80 / 307
本編第一章
犯人探しが始まりました1
しおりを挟む
朝食の準備も終わらない中、父が玄関にマリサとルビィを呼んだ。マリサは台所で食事の準備中だったし、ルビィは各部屋のリネンを集めているところだった。ミリーはこの後8時に出勤してくるからまだいない。
事情を知らないであろう2人に、父は私の畑で起きた出来事を告げた。マリサは驚いてみせたが、ルビィの顔色は変わらない。この人はいつも表情を面に出さないから、驚いているのかそうでないのか、よくわからない。父の発言に続いて、ロイが今後の方針を説明した。
「というわけで、今し方旦那様からの説明があったように、人為的な可能性がある以上、犯人を突き止めねばなりません。そこでまずは、我々使用人の部屋を調べます」
「私たちの部屋ですかい?」
鼻白むマリサに、ロイは言葉を続けた。
「今後領民たちを調査するためにも、まずは我々使用人が潔白であることを証明しなければなりません。そうでなければ領民たちも、我々を信用してくれないでしょう。犯人は昨夜使用した衣服や道具を隠し持っている可能性があります。それらが部屋にないことを、まずは私たちが示しましょう」
「確かにそうだねぇ」
マリサの納得が得られたので、ロイは「ではさっそく開始しましょう」と使用人棟へ移動しようとした。
「お待ちください、何も全員で行かなくとも、ひとりずつでよいのではありませんか。まだ朝の仕事も済んでおりません」
ルビィが私たちの足を止める。彼女は特に焦っているというわけでもなく、いつもの冷静な表情のままだ。
「今日は洗濯の日ですから、ミリーが来る前に洗濯物の回収をしておきたいのです。冬の昼間は短いですから、すぐに作業にかかれるようにしておかないと、家事が予定通りに終わりません」
ルビィの言うことは一理あった。
我が家では家族の分も使用人の分もひっくるめて、2日に1回の割合で洗濯を行なっている。お天気の具合などでずれやすくはあるが、いつもはミリーとルシアンが半日ほどかけて手作業で洗濯してくれていた。水の精霊石を使えば洗濯は楽なのだが数に限りがあるので、精霊石を使うのは私や両親の衣服と、ロイとルビィの仕事用の正装、あとはカーテンやシーツなど、大きくて洗うのが面倒なものくらい。その他の普段着や下着、リネン類などは手作業で行なっている。冬場はなかなか辛い作業だが、土地柄が幸いして火の精霊石はふんだんにあるので、お湯にして利用できるから少しは楽なのだ。
だがルシアンが抜けてから、負担はミリーひとりにかかっている。継母やルビィは水の精霊石を使った洗濯は行うが、手作業の洗濯まではしない。ミリーが少しでも早く作業に取り掛かれるよう、ルビィが下準備だけ済ませておいてやるのが最近の日課だった。
メイド長として、家事が滞りなく回るよう差配するのが彼女の仕事だ。ロイもそこは納得しているはずだ。
「ルビィの言うことは尤もですが、今は緊急事態です。こちらを優先させます」
「緊急事態といっても、ただじゃがいもの畑が荒らされただけでしょう? それもお嬢様のおままごとのようなものですし。取り立てて大騒ぎするほどのものとは思えません」
おままごと、と彼女は私の計画を冷たく切り捨てた。喉元まで込み上げた反論をぐっと押さえ込む。これは領の将来をかけた土壌改良の実験だ。ままごとなんかであるはずがない。けれど、私にはそれを訴えるだけの声がなかった。秋植えはあくまで私の勝手な思いつき、うまくいくとは両親も思っていなかった、ということになっている、今この段階では。
悔しい思いを押し殺すように唇を噛む。そんな私の思いを汲んでくれたわけではないだろうが、ロイが言葉を続けた。
「ルビィ。あなたは状況がわかっていないようですね。これは、歴とした犯罪です。畑が人為的に荒らされ、農作物に被害が出ているのですよ?」
「ですが、犯罪だなんて、そんな大袈裟な……」
「これが領民の畑で起こっていたら、今頃領内は大騒ぎです。大切な食料が被害を被ったわけですからね。しかもさも猪の仕業であるかのように、小細工までしている。非常に狡猾なやり方です」
「……」
ロイの有無を言わさない態度に、さすがのルビィも押し黙った。それを肯定と受け取ったのか、彼は屋敷の外にある使用人棟に私たちを誘導した。
「さて、まずは私の部屋から、と言いたいところですが、ルビィの仕事が滞るのもよくないですから、先にルビィの部屋を見ることにしましょうか?」
「いえ、私はどちらでもかまいませんわ。先でも後でも」
「わかりました。それではやはり、私の部屋からまいりましょう」
そして彼は、自分の部屋の扉を開けた。
中は、私の部屋より少し小さいワンルームになっていた。窓際に机がひとつ、両壁際にベッドとクローゼットがひとつずつ、部屋の中央にソファとカフェテーブルがひとつの簡素な作りだ。
「旦那様、奥様、中へどうぞ。部屋が狭いですから、ルビィとマリサは廊下で待っていてください。お嬢様は入り口辺りからご覧いただけますか」
ロイの指示に従って、私は扉の付近で待機した。彼に誘導された両親が部屋の中へ入る。
「デスクの中、クローゼットの中、それにゴミ箱の中……ベッドの下もご確認ください」
彼の言葉に従って、両親がそれぞれ確認する。父はデスクの中とベッドの下を見、継母はクローゼットを開ける。
「奥様、箱の中などもどうぞご確認ください」
「わかったわ」
いくつか積まれた箱を開けると中には細々した物が入っていた。クローゼットに付随した引き出しも確認したが、怪しいものは何もない。
「ベッドの下も問題ないな」
顔をあげた父が告げる。狭い部屋なので確認はあっという間に終わった。
「あとは洗濯物ですが、すでにリネン室に出してしまいましたので、後で確認しにまいりましょう。ただ私の服はそれほど多くありません。正装は1組はお屋敷に、もう1組はここにある通りです。私服は今着ているものと、クローゼットにある一揃い、それにリネン室にある二揃いですべてです。これはいつも洗濯を担当してくれているミリーに聞けば証明できるはずです」
確かに、それだけ数に限りがあれば、ミリーの記憶にもあるだろう。ロイの持ち物に怪しいものはなかった。おそらく彼の仕業ではない。
「さて、続いてはマリサの部屋を見せてもらいましょうか」
「はいよ、旦那様方にお見せできるほど立派なものではないけどね」
そして彼女の部屋へと移動した。
我が家の使用人棟には全部で8つの部屋がある。大きいお屋敷では男女別なのだろうが、我が家ではそんな余裕もないので、棟はひとつだ。廊下の両脇に3つずつ部屋があり、これらは単身者用だ。その奥側には夫婦や家族で入居できる広めの部屋が2つある。ただし、現在使用されているのは一番右手前のロイの部屋と、そのお向かいにあるルビィの部屋、ルビィの隣のマリサの部屋だけだ。
「皆様どうぞ。そんなに散らかしちゃいないと思うけど」
こんな状況でもくったくない笑顔を見せながら、マリサが私たちを誘導した。
「こんなおばあちゃんですけどね、殿方にあまり見られたくないものもあるんですが、どうしたらいいですかね」
「確かにそうですね。ではマリサとルビィの部屋は奥様とお嬢様にチェックしていただきましょう。お二人とも、先ほど私の部屋で見たのと同じようにチェックしてみてください」
「わかったわ」
そして私と継母は部屋に入った。作りはロイの部屋とまったく同じ。カーテンやカーペットの模様が違う程度だ。
「服もお見せするんでしたっけね。私は制服はありませんからね、普段着が何枚かと、一張羅が一枚きりですよ」
クローゼットの中は、ロイよりは充実しているが、それでもたいした量ではない。いつも着ているワンピースに、替えのエプロンが2枚。ここにないものはリネン室にあるとのことだ。
ロイのときと同じようにチェックを済ませ、マリサの部屋は終わった。こちらも怪しいところは見当たらない。
「さて、最後はルビィですね」
名前を呼ばれたルビィは顔色ひとつ変えず、いつもの静かな佇まいで私たちの視線を受け止めた。
事情を知らないであろう2人に、父は私の畑で起きた出来事を告げた。マリサは驚いてみせたが、ルビィの顔色は変わらない。この人はいつも表情を面に出さないから、驚いているのかそうでないのか、よくわからない。父の発言に続いて、ロイが今後の方針を説明した。
「というわけで、今し方旦那様からの説明があったように、人為的な可能性がある以上、犯人を突き止めねばなりません。そこでまずは、我々使用人の部屋を調べます」
「私たちの部屋ですかい?」
鼻白むマリサに、ロイは言葉を続けた。
「今後領民たちを調査するためにも、まずは我々使用人が潔白であることを証明しなければなりません。そうでなければ領民たちも、我々を信用してくれないでしょう。犯人は昨夜使用した衣服や道具を隠し持っている可能性があります。それらが部屋にないことを、まずは私たちが示しましょう」
「確かにそうだねぇ」
マリサの納得が得られたので、ロイは「ではさっそく開始しましょう」と使用人棟へ移動しようとした。
「お待ちください、何も全員で行かなくとも、ひとりずつでよいのではありませんか。まだ朝の仕事も済んでおりません」
ルビィが私たちの足を止める。彼女は特に焦っているというわけでもなく、いつもの冷静な表情のままだ。
「今日は洗濯の日ですから、ミリーが来る前に洗濯物の回収をしておきたいのです。冬の昼間は短いですから、すぐに作業にかかれるようにしておかないと、家事が予定通りに終わりません」
ルビィの言うことは一理あった。
我が家では家族の分も使用人の分もひっくるめて、2日に1回の割合で洗濯を行なっている。お天気の具合などでずれやすくはあるが、いつもはミリーとルシアンが半日ほどかけて手作業で洗濯してくれていた。水の精霊石を使えば洗濯は楽なのだが数に限りがあるので、精霊石を使うのは私や両親の衣服と、ロイとルビィの仕事用の正装、あとはカーテンやシーツなど、大きくて洗うのが面倒なものくらい。その他の普段着や下着、リネン類などは手作業で行なっている。冬場はなかなか辛い作業だが、土地柄が幸いして火の精霊石はふんだんにあるので、お湯にして利用できるから少しは楽なのだ。
だがルシアンが抜けてから、負担はミリーひとりにかかっている。継母やルビィは水の精霊石を使った洗濯は行うが、手作業の洗濯まではしない。ミリーが少しでも早く作業に取り掛かれるよう、ルビィが下準備だけ済ませておいてやるのが最近の日課だった。
メイド長として、家事が滞りなく回るよう差配するのが彼女の仕事だ。ロイもそこは納得しているはずだ。
「ルビィの言うことは尤もですが、今は緊急事態です。こちらを優先させます」
「緊急事態といっても、ただじゃがいもの畑が荒らされただけでしょう? それもお嬢様のおままごとのようなものですし。取り立てて大騒ぎするほどのものとは思えません」
おままごと、と彼女は私の計画を冷たく切り捨てた。喉元まで込み上げた反論をぐっと押さえ込む。これは領の将来をかけた土壌改良の実験だ。ままごとなんかであるはずがない。けれど、私にはそれを訴えるだけの声がなかった。秋植えはあくまで私の勝手な思いつき、うまくいくとは両親も思っていなかった、ということになっている、今この段階では。
悔しい思いを押し殺すように唇を噛む。そんな私の思いを汲んでくれたわけではないだろうが、ロイが言葉を続けた。
「ルビィ。あなたは状況がわかっていないようですね。これは、歴とした犯罪です。畑が人為的に荒らされ、農作物に被害が出ているのですよ?」
「ですが、犯罪だなんて、そんな大袈裟な……」
「これが領民の畑で起こっていたら、今頃領内は大騒ぎです。大切な食料が被害を被ったわけですからね。しかもさも猪の仕業であるかのように、小細工までしている。非常に狡猾なやり方です」
「……」
ロイの有無を言わさない態度に、さすがのルビィも押し黙った。それを肯定と受け取ったのか、彼は屋敷の外にある使用人棟に私たちを誘導した。
「さて、まずは私の部屋から、と言いたいところですが、ルビィの仕事が滞るのもよくないですから、先にルビィの部屋を見ることにしましょうか?」
「いえ、私はどちらでもかまいませんわ。先でも後でも」
「わかりました。それではやはり、私の部屋からまいりましょう」
そして彼は、自分の部屋の扉を開けた。
中は、私の部屋より少し小さいワンルームになっていた。窓際に机がひとつ、両壁際にベッドとクローゼットがひとつずつ、部屋の中央にソファとカフェテーブルがひとつの簡素な作りだ。
「旦那様、奥様、中へどうぞ。部屋が狭いですから、ルビィとマリサは廊下で待っていてください。お嬢様は入り口辺りからご覧いただけますか」
ロイの指示に従って、私は扉の付近で待機した。彼に誘導された両親が部屋の中へ入る。
「デスクの中、クローゼットの中、それにゴミ箱の中……ベッドの下もご確認ください」
彼の言葉に従って、両親がそれぞれ確認する。父はデスクの中とベッドの下を見、継母はクローゼットを開ける。
「奥様、箱の中などもどうぞご確認ください」
「わかったわ」
いくつか積まれた箱を開けると中には細々した物が入っていた。クローゼットに付随した引き出しも確認したが、怪しいものは何もない。
「ベッドの下も問題ないな」
顔をあげた父が告げる。狭い部屋なので確認はあっという間に終わった。
「あとは洗濯物ですが、すでにリネン室に出してしまいましたので、後で確認しにまいりましょう。ただ私の服はそれほど多くありません。正装は1組はお屋敷に、もう1組はここにある通りです。私服は今着ているものと、クローゼットにある一揃い、それにリネン室にある二揃いですべてです。これはいつも洗濯を担当してくれているミリーに聞けば証明できるはずです」
確かに、それだけ数に限りがあれば、ミリーの記憶にもあるだろう。ロイの持ち物に怪しいものはなかった。おそらく彼の仕業ではない。
「さて、続いてはマリサの部屋を見せてもらいましょうか」
「はいよ、旦那様方にお見せできるほど立派なものではないけどね」
そして彼女の部屋へと移動した。
