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極小世界へようこそ
micro014 死出の旅路は道づれと共に
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あれはまさしく俺たちの兄弟、ミジンコだ。生きていたんだな。もう俺とグリ以外はミドリムシの腹の中だと思ってたぜ。
助けたい。助けたいという、気持ちはあるよ。うん。しかしなあ……すてーたすおーぷん。
「HP:0.09/0.33」
うん、もう一回見ても変わってない。ですよねー。さっきの今ですもんねー。
「キュウ……?(助けないの?)」
う。そんなつぶらな瞳で俺を見るな!
ああもう仕方ないなあ。まあ、酸耐性Lv3になってるからな。さっきは油断して顔をあいつの中にずっぷりとひたしてしまった。
こう、一瞬で突いて一瞬で引けば何とかなるかもしれん。『ヒットアンドウェイとがる』作戦だ。
――あ、やべえ。
ぐだぐだしているうちに、はぐれミジンコがアメーバに囲まれていた。1、2、3。全部で3体か。全部を相手にしたら100%負ける。1体をさくっと倒して、即脱出だ。
あいつらは瞬発的なスピードはあるが、総合的なスピードは俺に劣るな。逃げ切れるはずだ。
「キュウ!(グリ、お前はここで待機)」
スピードで劣るグリにあいつらの相手は無理だ。ここで待機していてもらう。
「キュウ!(僕も戦える!)」
「キュウ、キュウキュウ(大丈夫だ、お前には別に大事な任務がある)」
「キュウ! キュウキュウ!(大事な任務! 分かった待ってる!)」
よし、でははぐれミジンコ君が溶かされないうちに助けてやるか。
「キュウウウー!」
俺はでっかく鳴き声を挙げながらアメーバの群れに突進する
多勢で油断しきっていたのか、俺の突進にろくに反応できず固まっている。チャンスだ!
一番手前の1体に狙いを定める。いくぞ、ヒットアンドウェイ!
プス! ジュッッ!
あっっつっ!! やっぱり熱っつい!
《酸耐性がLv4になりました》
残りHPは? 『HP:0.02/0.33』 うわ、あっぶねえ! でも何とかなった!
それであいつは――いた! おい! こっちだ、走れ!
「……キュウ!」
少し小柄なミジンコは始め驚いて止まっていたが、状況を理解したのかすぐに走り出した。
逃げろ逃げろ! ――くそ! やっぱり追ってきやがるか!
アメーバたちが俺たちを追いかける。ああ、体が熱くてだるい。これやばいかもしれん。
俺のスピードがどんどん落ちていく。
ステータスを確認すると『HP:0.01/0.33』となっていた。まじか、まだ酸のダメージが。
肌にはまだじくじくと焼けるような痛みがある。酸がまだ俺の外殻を侵食しているんだろう。
くそー、やっぱ無理だったか。だけど共倒れは出来ねえ。
「キュウ! キュウキュウ!(おいチビ! 何があっても後ろを振り向くなよ! 走り抜けろ!)」
俺がしんがりを勤めてやる。せいぜい俺に感謝して長生きしろや!
俺は走るのをやめ立ち止まる。アメーバはすぐ近くまで来ていた。
へっ、ただではやられねえ! 1体はおれのとがるで道づれだ!
助けたい。助けたいという、気持ちはあるよ。うん。しかしなあ……すてーたすおーぷん。
「HP:0.09/0.33」
うん、もう一回見ても変わってない。ですよねー。さっきの今ですもんねー。
「キュウ……?(助けないの?)」
う。そんなつぶらな瞳で俺を見るな!
ああもう仕方ないなあ。まあ、酸耐性Lv3になってるからな。さっきは油断して顔をあいつの中にずっぷりとひたしてしまった。
こう、一瞬で突いて一瞬で引けば何とかなるかもしれん。『ヒットアンドウェイとがる』作戦だ。
――あ、やべえ。
ぐだぐだしているうちに、はぐれミジンコがアメーバに囲まれていた。1、2、3。全部で3体か。全部を相手にしたら100%負ける。1体をさくっと倒して、即脱出だ。
あいつらは瞬発的なスピードはあるが、総合的なスピードは俺に劣るな。逃げ切れるはずだ。
「キュウ!(グリ、お前はここで待機)」
スピードで劣るグリにあいつらの相手は無理だ。ここで待機していてもらう。
「キュウ!(僕も戦える!)」
「キュウ、キュウキュウ(大丈夫だ、お前には別に大事な任務がある)」
「キュウ! キュウキュウ!(大事な任務! 分かった待ってる!)」
よし、でははぐれミジンコ君が溶かされないうちに助けてやるか。
「キュウウウー!」
俺はでっかく鳴き声を挙げながらアメーバの群れに突進する
多勢で油断しきっていたのか、俺の突進にろくに反応できず固まっている。チャンスだ!
一番手前の1体に狙いを定める。いくぞ、ヒットアンドウェイ!
プス! ジュッッ!
あっっつっ!! やっぱり熱っつい!
《酸耐性がLv4になりました》
残りHPは? 『HP:0.02/0.33』 うわ、あっぶねえ! でも何とかなった!
それであいつは――いた! おい! こっちだ、走れ!
「……キュウ!」
少し小柄なミジンコは始め驚いて止まっていたが、状況を理解したのかすぐに走り出した。
逃げろ逃げろ! ――くそ! やっぱり追ってきやがるか!
アメーバたちが俺たちを追いかける。ああ、体が熱くてだるい。これやばいかもしれん。
俺のスピードがどんどん落ちていく。
ステータスを確認すると『HP:0.01/0.33』となっていた。まじか、まだ酸のダメージが。
肌にはまだじくじくと焼けるような痛みがある。酸がまだ俺の外殻を侵食しているんだろう。
くそー、やっぱ無理だったか。だけど共倒れは出来ねえ。
「キュウ! キュウキュウ!(おいチビ! 何があっても後ろを振り向くなよ! 走り抜けろ!)」
俺がしんがりを勤めてやる。せいぜい俺に感謝して長生きしろや!
俺は走るのをやめ立ち止まる。アメーバはすぐ近くまで来ていた。
へっ、ただではやられねえ! 1体はおれのとがるで道づれだ!
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