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今度は、ドルシーが私室代わりに使ってる部屋の前に行く。

けっして私が与えたわけじゃないけど、空いてる部屋を見つけたドルシーが勝手に住み着いている部屋だ。
最初は「リュートと一緒の部屋に住むから大丈夫よ!」とかなんとか言ってたけど。
何一つ大丈夫な事がないので追い払ったら、別の部屋を見つけて入り込んでいた。

コン、コンと軽いノックをする。
応答はないが、中で人の動く気配がした。
少し待ってみたが返事はないので、そのままドアノブを捻って開けた。

「ちょっと……!」

ドルシーは嫌そうな声を上げるが、あなたにそんな権利はないのよ。

……部屋の中は物で溢れていた。
流行りのドレス、高価な貴金属類、所狭しと並んだ調度品……
リュートはいないみたいだ。もっとも、行きそうな所は分かってる。

「…………何なの?」

「婚約破棄が無事に受理されたようなので、連絡に」

「…………あっそ。なら早く出てって」

それは、部屋から?それとも……

「荷物とか、別にないんでしょ?あなたいつも地味な格好しかしてなかったものね。リュートが私を選ぶのも仕方ないことだったの……恨まないでね?」

あー、これは……屋敷を出て行け、のニュアンスですね。

「病弱を装う割に、随分と重そうな装飾品ばかりですが……」

私は部屋を見渡した。
ドルシーは、こいつは何を言い出すんだ?という顔をしてる。

「出て行くのはあなたの方ですわ。こちらの部屋にあるものも、全て部屋に置いて行って下さいね」
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