我が家の使用人棟には全部で8つの部屋がある。大きいお屋敷では男女別なのだろうが、我が家ではそんな余裕もないので、棟はひとつだ。廊下の両脇に3つずつ部屋があり、これらは単身者用だ。その奥側には夫婦や家族で入居できる広めの部屋が2つある。ただし、現在使用されているのは一番右手前のロイの部屋と、そのお向かいにあるルビィの部屋、ルビィの隣のマリサの部屋だけだ。
「皆様どうぞ。そんなに散らかしちゃいないと思うけど」
こんな状況でもくったくない笑顔を見せながら、マリサが私たちを誘導した。
「こんなおばあちゃんですけどね、殿方にあまり見られたくないものもあるんですが、どうしたらいいですかね」
「確かにそうですね。ではマリサとルビィの部屋は奥様とお嬢様にチェックしていただきましょう。お二人とも、先ほど私の部屋で見たのと同じようにチェックしてみてください」
「わかったわ」
そして私と継母は部屋に入った。作りはロイの部屋とまったく同じ。カーテンやカーペットの模様が違う程度だ。
「服もお見せするんでしたっけね。私は制服はありませんからね、普段着が何枚かと、一張羅が一枚きりですよ」
クローゼットの中は、ロイよりは充実しているが、それでもたいした量ではない。いつも着ているワンピースに、替えのエプロンが2枚。ここにないものはリネン室にあるとのことだ。
ロイのときと同じようにチェックを済ませ、マリサの部屋は終わった。こちらも怪しいところは見当たらない。
「さて、最後はルビィですね」
名前を呼ばれたルビィは顔色ひとつ変えず、いつもの静かな佇まいで私たちの視線を受け止めた。
56
お気に入りに追加
2,291
あなたにおすすめの小説
婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた
cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。
お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。
婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。
過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。
ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。
婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。
明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。
「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。
そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。
茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。
幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。
「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?!
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。
★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません
召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~
さとう
ファンタジー
生まれながらにして身に宿る『召喚獣』を使役する『召喚師』
誰もが持つ召喚獣は、様々な能力を持ったよきパートナーであり、位の高い召喚獣ほど持つ者は強く、憧れの存在である。
辺境貴族リグヴェータ家の末っ子アルフェンの召喚獣は最低も最低、手のひらに乗る小さな『モグラ』だった。アルフェンは、兄や姉からは蔑まれ、両親からは冷遇される生活を送っていた。
だが十五歳になり、高位な召喚獣を宿す幼馴染のフェニアと共に召喚学園の『アースガルズ召喚学園』に通うことになる。
学園でも蔑まれるアルフェン。秀な兄や姉、強くなっていく幼馴染、そしてアルフェンと同じ最底辺の仲間たち。同じレベルの仲間と共に絆を深め、一時の平穏を手に入れる
これは、全てを失う少年が最強の力を手に入れ、学園生活を送る物語。
今日で都合の良い嫁は辞めます!後は家族で仲良くしてください!
