55 / 99
第4章 呉の進出
54 新作魔法
しおりを挟む
豚狩村で正義さんに敗北をした俺は、森谷村に帰ると早速新しい魔法のプログラミングに取りかかっていた。
「よし、こんなところかな。どうかな、コン先生?」
≪解。各設定値の調整に不安有り。テスト実施は推奨できません≫
「各設定値は、テストを実施しないと決められないだろ? じゃあ、やるしか無いよ、コン先生」
≪解。マスターの決定に従いますが。マスターは楽しんでいます≫
む! 鋭いなコン先生! 最近、コン先生は話し方がウェットというか、凄く人間的になってきている気がする。
「まあ、いざとなればコン先生がいるし。いざとならないように、努力はするけどね」
≪いざと成らずとも、いつでもご命令下さい≫
俺が店の倉庫がある中庭に来ると、そこに千春さんが来ていた。
「千春さん、お久しぶりですね。魔女邸のお仕事は順調ですか?」
「巧魔氏のお陰で順調です。むしろあれしか働いてないのにお給料を貰いすぎていますです」
「お金は気にしなくて大丈夫ですよ。ゴーレム達が稼いで来てくれますからね。それで、今日は?」
「ふっふっふ。巧魔氏が新しい改編魔法を開発されたと聞き付けていてもたってもいられずやって来ました」
「千春さんは本当に魔法が好きですね。尊敬します」
「尊敬?! 巧魔氏があたしを?! それはおかしいです。逆ですよ、むしろあたしが巧魔氏を尊敬ですから! あたしは大好きなんです! あ、いや、巧魔氏がじゃないですよ、巧魔氏の改編魔法が……」
千春さんは興奮した様子でまくし立てる。よっぽど魔法がすきなんだなあ、この人は。
「聞き捨てならないセリフだよ! 乙葉の巧魔くんが好きだなんて駄目なんだよ!」
見れば、乙葉が仁王立ちで、ブンブンといった表情を浮かべている。青い髪はずいぶん伸びてきたようで、今日は二つに縛って編み込んである。いやー、大きくなったなあ、乙葉。何だか親戚のおじさんになったような気分だ。
「乙葉氏、違うよ、お姉ちゃんはそういう意味で言ったんじゃ無くてね……」
「乙葉の巧魔ちゃんなんだからー! だめっ!」
「うー。 巧魔氏、何とかして下さいよ」
「乙葉ー、お姉ちゃんは僕の魔法が好きなだけで、僕の事は好きじゃないから大丈夫だよ」
「ホント? じゃあいいよ、お姉ちゃん」
ふう、良かった。乙葉が癇癪を起こすと止まらなくなるからな。
「……別に好きでないわけでは無いんですが」
「? 何か言いましたか? 千春さん」
「いえ! 何にもですです! 乙葉ちゃん、これから巧魔氏が魔法を使って危ないからこっちに来ようねー」
何か千春さんが言った気がしたが、気のせいのようだ。俺は気持ちを切り替えて改編魔法テストの準備に取りかかった。
「よし、こんなところかな。どうかな、コン先生?」
≪解。各設定値の調整に不安有り。テスト実施は推奨できません≫
「各設定値は、テストを実施しないと決められないだろ? じゃあ、やるしか無いよ、コン先生」
≪解。マスターの決定に従いますが。マスターは楽しんでいます≫
む! 鋭いなコン先生! 最近、コン先生は話し方がウェットというか、凄く人間的になってきている気がする。
「まあ、いざとなればコン先生がいるし。いざとならないように、努力はするけどね」
≪いざと成らずとも、いつでもご命令下さい≫
俺が店の倉庫がある中庭に来ると、そこに千春さんが来ていた。
「千春さん、お久しぶりですね。魔女邸のお仕事は順調ですか?」
「巧魔氏のお陰で順調です。むしろあれしか働いてないのにお給料を貰いすぎていますです」
「お金は気にしなくて大丈夫ですよ。ゴーレム達が稼いで来てくれますからね。それで、今日は?」
「ふっふっふ。巧魔氏が新しい改編魔法を開発されたと聞き付けていてもたってもいられずやって来ました」
「千春さんは本当に魔法が好きですね。尊敬します」
「尊敬?! 巧魔氏があたしを?! それはおかしいです。逆ですよ、むしろあたしが巧魔氏を尊敬ですから! あたしは大好きなんです! あ、いや、巧魔氏がじゃないですよ、巧魔氏の改編魔法が……」
千春さんは興奮した様子でまくし立てる。よっぽど魔法がすきなんだなあ、この人は。
「聞き捨てならないセリフだよ! 乙葉の巧魔くんが好きだなんて駄目なんだよ!」
見れば、乙葉が仁王立ちで、ブンブンといった表情を浮かべている。青い髪はずいぶん伸びてきたようで、今日は二つに縛って編み込んである。いやー、大きくなったなあ、乙葉。何だか親戚のおじさんになったような気分だ。
「乙葉氏、違うよ、お姉ちゃんはそういう意味で言ったんじゃ無くてね……」
「乙葉の巧魔ちゃんなんだからー! だめっ!」
「うー。 巧魔氏、何とかして下さいよ」
「乙葉ー、お姉ちゃんは僕の魔法が好きなだけで、僕の事は好きじゃないから大丈夫だよ」
「ホント? じゃあいいよ、お姉ちゃん」
ふう、良かった。乙葉が癇癪を起こすと止まらなくなるからな。
「……別に好きでないわけでは無いんですが」
「? 何か言いましたか? 千春さん」
「いえ! 何にもですです! 乙葉ちゃん、これから巧魔氏が魔法を使って危ないからこっちに来ようねー」
何か千春さんが言った気がしたが、気のせいのようだ。俺は気持ちを切り替えて改編魔法テストの準備に取りかかった。
0
お気に入りに追加
1,077
あなたにおすすめの小説
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
転生幼女の怠惰なため息
(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン…
紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢
座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!!
もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。
全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。
作者は極度のとうふメンタルとなっております…
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる