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発情 ★

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 屋敷に戻ると、青い顔をしたレジスとエルフェに出迎えられた。媚薬のせいでぼんやりとしてはいるものの、シェイラの無事を確認して彼らの表情が少し緩む。
 レジスに解毒剤の調合を命じると、イーヴはシェイラをそのまま部屋に連れて行った。そっとベッドの上に下ろされて、ようやく戻ってこられたと安心するのと同時に、身体の奥の疼きに耐えられなくなる。
「イーヴ、熱いの……、苦し……」
「シェイラ、大丈夫だ。もうすぐ解毒剤ができあがる」
「だめ、もうむり……、お願い、たすけて」
 半分泣きながら腕を掴んで訴えると、イーヴは神妙な表情でうなずいた。
「分かった、薬ができるまでの間な。少し発散すれば、楽になるだろうし」 
 そうじゃない、本当はめちゃくちゃに抱いてほしいのに、それを言い出すことができずにシェイラはうつむいた。

 イーヴの手が、ゆっくりとシェイラの服を脱がせていく。熱をもった身体は外気に触れるだけで快楽を拾ってしまい、シェイラは小さく喘ぎながら自らも服を脱ぎ捨てた。
「もっと、イーヴ……」
 堪えきれなくなって、シェイラはイーヴの手を取ると胸へと導いた。すでに硬く尖った胸の先は、真っ赤に熟れて触れられるのを待っている。
「こうか?」
「っあ、んんっ、こっちも、……」
 指先でぐりっと押しつぶすようにされて、快楽で目の前に白い光が弾けた。まるで差し出すように背をしならせながら、シェイラはもう片方への刺激をねだる。それに応えるように、イーヴはもう片方を口に含んだ。舌先で転がされ、軽く甘噛みされてシェイラの口からは悲鳴のような声がこぼれ落ちる。
 媚薬の効果か、胸だけで達してしまったシェイラは、くたりとシーツの上に崩れ落ちた。
「シェイラ、少しは楽になったか?」
 首を振ったシェイラは、顔をのぞき込んできたイーヴの首裏に手を回して引き寄せる。
「まだ、全然足りないの。もっと……」
「それなら」
 うなずいたイーヴは、シェイラに口づけを落とすと指を脚の間へと滑らせた。すでにシーツに垂れるほどに蜜をたたえていたそこは、ぐちゅりと音を立ててイーヴの指を歓迎する。まだ指が微かに触れただけなのに、それだけで強烈な快楽を得て、シェイラは大きく身体を跳ねさせた。
「こっちの方が気持ちよさそうだな」
「ん、もっと、もっとして……」
「分かってる」
 熱に浮かされて欲望を口にするシェイラの頭を優しく撫でて、イーヴは指を中へと沈めていった。もっと奥までとねだるように、身体が勝手に指を締めつける。だけど、まだ全然足りない。
 指を増やされ、中を執拗に擦り上げられても、物足りなさは募るばかり。本当に欲しいものは、指なんかじゃない。
「イーヴ、お願……、ゆび、じゃ、足りない……っ」
「うん、こっちも可愛がろうな」
 シェイラの言いたいことは分かっているはずなのに、イーヴははぐらかすように笑って親指で花芽をぐりっと押し潰した。
「っあ……あぁっ」
 媚薬のせいで感度が上がっているのに加えて、イーヴはシェイラの弱い場所を熟知している。内側を押し上げるようにしながら花芽を爪で引っ搔くようにされて、シェイラはあっという間に絶頂へと押し上げられてしまった。
 
