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1章 

16華‘つける足跡と日陰の下で笑う透明な

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 「私は、あなたを守りきれなかった。また私は、同じ過ちを‥‥、何故あの時。私は翔さんを置いて走って行ったのか‥‥‥。」

 彼女が保たれながらミシミシと音を立てる木の椅子に座っており目の前で眠る翔の姿。ここは王城の中で火の手があまり侵入して来ず、無事であった場所。王城の中をも火の手が写り、そこら一体を歩くたびに焦げた匂いが鼻を強く叩く。

 あのアニスが起こしたであろう襲撃は一夜にしてこの国に損大な被害を与えていた。そして目の前で眠る翔もその1人の犠牲者、そんな襲撃から三日目が経とうとしているも、彼はまだ目を覚まさない。死んではいない息はある。あれだけ傷だらけにされた身体も今は綺麗さっぱりに消え、傷跡すら残っていない。

 「翔さん‥‥‥‥‥」

 「ヘレン様。失礼ながら申し上げますが。あなた様にも立場があります。ここで長い時間を過ごすわけに行かないのですよ。」

 彼此三日、ヘレンは眠る翔の側から離れなかった。翔の看病をしていたのも全てヘレンがやっていた。

 彼女はずっと翔の手を握っている。その手はかすかに震えて、彼女の顔色の雲行きは怪しくなるも、ヘレンの様子をずっと見つめる1人の男が口を割った。彼はヘレンの幼い頃から知っている者、彼女の過去の傷を知っている者でもある。たがらこそ、看病するヘレンの姿を口を挟まず見ていた。でも

 「貴方は、フリージア王国が誇る銀翼の騎士団、副師団長であります。そして‥‥あなた様の御父様も母国でヘレン様の帰りを待っています。これ以上の長居は目を瞑るわけにいかないのです。どうか懸命な判断を」

 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。」

 彼女は手を握ったまま顔を伏せたままである。

 「‥‥‥ヘレン様。‥‥‥‥」

 沈黙が続く部屋。それは天井に灯る火がゆらめく音すら耳に入るほどに

 「‥‥もうその殿方と会えないわけでございません。お暇が確保できましたら、また手配いたします。どうか。」

 「‥‥‥。そうですね。」

 「‥‥馬車の手配は済んでおります。どうぞこちらへ。」

 その男が扉を開ける。だが彼女は席から立つもその場所から一向に動こうとしなかった。

 「‥‥‥‥。ふぅ‥‥先に外で舞っておりますよ。」

 男が先にこの部屋から退場すると彼女はまた椅子に座り込み翔の手を握る。

 「‥‥。必ず強くなります。あなたを守れる様に、どうかそれまでは強く生きて下さい。‥‥‥また会いにきますからね。翔さん」

 彼女はそうゆうと席を立つ、そして腰を曲げ彼の顔に自身の顔を近づけると眠る翔の額に口付けをする。彼からもらった髪紐何緩くなっており締め直すとこの場所を後にした。


  
 ——————————————————



 ———願うが叶うのなら!もう一度翔に会いたい!!———


 ん?なんだ?今の声、懐かしい声だったな。ふふ、落ち着く声だ。いつも聞いていた声。‥‥‥あれ?‥‥

 「おはよう。目が覚めたかい」

 「え?」

 目を開けては見える景色は少し古びた木面がよく目立つ天井そこから覗き込む様にルドルスが顔を出す。少し驚き起きあがろうとするも

 「‥‥‥痛‥って‥‥」

 起き上がる表紙に頭の中で金槌が暴れ回る程の衝撃で目眩がする。

 ‥‥そうだ‥そうだ!

 「ヒュドールは!!!!」

 その痛みに耐えながら体を起こしながらルドルスが座る位置に目をやる。だが彼は何も喋らずただ首を横の振る。

 「‥‥そうだよな‥‥夢じゃないのか‥」
 
 「‥‥そうだね。夢じゃないこれが現実なのさ‥‥」

 ルドルス本人も顔はいつもよりも遥かにやつれ、今にも魂が抜けてしまうのでないかと思うほどに。それもその筈、長い時間どれだけの時間をヒュドールと過ごしてきたか。

 「‥‥現実何だよ。これが‥‥‥現実。夢であって欲しいとどれだけ願ったか。‥‥決して君を責めるわけじゃない。場違いなのはわかってるでも‥‥‥でも‥‥私にはあのうるさい‥‥口うるさいあの男の隣で歩いて行きたかった。‥‥何をしたって言うんだ‥‥ヒュドールを返してくれ‥‥!!」

 いい大人がその目から溢れ出す涙の量で自身のズボンがびしょびしょに濡れる。少しの時間翔は声をかけなかった。

 「‥‥すまないね。弱い所を見せてしまった。」

 「いや、いいんだ。」

 あの時、俺を庇ったあの時この世界では貴重な回復薬を俺にかけてくれた。残りの一滴それを構わず血を吐きながら躊躇なくかけてくれた。俺にかけず自分にかけたらよかったのに‥‥なんて言ったら起こりそうだからやめておこう。

 「翔くん‥‥少しは動けるかな?」

 「あぁ、大丈夫だと思う‥」

 彼はベットから立ち上がるとルドルスも立ち上がり窓辺へと案内され窓を開けた。太陽の光が目に一気に入り込み目を隠すも次第に慣れてくる。

 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。」

 唖然たる光景。空いた口など塞がらない、赤い煉瓦であったものは黒く焦げ綺麗に引き詰められていた筈の道も今は断裂し道とは呼べぬものへと、そこには家が立ち並んでいた、だが見渡せど崩れた木屑の山だけが遠く彼方まで続いておりこの国でも存在感がある時計台は真っ二つに折れ。翔がこの世界に来た時の光景とは打って変わって何も違う。まるで別世界に来てしまったのではないかとそう思ってしまうほどに、そうであって欲しいと願ってしまう。

 「これは‥‥俺のせいなのかもな‥‥アニスは俺を狙っていたんだろ?」

 「翔くん。君は何も悪くない。アニスだって君を殺すのが目的じゃないと言っていたよ。この国を滅ぼすと言っていた。実に物騒だよね。そう考えるとましだったのかな‥‥」

 アイツは何がしたかったんだろか。本当に

 「そうだ!!結局アニスは!?」

 「大丈夫、逃げたらしいよ。丁度この国に襲撃があった日、この大陸の中枢部に身を挺している戦鋼番糸せんこうばんしの人間が来ていたみたいでね。アニスを追い払ってくれたみたいだよ。」

 「戦鋼番糸?」

 「ん?この大陸の中立役さ、そして変わり者がわんさかといるらしいよ。この国に来ていた理由は知らないんだけど、まぁいいさ君は関わる事なんてないと思うし、それに‥‥‥これ。」

 ルドルスに手渡されたのは、何かを書いてある紙とこの世界に来た時翔が身に纏っていた自身の服である。

 「‥これは?」

 「君はもうこの国にいられない。わかってると思うけど君は勇者ではなかったことがバレた。僕からしたらそもそも勇者ではないのだから何を言っているんだ?そう言う話なんだけど、アニスが勇者として君を広めたせいで国の危機を救えなかった力の無い勇者だと君が眠っている間この城に門を叩いて怒鳴り散らかす民衆が後をたたなくてね。」

 力の無い勇者か‥‥そうだな‥‥間違っちゃいない。目の前で血を流す人間を助ける事ができなかったんだ言われて当然だな。

 翔は服とそしてもう一つ何かを書いてある紙を開けるとそこには(シオン村への行き道)と書かれた地図が顔を出し、そして短いものではあるが文章が書いてある。


 花を踏まず、真っ直ぐと前へそして空を泳ぐといい

 何言ってんだ?それに‥シオン村‥‥そういえばヒュドールが言っていたな後ろ盾している村があるとか何とか言って。ここでなら平和に暮らせると

 「それを頼りに行くといいさ、必ず着くから安心して無くさない様にね」

 「気をつけるよ」

 翔はそのまま服を着替えると身支度の用意をする。今まで来ていたこの国の騎士団である服を綺麗に畳ベットの上に置いた。飾りではあったが少しの間世話になった剣を立てかけると何も言わずこの部屋の扉を開ける。

 「もう行くのかい?もう少し休んでから行ってもいいんだよ、この部屋には僕以外出入りしないし。」

 「‥‥‥、役立たずはすぐに退場するのが一番良いのさ。‥‥そうだ。これ」

 彼は思い出すと、ルドルスに残り少ない数しか入っていない煙草の箱とライターを投げる。

 「‥‥‥良いのかい?」

 「短い間だったけど。世話になったからなこんな物しか渡せないけど‥‥大事に吸ってくれよ。じょあな」

 「‥‥‥。うん。バイバイ」

 翔はゆっくりと部屋から出ていった。

 ルドルスは翔が部屋から出ていった後、もらった煙草の箱を開け確認すると振れば音が鳴るほどの量しか入っておらず少し笑ってしまう。彼はその残り僅かな煙草を一つ手に取ると口に加え火を灯す。そしてライターを見ながら

 「ふぅぅ‥‥。火をつける道具だったけ?僕は使わないんだけどな‥‥‥ハハ、次会えたら今度はゆっくりお酒でも誘おかな。誘う相手もいなくなってしまったしな。」

 煙草を縦に持ち眺めながら彼はその煙で目が痛くなったのか涙を流している。
 火が着いた煙草は煙が出る当たり前の事だ。その火が着いた先端を上にまっすぐむけると燃えて出る煙は綺麗な一本道を作り天へと昇る

  それはまるで線香のように


 ———————————————



 焦げた匂いが隅々から鼻を撫でる。そんな王城の裏口から抜ける。歩く場所がないほどに家が倒れその木屑が散乱している、歩く度にその木屑を踏んでしまい避けるなど困難極まりないその木屑の折れる音があの日の交差する叫び声を思い出してしまう。耳を塞ぎたくなる感情に嘘をつき前だけ見て歩くも。

 「うわぁ!?」

 彼は何かにつまずき転けてしまった。

 「ハァハァハァ。うっ‥‥」

 躓いた原因、振り向いた場所にはその倒れた木の柱から人の焦げた足が挟まっており彼は口を押さえるも耐えられぬものが口から出てきてしまう。それでも彼はひたすらに前を向き歩くもまたその光景に出会し口を押さえそれを何度も繰り返した。
 慣れるはずなどない、それはどう元々いた世界が‥だとかこの世界で‥などは関係ない。慣れるはずなどない。慣れては行けない

 まっすぐ歩いていると少し人が行き来する場所まで辿り着くが、

 「痛て!?」

 何か鈍痛なようなものが背中から感じ取り振り向くとそこには遠くで泣きながら石を構える少年の姿がある。

 「パパを返せーー!!!」

 その声にそしてその光景に気がついたも者たちはぞろぞろと集まり、翔めがけて石やら木やらガラクタやら色々なものを彼に投げつけた。

 翔は色々な物が飛んでくる中で身動きが取れず膝をついてしまう。そして投げるものがなくなると人は次第に罵倒を被せてくる。

 「この野郎が!!何が勇者だ!」
 「俺らを騙しやがって、街はめちゃくちゃじゃないか!」
 「偽物がとっとと失せろ!!」
 
 物を投げるのは終わったのか?よかったよかった。痛かったから‥‥言葉なら痛くない先ほどの石の方が随分と痛かったからな物理的に‥‥でもダメだ。不味い、今顔を上げれば呑まれてしまいそうになる。ダメだ。‥踏ん張れ‥‥‥そうだ。

 笑え俺。

 彼は嘘をつく。

 「ハハハハハハハハ!!!騙させる方が悪いんだよ!!いつ俺が勇者って言った?まずは自分の身は自分で守れる様に努力したらどうだ?残念だったな!!お前らがすがっていたのは勇者じゃなくちっぽけな人間さ。」

 これでいいんだ。これで

 「こんなボロボロの街で過ごすなんてごめんだからな。俺はおさらばするぜ。ハハハハハハハハハハハハ!!!」

 「この野郎が!!!」
 「どこまでお前はクズなんだ!!」
 「こっちから願い下げだ早く出ていけ!!」

 彼は高笑いをする。そんな笑い声がこの惨状を目の当たりにして出せるのかと思う程に彼はこの場所でも仮面を被る。道化師として

 彼は歩く。この国の出入り口の門がどれだけ歩いても見えてこない。早く出て行きたいのにこれ以上この場所に居ては危ない。溢れてきてしまいそうだから、彼は気づくと早歩きになっていた。

 
   勇者様!!


 前だけ見ている翔にまた後ろから先程とは違う口調で文名で声が聞こえてくる。翔は足を止め後ろを振り撒かぬまま、また前へと歩き出そうとするも。
 
 「えぇ?」

 小さな腕が自身の足を強く抱きしめて来た。確認するとそこには襲撃があった日、魔獣から助けた少女が翔の足を抱きしめ動けなくなってしまう。翔は顔を整えると、腰を下ろし少女の顔をじっと見つめながら優しく頭を撫でた。

 「無事だったかい?」

 「うん!!」

 少女はその晴れた笑顔で翔の言葉に返すと少しだけ顔色が良くなった。

 「お父さんが呼んでるの!来て!」

 彼女はそう言うと翔の手を引っ張り案内される。大通りを抜け細々とした道を抜けた先、そこにはその柱が少し焦げただけ、燃えたとゆうよりは長年の劣化で今でも崩れてしまいそうな酒場があるその扉を開けると扉は外れてしまうそれ程に脆くなっている。ただそんな状況でも手を引っ張る彼女は笑顔を絶やさないでいる。その中の奥にはカウンター席がありそこに男が1人座っている。

 「よく来てくれたね。勇者さん」

 「あんた?」

 そこに座っていたのはヘレンの髪紐を買った屋台の店主であった。

 「アンタ酒屋さんだったんだな。‥‥そうかすまなかったな。あんたも知ってんだろ?俺のせいでこんな事に」

 はっはっは!!っと笑いながら奥から一つ酒が入った瓶を出してくると生き残りのグラスを手に取り酒を注いだ。

 「俺からの奢りだ。飲みな」

 「‥‥良いのかよ。」

 手拍子する様なので翔は口に酒を運ぶ。彼の年齢的に飲めるのだが生まれてこの方飲んだことが無かった為、恐る恐る喉へと流し込む。

 「あれ?上手いな。」

 「なに!?これゃあ驚いたよ。今飲ませた酒はこの店で最も度数が高い酒さ、普通なら胸を抑えるか。倒れるかの2択だったんだがな」

 「パパ!意地悪ダメ!!」

 少女はその小さな背を伸ばしカウンターの高い椅子に座ると机を叩く。

 「はっはっは!そうだなごめんよ。あんたが俺のせいなんて言うもんだから、皮肉も混ぜてな。これでおあいこだ。」

 「良いのか?殺さなくて俺を」

 「何言ってんだい馬鹿野郎が幸い火の手は写って来なかったからなこの酒屋は仮にあんたがこの街を無茶苦茶にしたとしてもやり直しが聞くんだ。皆で力を合わせれば街はいつしか元通りになるんだ。時間が解決してくれる。でも‥‥」

 カウンターから男が出てくると翔の膝に座る少女の頭を強く撫でる。

 「命は帰ってこない。あんたがこの娘を助けてくれなかったら俺は家族を失っていた。それは時間なんかじゃ解決出来ない。元通りにならない。どれだけのこの国の人間がアンタを卑下しようとも私とこの娘はアンタの味方だ。そうだよなぁ」

 「うん!!」

 「それによ!この前うちの屋台で買って行ってくれた髪紐あるだろこの子が作ったもんなんだ!」

 「あぁ‥‥この子が‥‥‥素敵なもの編んでくれてありがとね」

 少女の頭を撫でる。翔は先程とは違う感情にまた踊らされそうになるも顔に精一杯の力を込めながら下を向く。娘は心配そうな下から覗き込もうとするも上手く隠して何も見えない。

 「おやっさん、もう一杯くれないか。金貨なら払う。」

 俺なんかでも救えたのか。良かった‥本当に

 「何言うってんだい。アンタは俺たちの命の恩人だ、そんな人から金をせしめようなんてできるわけないだろう?生涯タダでいいんだぜ」

 そう言うと店主はグラスに並々一杯の酒を注ぎ彼に渡す。先程とは違いごくっと一息で飲み干すとほのかに口から甘い香りがする。彼の好きな匂いだ。

 「梨か?これ」

 「おぉ!やっぱりあんちゃんは鋭いなぁ。そうだよこれは梨から作ってるお酒なんだ、しかもこの梨は他では取れない貴重な梨なんだぜ。」

 酒を始めて飲んでみたが酔うと言う感覚には陥らなかった。この状況だから、それとも後からやってくるのか酒が強いのか。それは分からないだが酒を飲むと口が恋しくなるものだな、でも酒を飲むなら‥‥

 「ふふ、禁煙だな。俺は」

 「‥‥‥え?今なんて言ってたあんちゃん!!」

 「?、禁煙って言ったけど。」

 そう言えばこの世界には煙草がなかったんだっけ。驚くのも当たり前か‥‥驚く?

 「ちょっと待ってろ!あんちゃん!そこに座って待ってろよ!」

 店主は焦るようにカウンターを飛び出して行き厨房へと走り去ってしまった。その時間彼は膝に座る少女を優しく撫でる、彼女もまた猫のようにゴロゴロと鳴き声が聞こえてくる程に笑顔である。

 「ハァハァハァ‥‥これ!あんちゃんなら分かるだろ!」

 店主が息を荒げて走ってくると手には何か棒のような物が見える。

 「それは?」

 「‥煙草だよ!たばこ!!」

 「え!?なんで。おやっさんがこんなもん持ってんだよ。」
 
 店主は淡々と話す。それはこの国がまだ襲撃に遭う前、一人の男がこの店に訪れたと言う。あまり繁盛していない店に久々のお客さんだと胸を躍らせていたらしい。色々と注文される中、その男は酒を飲みある言葉を吐いた。

 「ここは、禁煙かな?」

 禁煙とゆう言葉に聞き覚えなどない、

 「きんえん?なんだそれそんな酒うちには置いてないぞ。」

 「ははは、すまないね。この世界はなかったねそんな物。すまないすまない、今日は見る人が多くてね。疲れてるんだ」

 その男が話しながら、ポケットからある物を出すと、店主に説明する。それは煙草、火をつけて吸い込むとゆうなんとも不思議な物であった。店主も気になった物なのでその男から一つ貰ったのだ、咳が出たこんな物何がいいのかさっぱり分からなかったのだがその男が帰った後煙草を置き忘れて帰ってしまったらしい。

 ある日から店主は恐る恐る火をつけて咽せるがいつの間に慣れていくと、旨みが分かってしまう。だなとうとう残り少なくなってしまうと店主は煙草を置き忘れた張本人を探すも見つからない。

 「長い長い試行錯誤の上でこれを完成させたんだ。」

 彼が手に持っている物。綺麗とは言えないふにゃふにゃに折れた煙草

 「良かったら、一本吸ってみるか?」

 膝に座る少女の顔を見ながら

 「ありがたい話だけど‥辞めておくよ。俺らは良くてもこの子には害がある。」
 
 「そうだったのか。それはいい話を聞いた肝に銘じておくよ、じゃあなんだ良かったら持っていってくれ。それでまたこの店に来た時にでも感想を聞かせてくれたらいい」

 店主はまたそうゆうと自家製の煙草が入った金属の箱を翔に手渡した。開けるとどれもこれも形は違えど立派なタバコではある。

 「それにしてもこのお酒はうまいなぁ。何杯でも行けてしまうよ」

 「そうだろうそうだろう。うちの店でも自慢の酒だ。存分に味わってくれ、この店がある限りはタダで飲ましてやるからよ!!」

 この店がある限りか‥‥見るからに老朽化技進んでいる。木の柱は腐って息を吹きかせれば倒れそうな程に、その間の襲撃で無事だったのは不幸中の幸いであろうが。経営だって難しいのだろう。そうだな‥‥

 「これ、受け取ってくれ。」

 翔がポケットから出したのは金貨が包まれてある袋。あの部屋から出ていく際にルドルスから渡された物であるその金貨はヒュードルがこうなる事を予想していたかの様に俺の為に自身の給金の半分を使うようにとルドルスに手は出したらしい。そしてもう半分は自信が後ろ盾していたシオン村にと、どこまでお人好しなのか、笑ってしまう。

