽きながら私を見つめて笑顔で意地悪なことを言うマモ。
その目にたじろいだ私は片付けるね。と言ってお皿をキッチンに運ぶことで
この熱を誤魔化す。

マモってこんな意地悪なこという人だった?すっごい色っぽいんだけど?!

私の恋愛偏差値はマモのそれには見合わなすぎで、情報処理が追いつかない。

お皿を洗おうとする私に残りの食器を持ってきてくれたマモが、

「あとで食洗機かけるからシンクに置いといてくれればいいよ」

と後ろから屈みぎみで言ってきたもんだから、その吐息が耳にかかって
声にならない悲鳴を上げてしまった。

「・・・っん・・・!」

マモが静かにシンクに置いたお皿から手を離す。

「悠里、、、襲わないつもりだったけど、そんな可愛い反応されたら・・」

後ろからゆっくりと身体を包まれる。
私の腕にマモの腕が重なり、ゆっくりと蛇口の水を止められた。

両手をそっと後ろから握られる。

!!!!! 脳内ショート寸前。

「悠里・・こっち向いて?」

握られた手に力を込められ、身体ごとマモの胸にくるりと振り返る。

「マ、マモ?!わ・・私の手濡れてる・・」

「構わない」

濡れた手の居場所を決めかねて宙に泳がせていると、ぎゅっと優しく胸の中に包まれる。

分厚い胸板に筋肉質な両腕。私の耳がピタッとマモの心臓の上に重なると、彼の早い心臓の音がよく聞こえた。



「ほんとに・・再会できてよかった。ずっと、、ずっと塞がらない傷口みたいに、、悠里のことを考えてた。

今何処にいるんだろう。元気してんのか。・・・もうとっくに結婚してんじゃねーかとか。もう一生会えないと思ってた・・」

私は黙ってマモの言葉を聞く・・。

パパが亡くなって、、なんとなく私がしっかりしなきゃいけない使命感で、これまで恋愛にも流行にも興味が持てなかった。

連絡も取れず、どこにいるのかもわからない私のことをずっとそんな風に思ってくれる人が居た・・

それだけでこんなに心が暖かくなるんだ・・。

涙が頬を傳う。

「まさか、、同じC市に住んでたなんてね。会わないもんなんだね・・」

「なんで・・今だったんだろうな。再会できたのが・・・」

フト顔をあげると、マモが切ない顔で私を見つめている・・。

熱を帯びた視線に、目をそらしたくなる。

けれど、男の人のこんな目を見たことがなかった私の、この先に起こることへの好奇心みたいなものが、目をそらすな。と命令する。

「悠里・・・」

先程まで私の身体を包んでいた腕が、すっと身体を沿って上にあがってくる。

そっと両手で顔を優しく包まれ、軽く握られた右手の指の甲で頬を撫でられる。

頬を傳ってこぼれ落ちた涙の跡を親指の腹で拭われると、くすぐったさと、じれったさに、胸がじりじりしてくる。

「マ、、マモ・・」

ゆっくりと視界がぼやけ、マモの唇が涙の跡に重なる。

暖かく、意外にも柔らかい感触にそっと目を瞑る。

薄目を開けるとマモの少し赤くなった首筋がぼやけて見える。

焦点の合う距離にマモの顔が離れたと思ったら、すぐに視界不良になる。

マモの唇が私の唇にそっと重なり、離れ、また角度を変えて啄まれる。

唇の暖かさと、2人の吐息の温度の高まりに、目の前がチカチカとし、ストンと膝から力が抜ける。

「ん・・ふ・・マモ・・」

腰が抜けてしまうかと思ったら、グッとマモの左腕が私の腰を支える。

唇の間を、みずみずしい何かがなぞる。そのくすぐったい様な感覚に私の唇に隙間が生まれる。

その隙間をこじ開けるように、ぐっとマモの舌が滑り込んできた。

強引に、、でも、、私の出方を伺うように、もっと・・と誘引されるような舌使いにお腹の辺りがキュッとなる。こんな感覚初めてだ。

「ん・・・んんん・・」

「悠里・・・悠里が・・・欲しい・・ずっと欲しかった・・・」

そう言うとマモは私を横抱きにし、寝室へと運ぶ。

そっとベットの上に寝かされ、体全体でマモの体重を感じる。

これから起こることへの期待で胸が高鳴り、私も女という生き物だったんだと実感させた。

耳の裏に鼻を擦り寄せ、首元にキスを何度も落としてくるマモ。

何度も首筋にキスされ、鎖骨に舌が這う。

トップスの下にマモが手を差し込み、素肌に触れられ、驚きとくすぐったさに身をよじる。誰にもされたことのない触れられ方に全身が敏感になっているのか、触れられるたびに反応してしまう。

「ひゃん・・くすぐったい・・」

大人の女性では考えられないほど初心な反応できっとムードもぶち壊しだろう・・。と恥ずかしくなって赤面する。

「悠里・・かわいい・・」

そういうとマモはチュッと額にキスをし、耳元で「ゆっくりするから。気持ちよくなることだけ考えな」と囁いた。

き・・気持ちよくなることってなんだろう・・

その後私は、イクという経験をさせてもらうことになるのだが、思い返しても頭が真っ白になっていてあまり覚えていない・・。

いつの間にかスルスルと着ていたものを剥ぎ取られ、マモも筋肉質な素肌を晒し、目のやり場に困った。

マモが私の秘所に唇を付けたときは、汚いから止めて!!と必死に抵抗したのだが、汚くない。かわいい。と問答無用に舌でなで上げられた時は羞恥心と、なんとも言えない快楽に気がおかしくなりそうだった。

雫が絶え間なく滴り落ち、それをマモが掬い上げる。いやらしい水音が部屋に響き、眉間に皺を寄せるくらい固く目をつぶることしか出来なかった。

「悠里・・リラックスして・・。力抜いて・・声も我慢しないで・・」

指で肉芽を刺激され、あふれる愛液を舌で舐め取りながらマモが言う。

「んん・・・はぁああん・・や・・やだ・・怖い・・」

「悠里・・力抜いて・・もっと気持ちよくしてあげる。指・・入れるよ?」

ゆっくりと異物が自分の中に入ってくるのを感じる。

「はぁん。や・・やん」

舌は相変わらず私の芽をチロチロと刺激して、背中がゾクゾクして仰け反る。

「中指・・入ったよ・・かわいい・・痛くない?」

内ももにキスを落としながら、マモが上目遣いで聞いてくる。

ん・・。と頷くことで精一杯だ。

「じゃあ。指増やす・・痛かったら言えよ・・」

そういうと、また赤く熟れた芽を口に含み今度はジュッと吸われる。

ゾクゾクっと身震いがして、今までに感じたことのないしびれが体を突き抜ける。

「ん・・・はぁ・・ん!やぁ・・」

今まで必死に抑えていた声が一気に漏れる。

一気に体を突き抜けたものがなんだったのか・・。

「悠里・・イッたね」と言われてやっと分かった。

これがイクってことなのか・・。

「気持ちよかった?ここヒクヒクしてる・・」

マモはスクッと上体を起こし、私と同じ頭の位置にゴロンと寝転んだ。

それから半身を起こして私を斜め上から眺めている。

「ん・・初めてでよくわかんない・・けど・・気持ちよかった・・」

と目をあわせずにいうと、

かわいすぎだろーーーー!!!と悶絶しながらキスを浴びせてくる。

「悠里の初めて気持ちよくなったとこ見れて嬉しい・・」

瞼にキスしながらマモが嬉しそうにつぶやいた。

落とされるキスを必死で受け止めていたが、ふと太ももに硬いものを感じて目を向けるとマモのものが反り立っていた。

「悠里・・怖い?」

私が見たことのない男性のものの大きく興奮した状態に目を丸くしていると、マモが私の目を見つめながら聞く。

「ん・・ちょっと怖い・・」

こんな大きいのが入るわけない・・。さっきの指でもちょっと痛かった・・。

「じゃあ。今日はおしまい。がっついちまって悪かった。ゆっくりいこ。」

ニッと笑ったマモの顔は私の好きな少年っぽい笑顔だ。

身支度を整えてリビングへ向かうと、片付けの途中だったものはきちんと片付けられていて、キッチンから顔をのぞかせたマモが、送ってくと言った。

何もなかったかのように平然としたマモと、世間話をしながら自宅へ向かう。お酒も飲んでいたし、ゆっくりと歩いて向かうことにした。
お屋敷の門構えにびっくりした顔をしたマモは、

「え?ここが悠里の家なの?寺かなんかかと思ってたわ!」とごもっともな感想。

「まぁ、伯父の家なんだけどね」

とヘラっと笑って見せた。さっきまであんなことしてたのに、ほんとに何も無かったかのよう・・。私はまだ事態を消化しきれてない・・。

「じゃあ、今日はありがとな。風邪ひくなよ」

「う・・うん。マモも。ありがとね」

何もないのか。と少し不満に思ったのを見透かされた様にマモはギュと私を抱きしめた。

「また、連絡する。また・・ちゃんと話してぇし」

「・・ん」

胸の中で頷く。

付き合おうとか、そういうこと言わずに交際が開始することだってある。・・と聞く。今の私たちの関係って一体なんなんだろう・・・

「じゃ」とお互い手を振る。

私は時間も遅くなかったことから、表の門から家に入ろうとすると、後ろから声がした。




「悠里。今の・・彼氏か何か?」




びくっと肩が跳ね上がる。

振り向くと従兄弟の道成だった。

伯母があんな調子だったので、従兄弟とも大層仲が悪かろうと思われるかもしれないが、実は従兄弟とはうまくいっている。

道成は私の1つ上で性格も明朗活発。伯母の陰湿な性格の影響は微塵も受けず、私達姉妹にも、ママにも感じがいい。

「道成!びっくりさせないでよーー!」

「ごめんごめん。帰ってきたら、悠里が男と家の前で抱き合ってるから、びっくりしたよ。で?彼氏なの?」

・ ・・彼氏・・・ではないと思う・・まだ・・そういう話はしてないし・・


「ん・・A町時代の友達だよ」


「そうなんだ。友達・・ねぇ」

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