ユウ
恋愛
三年前、夫の願いにより義両親との同居を求められた私はは悩みながらも同意した。
苦労すると周りから止められながらも受け入れたけれど、待っていたのは我慢を強いられる日々だった。
それでもなんとななれ始めたのだが、
目下の悩みは子供がなかなか授からない事だった。
そんなある日、義姉が里帰りをするようになり、生活は一変した。
義姉は子供を私に預け、育児を丸投げをするようになった。
仕事と家事と育児すべてをこなすのが困難になった夫に助けを求めるも。
「子供一人ぐらい楽勝だろ」
夫はリサに残酷な事を言葉を投げ。
「家族なんだから助けてあげないと」
「家族なんだから助けあうべきだ」
夫のみならず、義両親までもリサの味方をすることなく行動はエスカレートする。
「仕事を少し休んでくれる?娘が旅行にいきたいそうだから」
「あの子は大変なんだ」
「母親ならできて当然よ」
シンパシー家は私が黙っていることをいいことに育児をすべて丸投げさせ、義姉を大事にするあまり家族の団欒から外され、我慢できなくなり夫と口論となる。
その末に。
「母性がなさすぎるよ!家族なんだから協力すべきだろ」
この言葉でもう無理だと思った私は決断をした。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
噂好きのローレッタ
水谷繭
恋愛
公爵令嬢リディアの婚約者は、レフィオル王国の第一王子アデルバート殿下だ。しかし、彼はリディアに冷たく、最近は小動物のように愛らしい男爵令嬢フィオナのほうばかり気にかけている。
ついには殿下とフィオナがつき合っているのではないかという噂まで耳にしたリディアは、婚約解消を申し出ることに。しかし、アデルバートは全く納得していないようで……。
※二部以降雰囲気が変わるので、ご注意ください。少し後味悪いかもしれません(主人公はハピエンです)
※小説家になろうにも掲載しています
◆表紙画像はGirly Dropさんからお借りしました
(旧題:婚約者は愛らしい男爵令嬢さんのほうがお好きなようなので、婚約解消を申し出てみました)
「白い結婚最高!」と喜んでいたのに、花の香りを纏った美形旦那様がなぜか私を溺愛してくる【完結】
清澄 セイ
恋愛
フィリア・マグシフォンは子爵令嬢らしからぬのんびりやの自由人。自然の中でぐうたらすることと、美味しいものを食べることが大好きな恋を知らないお子様。
そんな彼女も18歳となり、強烈な母親に婚約相手を選べと毎日のようにせっつかれるが、選び方など分からない。
「どちらにしようかな、天の神様の言う通り。はい、決めた!」
こんな具合に決めた相手が、なんと偶然にもフィリアより先に結婚の申し込みをしてきたのだ。相手は王都から遠く離れた場所に膨大な領地を有する辺境伯の一人息子で、顔を合わせる前からフィリアに「これは白い結婚だ」と失礼な手紙を送りつけてくる癖者。
けれど、彼女にとってはこの上ない条件の相手だった。
「白い結婚?王都から離れた田舎?全部全部、最高だわ!」
夫となるオズベルトにはある秘密があり、それゆえ女性不信で態度も酷い。しかも彼は「結婚相手はサイコロで適当に決めただけ」と、面と向かってフィリアに言い放つが。
「まぁ、偶然!私も、そんな感じで選びました!」
彼女には、まったく通用しなかった。
「なぁ、フィリア。僕は君をもっと知りたいと……」
「好きなお肉の種類ですか?やっぱり牛でしょうか!」
「い、いや。そうではなく……」
呆気なくフィリアに初恋(?)をしてしまった拗らせ男は、鈍感な妻に不器用ながらも愛を伝えるが、彼女はそんなことは夢にも思わず。
──旦那様が真実の愛を見つけたらさくっと離婚すればいい。それまでは田舎ライフをエンジョイするのよ!
と、呑気に蟻の巣をつついて暮らしているのだった。
※他サイトにも掲載中。
俺が悪役令嬢になって汚名を返上するまで (旧タイトル・男版 乙女ゲーの悪役令嬢になったよくある話)
南野海風
ファンタジー
気がついたら、俺は乙女ゲーの悪役令嬢になってました。
こいつは悪役令嬢らしく皆に嫌われ、周囲に味方はほぼいません。
完全没落まで一年という短い期間しか残っていません。
この無理ゲーの攻略方法を、誰か教えてください。
ライトオタクを自認する高校生男子・弓原陽が辿る、悪役令嬢としての一年間。
彼は令嬢の身体を得て、この世界で何を考え、何を為すのか……彼の乙女ゲーム攻略が始まる。
※書籍化に伴いダイジェスト化しております。ご了承ください。(旧タイトル・男版 乙女ゲーの悪役令嬢になったよくある話)
自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!
ゆずこしょう
恋愛
ティアナ・ノヴァ(15)には1人の変わった友人がいる。
ニーナ・ルルー同じ年で小さい頃からわたしの後ろばかり追ってくる、少しめんどくさい赤毛の少女だ。
そしていつも去り際に一言。
「私はヒロインなの!あなたはモブよ!」
ティアナは思う。
別に物語じゃないのだし、モブでいいのではないだろうか…
そんな一言を言われるのにも飽きてきたので私は学院生活の3年間ニーナから隠れ切ることに決めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる