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本編第一章
新しい商売のアイデア大募集です1
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王都滞在数日目。とうとう王立騎士団のバレーリ団長との面会が2日後に設定されたのを前に、私はハムレット商会に先触れを出して、双子たちに会いにいくことにした。目的はポテト料理の普及について意見を乞うためだ。
両親は古い知人に会うとかで朝から出かけることになっており、私はミシェルとシンシア様と一緒に馬車に乗り込んだ。アッシュバーン伯爵夫妻もお出かけ、ギルフォードはナタリー&エメリア姉妹とともに自宅で訓練に明け暮れている。
ミシェルは一週間のお休みをもらっており、しばらくはお城に上がらなくてよいそうだ。社交シーズンが始まったばかりの王宮は貴族たちの謁見やらお茶会やらで大忙しで、カイルハート殿下も7歳とはいえ公務であちこち駆り出されるから、ミシェルの仕事はないらしい。束の間の休息を私とともに過ごさせるのは申し訳ない気もしたが、ライトネルたちとゆっくり話せる機会はそれほど多くないそうで、ちょうどいいと付き合ってくれることになった。
商会の入り口でいつものようにオーナーのジェームズさんとライトネルに出迎えられ、シンシア様とはそこで一旦お別れ。私たちはライトネルの案内でキャロルのお店、ハムレット・マニアに移動することになった。
「なんでキャロルも一緒じゃなきゃいけないんだよ」
「ライト、言っただろう? アンジェリカ嬢は忙しい身なんだ。君たち2人を別々に相手にする暇はないよ。それに今日はポテト料理についての情報交換の場だ。どうせなら一度に済ませた方がいい」
両親は社交に忙しいが、私は至って暇である。ようは方便なのだが、2人一緒にいるとアイデアが掛け算のように膨らむので、私としては2人に揃っていてもらった方がありがたい。
未だぶつぶつ言いながらもライトネルは丁寧に案内してくれた。彼より一回り以上も小さい私の歩くペースに合わせてくれるし、中庭の木戸やお店の扉を開けた後はスマートに私を通してくれる。まるで自分がお嬢様になったみたいでちょっといたたまれないくらいだ。
そうして見慣れたカーテンを潜ると、そこはあの色鮮やかなどきわくの世界だった。
「いらっしゃいませ、アンジェリカ様。ようこそおこしくださいました」
銀縁のメガネをきらりと光らせながら、キャロルがいつものエプロンドレス姿で出迎えてくれた。
「キャロル、こんにちは。忙しいのに時間をとってくれてありがとう」
「いえいえ、アンジェリカ様の頼みでしたらいくらでも、ですわ」
ライトネルとはくだけた話し方をするようになったが、キャロルには固辞されたため、彼女は今でも私に対して敬語だ。曰く「これが私のスタイルですの!」とのことだ。彼女独特の世界観があるようなので、私も邪魔しないことにした。
今日私が双子たちの元を訪れたのは、ずばり「ポテト料理の今後の展開」について相談するためだ。また騎士団寮で披露するポテト料理の展開についても、意見をもらえたらと思っている。
キャロルの案内でハムレット・マニアに併設されている応接室に通された。今日も一部の隙もない制服姿のショーンさんがキャロルの指示でお茶を用意してくれた。
「バレーリ領で生産されているフレーバーティーを用意しましたの」
「バレーリ領って、王立騎士団団長のカエサル様のご実家?」
「えぇ。今日のお話にうってつけかと思いまして。バレーリ侯爵家は部門の一族ではありますが、特産のひとつが花であることはご存知でしたか?」
「いえ、初めて知ったわ」
現侯爵はカエサル様の甥にあたる方だ。バレーリ家は王国の最南端に領土を持ち、海に面している。暖流の影響で冬場も雪が降ることはなく、火山に囲まれたうちの領土よりも暖かいと聞く。海を挟んでまた別の大陸が存在することから、この領は自前の海軍も有している。そのため一門の多くは武人で構成されており、カエサル様もまた騎士となって王立騎士団を率いているが、その領土の特産までは思い至れなかった。
「非常に温暖な地域ですので、王都では育たない花が育成できるのです。またバレーリ家の聖霊は地の守護ですから、土壌を豊にする地の聖霊石もふんだんに獲れます。ただ花の命はとても短いですから……。生花のまま王都まで運ぶことができないため、こうして別の製品を領内で生み出しているのですわ。お茶のほかにもポプリや香水などが有名ですね」
武門の家と美しい花、そのギャップがなかなかすごいが、かの地の風土を思えば自然な取り合わせだ。
私はキャロルに勧められてお茶を一口飲んだ。色味は紅茶よりも赤みがかっており、立ち上る香りは紅茶というより花々のそれだ。
「おいしい……それに香りがなんとも言えないわ」
「味もそうだが、見た目でも楽しめるようになってるんだ。ほら」
ライトネルが白磁のティーポットの蓋をひょいと取ってみせる。中を見るとそこには一輪の薔薇に似た花が浮かんでいた。
「うわぁ、きれい!」
「だろ? この美しさが貴族のご婦人方に人気なんだよ」
「本当は生花を楽しんでもらいたいけれど、それが叶わないから、こうしてまるごと一輪をフレーバーティにして、お湯を注ぐと花開くように作られているんですの。アイデアですわよね」
双子の丁寧に説明に私も深く肯く。こうすれば乾燥させた状態で王都に持ち込めるし、花の美しさもアピールできる。ありきたりの紅茶に飽きている貴族たちの興味を惹きつけること間違いなしだ。
「本当に、世の中にはいろいろなものがあるのね。でもどうせなら、中身が見えない白磁のポットより、透明のガラス製のポットに入れた方が、花がよく見えるのじゃないかしら」
「透明の……」
「ガラス製のポット……?」
私の何気ない発言に双子の目が点になった。そのまま数秒が経過する。
(あれ、私、何かおかしなこと言ったかな?)
だって前世ではハーブティーってわりと透明なティーセットで楽しんでいたと思うんだけど。この世界にもガラス製品はいっぱいあるし……。それともこの世界では何かタブーでもあるんだろうか。
私が首を傾げると、突然双子が立ち上がった。
「それですわ!! なんで今まで気づかなかったのかしら!!!」
「確かに!! わざわざ蓋を取らなくても中の花が見えるよな!!!」
「美しく浮かぶ花を見ながらお茶会! いける、これは流行りますわ!! それにガラスなら原価も白磁よりおさえられます!!!」
「それにガラスはバレーリ領のもうひとつの特産だ!! 領内にすでにガラス工房はあるからノウハウも十分だぞ!!」
「いくつかの工房に試作品を発注をして……工期はどれくらいになるかしら」
「むしろ個別に工房に当たるよりバレーリ侯爵に直接話を持ち込んでもいいんじゃないか? 恩も売れるし、専属契約を結べば他の商会に取られることなく独占できるぞ!!」
「ライトそれいい!」
「だろ!?」
「あとは保温性をどう確保するかよね、ガラスは磁気に比べていろいろ劣るわ……」
「部分的にガラスにしたのでいいんじゃないか? たとえば蓋だけとかでも……」
目の前で手を取り合ったかと思うと再びあーでもないこーでもないと呟き合う双子を、デジャブ感を持って眺める。そうか、透明なポットってこの世界では斬新なアイデアだったのか。まぁ双子に貢献できたのならよしとしよう。
それにしても、今の会話、阿吽の呼吸もさることながら双子のそれぞれの性格が垣間見えて面白い。流行に聡いキャロルが「流行る」と言い、各地のネットワークを使いこなすライトネルがガラスがバレーリ領の特産のひとつであることを思い出し、数字に強いキャロルがガラス製品と磁気物の原価の違いを弾き出し、売り方のアイデアを生み出すことに長けているライトネルが独占販売の方法を思いつく。
この2人って、得意なもの・足りないものを補いあえば最強の商人になれるんじゃないだろうか。そんな思いで隣のミシェルを見つめると、彼は澄ました顔でお茶をすすった。
「本当に、似た物同士って言葉がこれほど似合う2人も珍しいよね」
言葉の端端に残念そうな響きがあるあたり、一筋縄ではいかないものを感じ取って、私も黙ってお茶をすすることにした。
両親は古い知人に会うとかで朝から出かけることになっており、私はミシェルとシンシア様と一緒に馬車に乗り込んだ。アッシュバーン伯爵夫妻もお出かけ、ギルフォードはナタリー&エメリア姉妹とともに自宅で訓練に明け暮れている。
ミシェルは一週間のお休みをもらっており、しばらくはお城に上がらなくてよいそうだ。社交シーズンが始まったばかりの王宮は貴族たちの謁見やらお茶会やらで大忙しで、カイルハート殿下も7歳とはいえ公務であちこち駆り出されるから、ミシェルの仕事はないらしい。束の間の休息を私とともに過ごさせるのは申し訳ない気もしたが、ライトネルたちとゆっくり話せる機会はそれほど多くないそうで、ちょうどいいと付き合ってくれることになった。
商会の入り口でいつものようにオーナーのジェームズさんとライトネルに出迎えられ、シンシア様とはそこで一旦お別れ。私たちはライトネルの案内でキャロルのお店、ハムレット・マニアに移動することになった。
「なんでキャロルも一緒じゃなきゃいけないんだよ」
「ライト、言っただろう? アンジェリカ嬢は忙しい身なんだ。君たち2人を別々に相手にする暇はないよ。それに今日はポテト料理についての情報交換の場だ。どうせなら一度に済ませた方がいい」
両親は社交に忙しいが、私は至って暇である。ようは方便なのだが、2人一緒にいるとアイデアが掛け算のように膨らむので、私としては2人に揃っていてもらった方がありがたい。
未だぶつぶつ言いながらもライトネルは丁寧に案内してくれた。彼より一回り以上も小さい私の歩くペースに合わせてくれるし、中庭の木戸やお店の扉を開けた後はスマートに私を通してくれる。まるで自分がお嬢様になったみたいでちょっといたたまれないくらいだ。
そうして見慣れたカーテンを潜ると、そこはあの色鮮やかなどきわくの世界だった。
「いらっしゃいませ、アンジェリカ様。ようこそおこしくださいました」
銀縁のメガネをきらりと光らせながら、キャロルがいつものエプロンドレス姿で出迎えてくれた。
「キャロル、こんにちは。忙しいのに時間をとってくれてありがとう」
「いえいえ、アンジェリカ様の頼みでしたらいくらでも、ですわ」
ライトネルとはくだけた話し方をするようになったが、キャロルには固辞されたため、彼女は今でも私に対して敬語だ。曰く「これが私のスタイルですの!」とのことだ。彼女独特の世界観があるようなので、私も邪魔しないことにした。
今日私が双子たちの元を訪れたのは、ずばり「ポテト料理の今後の展開」について相談するためだ。また騎士団寮で披露するポテト料理の展開についても、意見をもらえたらと思っている。
キャロルの案内でハムレット・マニアに併設されている応接室に通された。今日も一部の隙もない制服姿のショーンさんがキャロルの指示でお茶を用意してくれた。
「バレーリ領で生産されているフレーバーティーを用意しましたの」
「バレーリ領って、王立騎士団団長のカエサル様のご実家?」
「えぇ。今日のお話にうってつけかと思いまして。バレーリ侯爵家は部門の一族ではありますが、特産のひとつが花であることはご存知でしたか?」
「いえ、初めて知ったわ」
現侯爵はカエサル様の甥にあたる方だ。バレーリ家は王国の最南端に領土を持ち、海に面している。暖流の影響で冬場も雪が降ることはなく、火山に囲まれたうちの領土よりも暖かいと聞く。海を挟んでまた別の大陸が存在することから、この領は自前の海軍も有している。そのため一門の多くは武人で構成されており、カエサル様もまた騎士となって王立騎士団を率いているが、その領土の特産までは思い至れなかった。
