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ずっと一緒
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再び欲を吐き出したイーヴは、小さく息を吐いてようやくシェイラの身体を降ろした。床に足をついた瞬間に崩れ落ちそうになったので、結局またイーヴに抱き上げられることになったのだけど。
自力で身体を支えていられないほどに消耗したシェイラを心配して、イーヴは慌てたようにベッドまで運んでくれた。
背中を預けるためのクッションを用意して、水差しから水を注ぎ、身体が冷えないようにと毛布までかけてもらい、イーヴの過保護っぷりにシェイラはくすくすと笑う。
「ごめん、シェイラ。あまりに気持ちよくてつい、我を忘れて……」
「ふふ、大丈夫。私もすごく気持ちよかったです」
やりすぎたと申し訳なさそうに眉を下げるイーヴに首を振ってみせて、シェイラはこの部屋に来た時に身に着けていたガウンを取ってほしいとイーヴに頼む。寒いのかと心配そうにする彼に笑いながら、シェイラはガウンのポケットに入れた小さな包みを取り出した。
「これをね、イーヴに渡したかったの」
「これは?」
首をかしげるイーヴの手のひらの上に包みを乗せて、開けるようにと促す。まるで壊れ物を扱うかのように慎重な手つきで包みを開いたイーヴは、中身を確認して目を見開いた。
「バングル、か」
「うん。イーヴも私にこのバングルをくれたでしょう。私も何かお返しをしたくて」
「綺麗だ。着けても?」
「もちろんです」
そっと左腕にバングルを着けたイーヴは、灯りにかざして嬉しそうに笑う。
「ありがとう、シェイラ。大切にする。これ、まるでシェイラの瞳みたいだな」
中央に飾られた青い石を指して、イーヴが笑う。言わなくても気づいてくれたことに嬉しさと照れくささが入り混じって、シェイラは緩んだ頬を隠すかのようにイーヴに抱きついた。
「……っと、シェイラ。そんなにくっつくとまた……」
「え?」
わたわたと困ったように身体を離そうとするイーヴに首をかしげていると、毛布越しに脚にごりっと硬いものが触れた。
もしかしてと視線を下げた先には、すっかり力を取り戻したイーヴのもの。
「わぁ、嘘、また?」
「仕方ないだろう、ずっと我慢してたシェイラとついに結ばれて、番いの証まで刻んだんだ。一晩中でも抱き足りないくらいだ」
「えええ……、イーヴってもしかして、絶倫……」
「どこでそんな言葉覚えたんだ……って、例の本だな」
「えへへ、正解です。一晩中って、本の中だけじゃなかったんだ!」
「なんでそんなに嬉しそうなのか分からんが、それは一晩中抱かれても構わないということか?」
まるで押し倒すような体勢でのぞき込んでくるイーヴに、シェイラは笑ってうなずいた。
「望むところですよ。大好きな人とは、ずっとくっついていたいもの」
「もう、取り消せないからな」
「大丈夫。だけど、あまり意地悪はしないでね?」
「……善処する」
その答えに声を上げて笑い、シェイラはイーヴの首裏に手を回して引き寄せた。優しく降ってくる口づけに笑みを浮かべて、シェイラは羽織っていた毛布をベッドの下に落とした。
結局、一晩中どころか翌日になって陽が高く昇ってもシェイラはベッドから出ることはできなかった。
何度も抱き合い、合間に食事をして、入浴をして、そしてまた交わる。
イーヴの無尽蔵な体力に慄きつつも、シェイラがそれについていくことのできたのは、きっと竜族の力をイーヴからもらったからなのだろう。
お互いの首筋に浮かぶ痣に口づけつつ身体を繋げるのはこれ以上ないほどに心地よくて、数えきれないほどに二人は愛しあった。
自力で身体を支えていられないほどに消耗したシェイラを心配して、イーヴは慌てたようにベッドまで運んでくれた。
背中を預けるためのクッションを用意して、水差しから水を注ぎ、身体が冷えないようにと毛布までかけてもらい、イーヴの過保護っぷりにシェイラはくすくすと笑う。
「ごめん、シェイラ。あまりに気持ちよくてつい、我を忘れて……」
「ふふ、大丈夫。私もすごく気持ちよかったです」
やりすぎたと申し訳なさそうに眉を下げるイーヴに首を振ってみせて、シェイラはこの部屋に来た時に身に着けていたガウンを取ってほしいとイーヴに頼む。寒いのかと心配そうにする彼に笑いながら、シェイラはガウンのポケットに入れた小さな包みを取り出した。
「これをね、イーヴに渡したかったの」
「これは?」
首をかしげるイーヴの手のひらの上に包みを乗せて、開けるようにと促す。まるで壊れ物を扱うかのように慎重な手つきで包みを開いたイーヴは、中身を確認して目を見開いた。
「バングル、か」
「うん。イーヴも私にこのバングルをくれたでしょう。私も何かお返しをしたくて」
「綺麗だ。着けても?」
「もちろんです」
そっと左腕にバングルを着けたイーヴは、灯りにかざして嬉しそうに笑う。
「ありがとう、シェイラ。大切にする。これ、まるでシェイラの瞳みたいだな」
中央に飾られた青い石を指して、イーヴが笑う。言わなくても気づいてくれたことに嬉しさと照れくささが入り混じって、シェイラは緩んだ頬を隠すかのようにイーヴに抱きついた。
「……っと、シェイラ。そんなにくっつくとまた……」
「え?」
わたわたと困ったように身体を離そうとするイーヴに首をかしげていると、毛布越しに脚にごりっと硬いものが触れた。
もしかしてと視線を下げた先には、すっかり力を取り戻したイーヴのもの。
「わぁ、嘘、また?」
「仕方ないだろう、ずっと我慢してたシェイラとついに結ばれて、番いの証まで刻んだんだ。一晩中でも抱き足りないくらいだ」
「えええ……、イーヴってもしかして、絶倫……」
「どこでそんな言葉覚えたんだ……って、例の本だな」
「えへへ、正解です。一晩中って、本の中だけじゃなかったんだ!」
「なんでそんなに嬉しそうなのか分からんが、それは一晩中抱かれても構わないということか?」
まるで押し倒すような体勢でのぞき込んでくるイーヴに、シェイラは笑ってうなずいた。
「望むところですよ。大好きな人とは、ずっとくっついていたいもの」
「もう、取り消せないからな」
「大丈夫。だけど、あまり意地悪はしないでね?」
「……善処する」
その答えに声を上げて笑い、シェイラはイーヴの首裏に手を回して引き寄せた。優しく降ってくる口づけに笑みを浮かべて、シェイラは羽織っていた毛布をベッドの下に落とした。
結局、一晩中どころか翌日になって陽が高く昇ってもシェイラはベッドから出ることはできなかった。
何度も抱き合い、合間に食事をして、入浴をして、そしてまた交わる。
イーヴの無尽蔵な体力に慄きつつも、シェイラがそれについていくことのできたのは、きっと竜族の力をイーヴからもらったからなのだろう。
お互いの首筋に浮かぶ痣に口づけつつ身体を繋げるのはこれ以上ないほどに心地よくて、数えきれないほどに二人は愛しあった。
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