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番外編
いい夫婦の日 1
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いつもより早く目覚めたシェイラは、うしろからしっかりと抱きしめるイーヴの腕の中からこっそりと抜け出した。
本当はもう少しこのあたたかい身体に包まれて微睡んでいたいところだが、今日はすることがあるのだ。
手早く着替えを済ませたシェイラは、まだイーヴがぐっすりと眠っていることを確認すると、足音を忍ばせて部屋を出た。
向かった先は、調理場だ。すでに料理人のアルバンが支度を始めているようで、いい匂いが漂っている。
「おはようございます、アルバンさん」
「おう、おはよう嬢ちゃん。準備は整ってるぞ」
目尻の皺を深めて笑うアルバンは、料理の手を止めると作業台を指差した。そこには焼きたてのパンと、色とりどりの野菜と燻製肉が並べられていた。
今日はこれから、イーヴのために朝食を作るのだ。時々アルバンの手伝いをすることはあっても、しっかりと食事を作るのは初めてだ。
それでも今朝は、シェイラが彼のための食事を作りたいのだ。今日は、特別な日だから。
「パンの上にバターを塗って燻製肉を置いたら、このソースを少しだけかける。その上に野菜を好きなように乗せれば出来上がりだ。簡単だろう?」
「はい!」
張り切って腕まくりをしたシェイラは、パンの上に具材を丁寧に並べていく。凝った料理は作れないが、これくらいならシェイラにだってできる。
「……できた!」
得意げに顔を上げれば、アルバンがよくできたご褒美だと言って甘いフルーツを口に放り込んでくれた。
本当はもう少しこのあたたかい身体に包まれて微睡んでいたいところだが、今日はすることがあるのだ。
手早く着替えを済ませたシェイラは、まだイーヴがぐっすりと眠っていることを確認すると、足音を忍ばせて部屋を出た。
向かった先は、調理場だ。すでに料理人のアルバンが支度を始めているようで、いい匂いが漂っている。
「おはようございます、アルバンさん」
「おう、おはよう嬢ちゃん。準備は整ってるぞ」
目尻の皺を深めて笑うアルバンは、料理の手を止めると作業台を指差した。そこには焼きたてのパンと、色とりどりの野菜と燻製肉が並べられていた。
今日はこれから、イーヴのために朝食を作るのだ。時々アルバンの手伝いをすることはあっても、しっかりと食事を作るのは初めてだ。
それでも今朝は、シェイラが彼のための食事を作りたいのだ。今日は、特別な日だから。
「パンの上にバターを塗って燻製肉を置いたら、このソースを少しだけかける。その上に野菜を好きなように乗せれば出来上がりだ。簡単だろう?」
「はい!」
張り切って腕まくりをしたシェイラは、パンの上に具材を丁寧に並べていく。凝った料理は作れないが、これくらいならシェイラにだってできる。
「……できた!」
得意げに顔を上げれば、アルバンがよくできたご褒美だと言って甘いフルーツを口に放り込んでくれた。
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