「非常に温暖な地域ですので、王都では育たない花が育成できるのです。またバレーリ家の聖霊は地の守護ですから、土壌を豊にする地の聖霊石もふんだんに獲れます。ただ花の命はとても短いですから……。生花のまま王都まで運ぶことができないため、こうして別の製品を領内で生み出しているのですわ。お茶のほかにもポプリや香水などが有名ですね」
武門の家と美しい花、そのギャップがなかなかすごいが、かの地の風土を思えば自然な取り合わせだ。
私はキャロルに勧められてお茶を一口飲んだ。色味は紅茶よりも赤みがかっており、立ち上る香りは紅茶というより花々のそれだ。
「おいしい……それに香りがなんとも言えないわ」
「味もそうだが、見た目でも楽しめるようになってるんだ。ほら」
ライトネルが白磁のティーポットの蓋をひょいと取ってみせる。中を見るとそこには一輪の薔薇に似た花が浮かんでいた。
「うわぁ、きれい!」
「だろ? この美しさが貴族のご婦人方に人気なんだよ」
「本当は生花を楽しんでもらいたいけれど、それが叶わないから、こうしてまるごと一輪をフレーバーティにして、お湯を注ぐと花開くように作られているんですの。アイデアですわよね」
双子の丁寧に説明に私も深く肯く。こうすれば乾燥させた状態で王都に持ち込めるし、花の美しさもアピールできる。ありきたりの紅茶に飽きている貴族たちの興味を惹きつけること間違いなしだ。
「本当に、世の中にはいろいろなものがあるのね。でもどうせなら、中身が見えない白磁のポットより、透明のガラス製のポットに入れた方が、花がよく見えるのじゃないかしら」
「透明の……」
「ガラス製のポット……?」
私の何気ない発言に双子の目が点になった。そのまま数秒が経過する。
(あれ、私、何かおかしなこと言ったかな?)
だって前世ではハーブティーってわりと透明なティーセットで楽しんでいたと思うんだけど。この世界にもガラス製品はいっぱいあるし……。それともこの世界では何かタブーでもあるんだろうか。
私が首を傾げると、突然双子が立ち上がった。
「それですわ!! なんで今まで気づかなかったのかしら!!!」
「確かに!! わざわざ蓋を取らなくても中の花が見えるよな!!!」
「美しく浮かぶ花を見ながらお茶会! いける、これは流行りますわ!! それにガラスなら原価も白磁よりおさえられます!!!」
「それにガラスはバレーリ領のもうひとつの特産だ!! 領内にすでにガラス工房はあるからノウハウも十分だぞ!!」
「いくつかの工房に試作品を発注をして……工期はどれくらいになるかしら」
「むしろ個別に工房に当たるよりバレーリ侯爵に直接話を持ち込んでもいいんじゃないか? 恩も売れるし、専属契約を結べば他の商会に取られることなく独占できるぞ!!」
「ライトそれいい!」
「だろ!?」
「あとは保温性をどう確保するかよね、ガラスは磁気に比べていろいろ劣るわ……」
「部分的にガラスにしたのでいいんじゃないか? たとえば蓋だけとかでも……」
目の前で手を取り合ったかと思うと再びあーでもないこーでもないと呟き合う双子を、デジャブ感を持って眺める。そうか、透明なポットってこの世界では斬新なアイデアだったのか。まぁ双子に貢献できたのならよしとしよう。
それにしても、今の会話、阿吽の呼吸もさることながら双子のそれぞれの性格が垣間見えて面白い。流行に聡いキャロルが「流行る」と言い、各地のネットワークを使いこなすライトネルがガラスがバレーリ領の特産のひとつであることを思い出し、数字に強いキャロルがガラス製品と磁気物の原価の違いを弾き出し、売り方のアイデアを生み出すことに長けているライトネルが独占販売の方法を思いつく。
この2人って、得意なもの・足りないものを補いあえば最強の商人になれるんじゃないだろうか。そんな思いで隣のミシェルを見つめると、彼は澄ました顔でお茶をすすった。
「本当に、似た物同士って言葉がこれほど似合う2人も珍しいよね」
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