 何度か大きく震えたあと力を失った身体を一度抱きしめると、イーヴは身体を起こした。どうやら部屋を誰かがノックしたようで、シェイラの身体に毛布を掛けると少し待つように言い残してドアへと向かう。
 すぐに戻ってきたイーヴの手には、緑色をした液体の入った小瓶が握られていた。
「解毒剤ができあがった。飲めばきっとすぐに楽になる。よく頑張ったな」
 そっと抱き起こして小瓶を口元に近づけてくれるイーヴに、シェイラは小さく首を振った。
「……いらない」
「シェイラ、どうして」
「イーヴに抱いてもらえば、良くなるんでしょう。薬なんて、いらない。私を、抱いて……イーヴ」
 達したことで少し落ち着いたはずの身体は、またじわじわと熱に侵食されていく。
 ひとつも乱れていない服の下、それでも硬くなっているイーヴの下半身に手を伸ばして撫でさする。
「これが、欲しいの」
 ぎゅうっと握って見上げると、イーヴが大きく目を見開いた。
「シェイラ、だめだ」
 止めようとするイーヴに反抗するように、シェイラは離すまいと握った手に力を込めた。
「……っく、手を、離してくれ、シェイラ」
「いや。してくれるって言うまで離さない」
 首を振って抵抗するものの、イーヴの力には敵うわけがない。シェイラはあっという間に抱き上げられて、ベッドに押し倒された。両手首を片手でまとめて掴んだイーヴは、シーツに縫い止めるように押しつけると小瓶を口元に差し出した。
「いい子だから薬を飲んで、シェイラ」
「いらない……っ」
 飲んでたまるものかと口をつぐむものの、それも予想されていたのだろう。イーヴは小瓶の中身を自らの口に含むと、そのままシェイラに唇を重ねてきた。
「ん、……む、ぅ」
 閉じた唇をイーヴの舌がこじ開け、同時に少し苦みのある液体が流れ込んでくる。そのまま強く舌を絡められて、お互いの口の中で解毒剤が混じりあう。濃厚なキスに身体の力が抜けてゆき、ようやく唇が離れた時には解毒剤はもう口の中に残っていなかった。
「いらない、って……言った、のに」
 息を荒げつつ、シェイラはイーヴをにらむ。キスで動けなくなるのはいつものことだけど、今日はもっと身体に力が入らない。どうやら、キスだけで軽い絶頂を迎えてしまったらしい。
 解毒剤は飲んだものの、効果が出るまでにはまだ時間がかかるのだろう。シェイラの身体は未だ熱く疼いたままだ。
「まだ、足りないもん。だからイーヴ」
「もう少ししたら、解毒剤が効いてくる。それまでの辛抱だ」
 頑なにはぐらかそうとするイーヴに、シェイラは唇を噛んだ。どうあっても、シェイラを抱きたくないらしい。
「媚薬とか、解毒剤とか、関係ないの。私はただ、イーヴに抱いてほしいのに」
「こんな状況で、初めてを迎えたくないだろう。そういうことは、またあらためて」
「今がいいの。痛くても平気。私がいいって言ってるのに、どうしてだめなの」
 訴えているうちに、興奮したせいかまた一段と身体が熱くなる。はぁっと吐き出した息も熱っぽくて、頭の中がぼうっとしてくる。
「私が、……イーヴの唯一じゃないから? だから抱いてくれないの? 番いの証をくれないのは、そのせい?」
「……シェイラ、違う」
 肩に触れた手を振り払って、シェイラはうつむく。こぼれ落ちる涙が、シーツに小さな染みを作った。
「違うなら、抱いてよ。私を、イーヴの唯一にして」
「それは……」
 首を振ったイーヴは勢いよくシェイラを抱き寄せると、まるで噛みつくようにキスをした。その激しさに、シェイラの身体はまた快楽を拾っていく。
「ん……待っ、まだ話、……っ」
 まだイーヴの気持ちを聞いていなかったのに。番いの証をもらえない理由を聞きたかったのに、イーヴの舌に翻弄されてシェイラは言葉を奪われる。まるで考える隙を与えないとでもいうかのように、イーヴの手は的確に快楽を引き出していくから、シェイラはそれに溺れて思考を放棄することしかできなかった。
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