17 / 86
第三章: パイロマニアック
第一話
しおりを挟む
「ちょっと。アンタ、ズルしたでしょ?」
今日は入隊してから最初の休日。俺は皆んなとトランプで遊んでいた。死後の世界でも普通にトランプとかで遊ぶことに驚いたが、人間がヨードに送られて来てるんだから不思議がることもないか。
俺とカンナ、そして前回会ったときに話せなかったイシュ、エリザベス、そしてマンタと言う大天使たちとブラックジャックで遊んでいた。
「俺がズルした証拠はあんのか?」
カンナとは前よりは打ち解けたと思うが、やっぱり何だかんだで突っかかってくる。まあ、さっきから俺が連勝してるのが気に食わないんだろう。
「二人とも喧嘩しないでくださいよ」
そう言ったのはイシュだ。見た目は完全に小学生だが、俺より年上らしい。でも見た目から皆んなに弟扱いされるって嘆いてた。
「カンナちゃんも怒らないで」
弱そうな声を出して一生懸命カンナを宥めようとしてるのはエリザベス。皆んなからはエリーと呼ばれているらしい。彼女もイシュ程ではないが、見た目はすごく若い。
そしてもう一人の天使はマンタ。コイツはあんま喋らない。他の人に聞くと、マンタは極度の面倒くさがり屋で、ちょっと前までは普通に話してたらしいが、最近は話すのも面倒になったとのことだ。
少しずつここの環境にも慣れて、他の奴らとも親しくなって来た。でも、この穏やかな休日はそう続かなかった。
事の始まりは、例の伝達係が来た所からだ。コイツが来たら何かしら起きるから、いつもヒヤヒヤする。前は天使殺しが起きて、その次はカモフラージュ使いの発見と結構な重大事件が起きている。今回は何だ?
「か、火事です!」
火事?誰かがエレメントで火でも作って、誤って火事にでもなったか?
「行くわよ、ハジメ!」
何か警察にでもなった感じだな。この世界に警察がいないらしいから仕方ないけど、事件なんてあまり起きないんじゃなかったのか?
しかも、カンナとツーマンセル組まされてるし、完全に警察じゃねえか。
現場にはギャラリーが出来ていた。そりゃそうだ、この世界では火事自体が珍しいんだからな。
「どうやって止めるんだ?」
「バカじゃないの?エレメントで火を作れるなら、水も作れるでしょ」
なるほどな。普通に忘れてたわ。俺とカンナは両手を前にし、掌からエレメントを水に変換して出すイメージをした。
すると水は勢い良く出てき、何とか火の元を消すことが出来た。死人は出なかったみたいだし、一件落着だな。
「ふう、消えたわね。お疲れさま」
「ああ、お疲れ」
何だ?カンナが一瞬可愛く見えたぞ。いやいや、たまに見せる優しい一面に騙されちゃいけないぞ、俺!
うん?今一瞬、焼けた建物の後ろに誰かがいたような気がしたんだが。もしかして放火とかじゃないよな?
俺は恐る恐る建物の後ろ側に行った。そこにいたのは放火魔ではなく、うずくまって震えていた女の子だった。
「大丈夫か?」
俺の声を聞いて、益々怯えてしまった。
「怖がらせてどうするの」
いつの間にかカンナが後ろにいた。
「大丈夫よ。私たちはあなたの味方だから」
なんか手慣れてるな。年下の兄弟でもいるんだろうか?
少し落ち着いて来たのか、その女の子はゆっくりと立った。その時、俺は嫌なことに気付いてしまった。
この女の子の髪、深い赤色だ。それに目も赤眼。
これって、火起こしたの、絶対この子じゃねえか!
今日は入隊してから最初の休日。俺は皆んなとトランプで遊んでいた。死後の世界でも普通にトランプとかで遊ぶことに驚いたが、人間がヨードに送られて来てるんだから不思議がることもないか。
俺とカンナ、そして前回会ったときに話せなかったイシュ、エリザベス、そしてマンタと言う大天使たちとブラックジャックで遊んでいた。
「俺がズルした証拠はあんのか?」
カンナとは前よりは打ち解けたと思うが、やっぱり何だかんだで突っかかってくる。まあ、さっきから俺が連勝してるのが気に食わないんだろう。
「二人とも喧嘩しないでくださいよ」
そう言ったのはイシュだ。見た目は完全に小学生だが、俺より年上らしい。でも見た目から皆んなに弟扱いされるって嘆いてた。
「カンナちゃんも怒らないで」
弱そうな声を出して一生懸命カンナを宥めようとしてるのはエリザベス。皆んなからはエリーと呼ばれているらしい。彼女もイシュ程ではないが、見た目はすごく若い。
そしてもう一人の天使はマンタ。コイツはあんま喋らない。他の人に聞くと、マンタは極度の面倒くさがり屋で、ちょっと前までは普通に話してたらしいが、最近は話すのも面倒になったとのことだ。
少しずつここの環境にも慣れて、他の奴らとも親しくなって来た。でも、この穏やかな休日はそう続かなかった。
事の始まりは、例の伝達係が来た所からだ。コイツが来たら何かしら起きるから、いつもヒヤヒヤする。前は天使殺しが起きて、その次はカモフラージュ使いの発見と結構な重大事件が起きている。今回は何だ?
「か、火事です!」
火事?誰かがエレメントで火でも作って、誤って火事にでもなったか?
「行くわよ、ハジメ!」
何か警察にでもなった感じだな。この世界に警察がいないらしいから仕方ないけど、事件なんてあまり起きないんじゃなかったのか?
しかも、カンナとツーマンセル組まされてるし、完全に警察じゃねえか。
現場にはギャラリーが出来ていた。そりゃそうだ、この世界では火事自体が珍しいんだからな。
「どうやって止めるんだ?」
「バカじゃないの?エレメントで火を作れるなら、水も作れるでしょ」
なるほどな。普通に忘れてたわ。俺とカンナは両手を前にし、掌からエレメントを水に変換して出すイメージをした。
すると水は勢い良く出てき、何とか火の元を消すことが出来た。死人は出なかったみたいだし、一件落着だな。
「ふう、消えたわね。お疲れさま」
「ああ、お疲れ」
何だ?カンナが一瞬可愛く見えたぞ。いやいや、たまに見せる優しい一面に騙されちゃいけないぞ、俺!
うん?今一瞬、焼けた建物の後ろに誰かがいたような気がしたんだが。もしかして放火とかじゃないよな?
俺は恐る恐る建物の後ろ側に行った。そこにいたのは放火魔ではなく、うずくまって震えていた女の子だった。
「大丈夫か?」
俺の声を聞いて、益々怯えてしまった。
「怖がらせてどうするの」
いつの間にかカンナが後ろにいた。
「大丈夫よ。私たちはあなたの味方だから」
なんか手慣れてるな。年下の兄弟でもいるんだろうか?
少し落ち着いて来たのか、その女の子はゆっくりと立った。その時、俺は嫌なことに気付いてしまった。
この女の子の髪、深い赤色だ。それに目も赤眼。
これって、火起こしたの、絶対この子じゃねえか!
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
強奪系触手おじさん
兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる