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「おかしい?どうして?」

「どうして……って……だって、ここは……リュートの屋敷なんだから……」

ドルシーはそう言った後で、先ほど失った虚勢を取り戻すように、無理やり唇に笑みを浮かべます。

「あぁ……あなたが……リオンが追い出されるから……?だから私を道連れにしようとしてるの……?」 

……勘違いがどこまで及んでるのか、少し確かめたくなってしまうような話です。
婚約破棄届を出した事で、私の気持ちに余裕でも出来てたのかしら。

ドルシーはお喋りを続けます。
もしかしたら、喋っていないと何かに心が潰されそうなのかもしれないわね。

「……あなたがどうしてもって頼むなら……リュートに頼んで、あの仕事部屋だけでも残したっていいわよ……寝泊まりだって、別に……」

「ふっ……」

でも、長くは聞いてられませんでした。
あまりに滑稽な話なんだもの。

「な、何よ。何がおかしいって言うの……」

「これが、笑わずにいられるとでも?」

抑えきれない笑いをこぼしてしまったわたしに、ドルシーはピクッと目元をひくつかせました。
予想外の事を言われ続け、次は何を言われるのか……だんだんと怯え始めたみたいですね。

「出て行けと行ったのは、ここが私の屋敷だからですよ」

そう伝えると、ドルシーは今度こそ……意味が伝わらなかったみたいで、大きく顔を歪めました。
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