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自分に降りかかっていた危機……というより、我を忘れてドルシーは声を上げました。

「じ……冗談じゃないわよ!!」

「ええ、本気ですから」

さて、まとめて出て行ってもらう方が話が早いんですけど……
そう思って一応、部屋の中で視線を巡らせてみる。
ドルシーもハッとしたようにドアの方へ駆け寄った。

「り、リュートはどこ!?どこへ行ったの……!」

「あなたにも言って行かなかったんですか?」

「知らないわよっ、ちょっと出てくるとは言ってたけど……!」

……推測通りだったら、もうすぐ帰ってくるとは思うんですが……
その考えは当たっていたようで、廊下に出て行ったドルシーが名前を呼んでいるのが聞こえます。

「リュート……ッ!」

ああ、ちょうど帰ってきたみたいですね。
わたしも後を追って、廊下へ出ました。
ドルシーが、ほとんど縋りつくようにしてリュートへ抱き着くのが見えるわ。

「ど、ドルシー?」

慌てふためいているドルシーに、リュートが驚いています。

「リュート、ねえ、あの子が……リオンが変なこと言うのよ。自分が当主だとか、この屋敷は自分のものだから出て行けとかって言うの……!」

その言葉を聞いて、リュートはギクッと体の動きを止めたみたいだった。

「ねぇっ、何かの間違いでしょ……!?あなたは優しいけど、でもきちんと次期当主だって、あの子に言ってあげないと……!」
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