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第6章 呉との闘い
84 モンスター討伐依頼 街の広場にて
しおりを挟む『魔獣林道入り口にてウルフ系モンスターの異常繁殖を確認。腕に覚えのある冒険者は討伐に参加されたし。
参加必須ランク:D
参加上限数:無制限
報酬形態:参加報酬の銀貨1枚
討伐数によるボーナス支給有』
「これが立て札か。なんか模様が書いてあるけど」
俺たちは城の奥にある中央公園に来ていた。
公園に掲げられた立て札の周りには、多くの人々が集まっていた。ざっと50人くらいはいるんじゃないかな。
「模様? 崩してあるがこれは東語|《あずまご》だぞ」
鈴音に読み上げてもらい、初めて立て札の意味が分かった。すると、不思議な事が起こる。
「いやまてよ。読めるぞ。普通に」
今度は立て札に書いてあるのは日本語だ。かなり崩してあるがそれなりに読める。おかしい。確かにさっきまではただの模様に見えた。崩した字とかそんな程度ではなかったはずだ。
《マスタ。東語翻訳ツールを更新し、崩し語変換の対応が出来るようになりました》
(おわっ、コン先生! 東語翻訳ツール……。もしかして、今まで俺が文字に苦労しなかったのってコン先生のおかげ?)
《解。東語による音声及び文字列はすべてマスターの理解可能な言語へ変換しています》
そうだったのか。ってか、今更気がつく俺って……。
俺が少しブルーになっているところへ、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「モンスター討伐に参加者はこちらへ! これよりプレートを配布する!」
誰かと思ったら、あれは龍選隊だ。周りにいた冒険者たちが皆集まっていく。龍選隊から銀色の金属片を受け取っている。
「あれは何を受け取ってるんですか?」
「あれは通称【プレート】と呼ばれる記録型魔道器の一種です。所持者のモンスター討伐数が記録される仕組みになってますです。討伐開始前に配布され、討伐語に回収。討伐数に応じて報奨金が支給されますです」
「へえ。便利なんですね」
フラッシュメモリみたいなものだろうか。しかし読み書きされる仕組みが分からないな。もしその仕組みが分かれば何かに応用できるかもしれない。
「さあ、私たちもいきますです」
俺たちはプレートを受け取る冒険者たちの列に加わる。皆いろいろな装備を身につけているようだ。騎士のような格好の者もいれば、半裸姿に兜を身につけているような者もいて、眺めていて退屈しない。
「はい、次の者――って巧魔様! 巧魔様も討伐に?」
「またお会いしましたね。ええ、修行のいっかんで」
「十分お強いのに日々の鍛錬を弛まぬとは。わたくし感服です!」
「いえいえ……」
「どうすればそこまでお強くなれるのか――いえ、お答えする必要は御座いません! 我々巧魔様の背中を追って必ずやその強さに――」
「あのう早くプレートを……」
ようやく龍選隊からプレートを受け取り、俺たちは魔獣林道行きの馬車に乗り込んだ。
「おじゃまします……って」
「おう、また会ったな」
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