 「‥‥!?‥そんなもん受け取れるわけがねえだろ!金貨100枚ぐらいあるじゃないか」

 聞いたところによるとこの金貨にも位があるらしい

 まずは銅貨、そして銀貨その価値は銅貨10枚分ぐらいらしい。
 そして金貨、銀貨15枚の価値が一枚にあるらしい

 「アンタ、銀貨一枚で宿に泊まれるレベルだぞ。そんな大金ありゃ、未来は安泰だろ。自分のために使いな俺は絶対に受け取らないぞ!」

 頑固な人だ。確かにこれはヒュードルの金ではあるが、今は俺に所有権があるそうだろヒュードル?それに今俺の為に使えと言ったな?言質はとったぞ。

 「そうか、それは残念だ。仕方ないな、」

 「あぁ!早くそんな物しまえ!ったく勇者は相当馬鹿らしいな。」

 彼は机に置いてある重たい包み袋をポケットに仕舞う中、

 「こんな事聞くのあれなんだがよ。あんたほんとに勇者なのか?もっと‥‥ほれ‥煌びやかな感じとゆうか‥風格とゆうか‥‥俺みたいなおっさんには1人の青年にしか見えなくてな。」

 「‥‥‥そうだな。‥‥なぁおやっさん今から言うことはあんたの心で止めといて欲しい。」

 あぁ、と店主は返事すると翔は今見での事を残ってある酒が空になるほどにそれに気づかないほどに饒舌に語った。その間、店主もそして膝に座る少女も黙ったまま彼の話を二つ返事で聞いた。

 「はは。そんな事がその若さでよく耐えているね。あんちゃんは強いよ。だけど‥‥‥だけど自分の気持ちには正直に生きろよ。そっちの方が後悔しない‥‥多分な」

 彼はその話を聞きながらもその少女を抱え、席から立たせると翔自身も席を立った。

 「そろそろいくよ。」

 「‥‥そうかい。いつでも顔‥出しにこいよ!あんたはタダだからな。ガハハハ!!」

 彼はそのまま扉がなくなってしまった出入り口へと足を運ぶも。

 「そうだ。俺方向音痴だからさ、あの街道まで案内してくれないかなお嬢ちゃん?」

 「うん!!‥‥パパ?」

 店主は無言で頷くと少女は嬉しそうに翔よりも先に外へと出ていってしまった。この酒屋に連れてくる最中、街道から抜け細々とした道が続き自分1人では、抜けるのが時間を食ってしまう。この場所を出ればまた地獄が待っている数秒でもこの国を出て行きたかったたがらこそこの街に慣れている少女に道案内を頼んだのだ。‥‥その理由が半分と

 「おい!あんちゃん!名前は?」

 「ん?言ってなかったか?俺は翔。勇者なんかじゃなく俺は翔だ。」

 「そうかい。変な名前だがいい名前だ。」

 はは、どっちなんだよ。
 
 そう思いながらも翔は足を止めず振り向きもせずただ片手をあげ手を振ると外へと出ていくのであった。
 酒屋から出ると笑顔で少女は待っている。手招かれるまま彼女を追いかけるようにゆっくりと細い路地を歩くとようやく大きな街道が見えて来る。

 「ここを抜ければさっきの場所だよ!」

 「そうか。ありがとな」

 翔は彼女の頭を撫でるとポケットからある物を出す。それは先ほどカイルが受け取ってくれなかった金貨が包まれた袋、それを彼女が広げる手に乗っけるとその重さで少し前に重心がブレる。

 「これは?」

 「ん?これはね俺からのお礼だよ。」

 「お礼?」

 「そうだよ。君が作ってくれた髪紐を俺の友達にプレゼントしたんだ。そしたら友達はすごく喜んでたんだ。それのお礼さ、これは」

 「でも‥パパに怒られちゃう。」

 「大丈夫!それは君のパパにあげるんじゃない。君にあげるのさ、今日からそれは君のものさ。好きに使うといいよ。じゃあね。お兄ちゃんはそろそろいくね。」

 翔はそのまま立ち上がると光が差し込む街道へと足を踏み入れようとすると後ろから少女が「また会える?」そう聞いて来る。翔は一度振り向くと黙ったまま首を縦に振ると光へと消えていく。
 翔がいなくなるまで笑顔で手を振る少女。次第に彼の姿が居なくなるとその思い包み袋を持って家へと帰る。彼女はずっと横で見てきたそして聞いてきた、この金貨の価値も少なからずわかっている。そしてこの使い道をすでに決まっている

 
 ——————————————————



 ハァハァハァ、熱い。

 どれだけ歩いただろう。あの酒屋から抜け街道へと飛び出した翔は小走りへ出入り口の門までへと向かった。余り距離はなくそこまで時間は掛からなかった。ようやく外に出れると思っていた‥ようやく静かになると思っていた。

 「くそ、なんでこんな時に俺はあの地図をなくすんだよ。」

 彼は出ていく前、ルドルスに手渡しされた地図をどこかに置き忘れたのか落としたのか。自身の手元にはない道などわからずただひたすら歩いている。
 
 「俺は今どこにいるんだ。どれぐらい日にちがだったんだ?」

 彼はひたすらに歩いている。何も考えず飛び出してきたものなので飲み物や食料など持っておらず、そして実に今日で3日が経とうとしている。弱った体でひたすら歩きその先にシオン村があると願い続けたがそれも限界、等々体力の底が切れてしまう。

 「もう嫌だよ。何もかも!なんで俺がこんな目に、クソ!クソクソクソ!なんで‥‥‥なんで俺は!!」

 
  あいつを助けちまったんだ。


 「もう嫌だ。何もかも、でも死にたくない。クソ‥‥クソ‥‥」


 この大陸にはいくつもの国が存在するその擁壁から外に出れば草原が生い茂る大地。道とゆう道も軽く整地されてるだけの道から少し外れるとそこには小さな木が立っている。道を出ればそこは全て緑そしてその樹木の影へと座り込むと

  「はぁ、とうとう親友のせいにまでしてしまったな、俺は‥‥ほんと‥‥最悪な人間だよ。クソ‥‥クソ‥」


 彼はその木影に身を委ねうずくまる。この広い草原人など通りはしない。誰も見ていないなのに木影に隠れては体が小刻みに揺れている、顔など下を向き確認などできない。

 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。」

 彼は次第に疲れてしまったのか横になってしまう。そこは緑が生い茂る場所草木に隠れ翔の姿など消えてしまった。彼の目を見ると少し腫れ目が充血している誰からも認識すらできない。彼を見つけるなど困難なのにも関わらずそれでも尚彼は隠し続ける。次第に目を閉じて眠ってしまった。



 



 「まさかあんなことになってるとはね。どうするのさこの果物は。また村の子にあげるとするかね。ハァァァ。ほんと最悪。」

 その不恰好に整地された道、馬車を引き荷車には果物の山ができている。その馬車に乗るのは爽やかな青い色が目立つ長い髪の毛の女性。彼女はこの果物をスイレ王国へと卸に行くところであったがそれどころではないと追い出されてしまったのだ。

 「ハァ、また卸場所を変えないとね。‥‥ヒュードルは大丈夫なのかしら。ハァァァァァこんな果物の量、村の子供にあげたって余っちまうよ。」

 彼女はひたすら自身の家へと馬車を引け帰っている最中であった。その道は何もなく周りを見渡せど草原が広がるただそれだけ何度も何度も通った道だと慣れて飽きて来る変わり映えのない場所。欠伸を描きながらゆっくりと進むと

 「あれ?‥‥‥あんな所に花?‥」

 彼女が目を向けた先、それはいつも通りが軽く木が生えた場所。いつもなら素通りするそんな場所。

 そんな場所になんと色鮮やかに木影の下だけ花が目を出し長くなった草っ原の背を追い抜き咲いている。

 「あんな所に花になんて咲いてたっけ?それにしても色んな花が咲いてあるな。」

 彼女はいつも見る光景とは一味違うもの、興味津々で馬車から降り、その木へと小走りで向かうと。


 「え!?大丈夫!?って‥‥あれ?‥‥この子‥」


 彼女が目にした物。木影の下で倒れ込む青年の姿、息はあるただ疲れたのかぐっすり眠っている。こんな所で眠っては骨になっていただろうに、彼の周りには何故か花が咲いている。何かに誰かに気付いてもらう為のように。



 —————————————————————



 ある場所、このトロイアス大陸の中心部。


 「ったく!なんとかしてくれよ。うちの爺さんは。この大事な時にどこを散歩してんだよ!」

 「まぁまぁ落ち着いてください。どうせ帰ってきますよ。」

 「‥‥‥エピスさんも爺さんを探しにいくって帰ってこないじゃないか」


 「あぁほんと自由な人間が多過ぎるんだよ!」

 「あんたうるさいわよ!!耳元でキーキーと!!」

 この場、円卓を囲み5人の人間がここに座るどれも白いコートをきた人間たち。1人の陽気そうな男が立ち上がると、

 「まぁまぁここら辺にして、本題に行こうじゃないか。僕は早く子供達の笑顔を見たくてね。そして宝の様な笑顔を奪うアニスは早く殺したくてウズウズしてるんだ。」

 もう1人の男が腕を組み直すと

 「‥‥そうだな。アニスはもう少し注意視しとくべきであった。さて本題に入ろうか‥痴話喧嘩はこの議題が終われば好きにやってくれ。‥‥それではあのスイレ王国から降り立った異世界人。」



 「‥‥‥異路を持つオドントグロッサムについてだ。」


 —————————————————————

 
 それは個々であらゆる波乱を生む。

 これが全ての始まり。


 スイレ王国の惨劇が物語る。その恐怖は人から人へと伝染していく、大いなる脅威だと。勇者の召喚とゆう大義名分の元行われた物は、手順が有り方法があるそれを知らないものが行なって仕舞えばまず成功などしない。

 襲撃があった数週間後、このスイレ王国では召喚された勇者のせいにされた。彼が現れたからこんな惨劇が生まれたと、その噂は伝染し大きくなるそしてこの事件の首謀者は‥‥真実など誰も知らない。知ろうともしないくせに彼が悪いと口々に上げ指名手配までかける始末。

 翔が眠ってしまった後の少し先のお話。この世界には勇者が召喚された。

 各々がその眼差しの元歩んでいく。

 ある者は決意を固め。

 ある者は恩返しを考え。

 ある者は信じ瞑想する。

 ある者は煙を上げ目印をつけ。

 
 


 彼は無意識のうちにその足跡をつけていく、いろんな場所いろんな人間に‥誰かに見つけて欲しくて。





   ——————半年後——————




 「コッラァァァァ!!ったく!いつまで寝てんのよ。今日こそ行ってもらうんだからね」

 「‥‥‥何処へ?」

 「ハァァァ。あれから半年も経つんだよ。バレっこないさ私は忙しいのさ、私がいつも行ってる酒屋に納品だよ!梨を!」

 「いやいやいや、だから話聞いてる?何処へ?」

 「ハァァァァァ、ほんと愚弟は」
 

       スイレ王国だよ!スイレ王国!


                                     終わり








 ——あとがき——


 どうもこんにちはたまかKindleと申します。
 どうぞお見知りおきを

 いやーー。久しぶりですね、本当に‥‥サボってたわけじゃないですよ。仕事が忙しくて、ただ物語の構成はなんとなくですが整ったのかなぁ~。って感じです。

 とゆう事で!!

 これにて日陰の下で笑う透明なへレニウムはおしまいとなります!ありがとうございました!

 まずここまで読んでくれる人がこの世界に何人いるか分かりませんが読んでいただけたのなら私の生きる糧になります!

 何をしたいのかわからなかった物語ではありました。何もこれで終わるわけじゃないんですよ。ただ物語を作る上で前置きとゆうかなんとゆうか始まりみたいなのを書いてみたいなと思いましてね。
 
 僕が思いついた物語は、これより後の話なんですね。でも‥勿体無いなぁって思っちゃって

 しっかりと諦める事なく続編を書くつもりではありますが。よかったらその続編探してみて下さいね。

 読んでいくと不可解な点がいくつもあったと思います。どうかその気持ちを忘れずにまた会おう事ができれば幸いです。


 それでは余り喋りすぎるのもあれなので私はこの辺でこの花を添えて失礼しておきます。そうですね‥‥今はひと段落描き終えて機嫌がいいので。

 上機嫌がつく花言葉でも添えておきましょうかね。

 この花はなんだと思いますか。よかったら花言葉を調べてみて下さいね、以外と暇つぶしになるので


   

               それでは。

 













 
 

 
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