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「そうね……」

追い返してしまうと言う使用人の提案も、それなりに惹かれるものではありました。
何より、私は今来客に対応しているわけですし……

そう考えたのは一瞬の事でした。
来客者……この方も仕事ビジネスの相手ですけれど。
選択肢を浮かべてる間に視線が合ったその方は、事情は全て分かってるとでも言うように……鷹揚おうような頷きを返して下さいました。

その頷きにまずは目礼を返すと、使用人へと声を潜めて返事をします。

「……いいわ」

いずれアクションがあるのは分かっていた事です。
それが早いか遅いかだけの話で……
応接している方の了解を得られたので、ドルシーの方を片付けに掛かる事にしました。

恐らく今日のこの日で、お会いするのは最後になる……と、思われるし。
リュートの方が一段落ついたのだから、同じ日に終えてしまうのも悪くない……
そう考え、結局屋敷の中へと通す事にしました。

「用件は分かってるから、通してちょうだい。……それと」

使用人も特に動揺などはせず、私の伝えた事柄を実行する為に退室するようです。
そして、これはどう転ぶか分からないけれど……
可能性を考えると、出番が無いとも言い切れない為、一拍を置いて言付けを頼む事にしました。

「憲兵に連絡を入れておいて」

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