1,065 / 1,307
第三十二章
1050 貴族としての正しさ?
しおりを挟む
( ニコラ )
「 ────なっ、なによっ!!!!飛竜などたかが獣の一種っ!!!
道具と同義でしょうっ!!!
本来栄誉あるライロンド家の役に立てるなど、それだけで光栄に思うべきだわ。
道具は道具らしくライロンド家の命令に素直に従えばいいのです!!
それが当たり前。正しい世界の姿です。
何も考えず辺境伯の血筋を持つ私の言う通りに行動しなさい!!! 」
ルィーンの言葉を聞き、ダリオスは盛大に吹き出すと、そのままワッハッハっ!!と大声で笑った。
突然笑い出したダリオスにルィーンは怪訝そうな顔をすると、やっと笑いが収まったダリオスは目尻に溜まった涙を指でピッと弾く。
「 お前はそればかりだな。
” 誇りあるライロンド家 ”
” 栄誉ある辺境伯という地位 ”
そのために周りはこうすべきだ。それこそが世界の正しい姿であると。
そして、私にもその正しい世界に従った相応しい行動をせよと、それがお前の口癖だ。 」
「 と、当然でしょう。私は何も間違った事など言ってないわ。
それが貴族というものです。
貴方の様な下層の生まれの者には理解できないでしょうが、それを破っては国は崩壊してしまうのですよ。
貴族としてそれを防ぐために最善を尽くす。
国を想い行動する事は当然の事でしょう! 」
自分が絶対的に正しいと訴えるルィーン。
周りにいるエドワード派閥の者達は、それに賛同し責めるような目でダリオスを睨むが、ダリオスはそれら全てを鼻で笑った。
「 ではお前はその ” 貴族 ” として何をしてきたというのだ?
無駄に着飾り、散財するだけ。
戦うわけでも領地のために努力もしない……お前のいう言葉は、全て最後に ” 自分の都合の良い様に ” がつくのだ。
” 自分の都合の良い様に ” 周りが動くのが正しい世界。
そんな馬鹿な世界が正しいわけなかろう。
そもそも ” 貴族女性は当主である主人に尽くし支えるのが当たり前 ” だとお前はよく口にするが、お前が俺に尽くした事など一度たりとてない。
【 飛竜隊 】も領の管理も全て私一人で行っているが? 」
「 そ……それはっ……わっ、私はいいのですっ!!
私は誇りあるライロンド家の直系で────…… 」
「 ────ほらな?
” 他はこうあるべき。でも自分だけは違う。”
そんな軽い言葉と行動で誰が正しさを見出すのだ。
それを肯定し従うのは同じ側に立っている同種だけだろう。
そんな理屈が通ってしまう事事態、まさしく ” 洗脳 ” というモノではないのか? 」
ダリオスの言葉はルィーンや他のエドワード派閥達を追い詰め、言葉を奪う。
しかし、どうにか反撃をとギラギラ殺気じみた視線で睨み、ルィーンはハッ!と何かを思いついたらしく、再びダリオスに怒鳴った。
「 女性に手をあげるなど貴族以前の問題ではありませんか!
私は絶対にそんな蛮行を許す事はできません!!
然るべき責任をとるべきですわ!!そうでしょう!!?皆様!! 」
それに賛同しエドワード派閥の者達はヒソヒソと囁き合い、ダリオスの暴力を責める。
しかしダリオスは落ち着いた様子で静かに口を開いた。
「 ” 女性は躾のなっていない犬や猿と同じ ”
” 殴って躾けなければまともにはならない ”
” そうして男に躾けてもらう事が女の幸せである ” 」
「 ────なっ!!!
皆様、聞きまして?!!なんと最低で恐ろしい考えでしょう!!
この男は元第二騎士団だけあって暴力的な思考が目立つと思っておりましたが、ここまで最低の考えを持っていたとは思いませんでしたわ!!
こんな危険人物、即刻牢へ入れ処刑しなければなりません。
このっ人以下のケダモノがっ!! 」
ここでエドワード派閥の者達はチャンスとばかりにダリオスを責める言葉を口にし、蔑む様な言葉を言う。
するとダリオスは楽しくて楽しくて仕方がないといった様子でプッ!と吹き出した。
「 じゃあ、お前は人以下のケダモノとして処刑か。
これはお前が普段から息子であるマクベルとマービンに言い聞かせている言葉だろう?
自分の言っている言葉すら忘れてしまうとは……ご都合主義の馬鹿頭はお気楽でいいな。 」
「 …………っ!!!! 」
その発言を今まで嫌と言うほど聞き、不快を感じていたまともな感性を持った貴族達は、失笑する。
言葉もなく口をパクパクと動かすルィーンを、ダリオスは冷たい目で睨みつけ、ポケットから< 完全版通信器 >を取り出し宙に放り投げた。
「 ライロンド家【 飛竜隊 】
第一飛竜隊隊長< ヒューイ >!
第二飛竜隊隊長< バン >!
第三飛竜隊隊長< サンサ >!
当主ダリオスが命じる。
これより全飛竜隊は準備が出来次第、魔道路を通りグリモアへ進軍せよっ!!
勿論俺も出陣する!! 」
《 ────はっ!!! 》
< 完全版通信器 >の向こうからはハッキリとした敬礼の声と共に、恐らく隊員たちの ” うおぉぉぉ────!! ” という雄叫びの様な声まで聞こえた。
「 ────なっ、なによっ!!!!飛竜などたかが獣の一種っ!!!
道具と同義でしょうっ!!!
本来栄誉あるライロンド家の役に立てるなど、それだけで光栄に思うべきだわ。
道具は道具らしくライロンド家の命令に素直に従えばいいのです!!
それが当たり前。正しい世界の姿です。
何も考えず辺境伯の血筋を持つ私の言う通りに行動しなさい!!! 」
ルィーンの言葉を聞き、ダリオスは盛大に吹き出すと、そのままワッハッハっ!!と大声で笑った。
突然笑い出したダリオスにルィーンは怪訝そうな顔をすると、やっと笑いが収まったダリオスは目尻に溜まった涙を指でピッと弾く。
「 お前はそればかりだな。
” 誇りあるライロンド家 ”
” 栄誉ある辺境伯という地位 ”
そのために周りはこうすべきだ。それこそが世界の正しい姿であると。
そして、私にもその正しい世界に従った相応しい行動をせよと、それがお前の口癖だ。 」
「 と、当然でしょう。私は何も間違った事など言ってないわ。
それが貴族というものです。
貴方の様な下層の生まれの者には理解できないでしょうが、それを破っては国は崩壊してしまうのですよ。
貴族としてそれを防ぐために最善を尽くす。
国を想い行動する事は当然の事でしょう! 」
自分が絶対的に正しいと訴えるルィーン。
周りにいるエドワード派閥の者達は、それに賛同し責めるような目でダリオスを睨むが、ダリオスはそれら全てを鼻で笑った。
「 ではお前はその ” 貴族 ” として何をしてきたというのだ?
無駄に着飾り、散財するだけ。
戦うわけでも領地のために努力もしない……お前のいう言葉は、全て最後に ” 自分の都合の良い様に ” がつくのだ。
” 自分の都合の良い様に ” 周りが動くのが正しい世界。
そんな馬鹿な世界が正しいわけなかろう。
そもそも ” 貴族女性は当主である主人に尽くし支えるのが当たり前 ” だとお前はよく口にするが、お前が俺に尽くした事など一度たりとてない。
【 飛竜隊 】も領の管理も全て私一人で行っているが? 」
「 そ……それはっ……わっ、私はいいのですっ!!
私は誇りあるライロンド家の直系で────…… 」
「 ────ほらな?
” 他はこうあるべき。でも自分だけは違う。”
そんな軽い言葉と行動で誰が正しさを見出すのだ。
それを肯定し従うのは同じ側に立っている同種だけだろう。
そんな理屈が通ってしまう事事態、まさしく ” 洗脳 ” というモノではないのか? 」
ダリオスの言葉はルィーンや他のエドワード派閥達を追い詰め、言葉を奪う。
しかし、どうにか反撃をとギラギラ殺気じみた視線で睨み、ルィーンはハッ!と何かを思いついたらしく、再びダリオスに怒鳴った。
「 女性に手をあげるなど貴族以前の問題ではありませんか!
私は絶対にそんな蛮行を許す事はできません!!
然るべき責任をとるべきですわ!!そうでしょう!!?皆様!! 」
それに賛同しエドワード派閥の者達はヒソヒソと囁き合い、ダリオスの暴力を責める。
しかしダリオスは落ち着いた様子で静かに口を開いた。
「 ” 女性は躾のなっていない犬や猿と同じ ”
” 殴って躾けなければまともにはならない ”
” そうして男に躾けてもらう事が女の幸せである ” 」
「 ────なっ!!!
皆様、聞きまして?!!なんと最低で恐ろしい考えでしょう!!
この男は元第二騎士団だけあって暴力的な思考が目立つと思っておりましたが、ここまで最低の考えを持っていたとは思いませんでしたわ!!
こんな危険人物、即刻牢へ入れ処刑しなければなりません。
このっ人以下のケダモノがっ!! 」
ここでエドワード派閥の者達はチャンスとばかりにダリオスを責める言葉を口にし、蔑む様な言葉を言う。
するとダリオスは楽しくて楽しくて仕方がないといった様子でプッ!と吹き出した。
「 じゃあ、お前は人以下のケダモノとして処刑か。
これはお前が普段から息子であるマクベルとマービンに言い聞かせている言葉だろう?
自分の言っている言葉すら忘れてしまうとは……ご都合主義の馬鹿頭はお気楽でいいな。 」
「 …………っ!!!! 」
その発言を今まで嫌と言うほど聞き、不快を感じていたまともな感性を持った貴族達は、失笑する。
言葉もなく口をパクパクと動かすルィーンを、ダリオスは冷たい目で睨みつけ、ポケットから< 完全版通信器 >を取り出し宙に放り投げた。
「 ライロンド家【 飛竜隊 】
第一飛竜隊隊長< ヒューイ >!
第二飛竜隊隊長< バン >!
第三飛竜隊隊長< サンサ >!
当主ダリオスが命じる。
これより全飛竜隊は準備が出来次第、魔道路を通りグリモアへ進軍せよっ!!
勿論俺も出陣する!! 」
《 ────はっ!!! 》
< 完全版通信器 >の向こうからはハッキリとした敬礼の声と共に、恐らく隊員たちの ” うおぉぉぉ────!! ” という雄叫びの様な声まで聞こえた。
271
お気に入りに追加
1,988
あなたにおすすめの小説
大好きなBLゲームの世界に転生したので、最推しの隣に居座り続けます。 〜名も無き君への献身〜
7ズ
BL
異世界BLゲーム『救済のマリアージュ』。通称:Qマリには、普通のBLゲームには無い闇堕ちルートと言うものが存在していた。
攻略対象の為に手を汚す事さえ厭わない主人公闇堕ちルートは、闇の腐女子の心を掴み、大ヒットした。
そして、そのゲームにハートを打ち抜かれた光の腐女子の中にも闇堕ちルートに最推しを持つ者が居た。
しかし、大規模なファンコミュニティであっても彼女の推しについて好意的に話す者は居ない。
彼女の推しは、攻略対象の養父。ろくでなしで飲んだくれ。表ルートでは事故で命を落とし、闇堕ちルートで主人公によって殺されてしまう。
どのルートでも死の運命が確約されている名も無きキャラクターへ異常な執着と愛情をたった一人で注いでいる孤独な彼女。
ある日、眠りから目覚めたら、彼女はQマリの世界へ幼い少年の姿で転生してしまった。
異常な執着と愛情を現実へと持ち出した彼女は、最推しである養父の設定に秘められた真実を知る事となった。
果たして彼女は、死の運命から彼を救い出す事が出来るのか──?
ーーーーーーーーーーーー
狂気的なまでに一途な男(in腐女子)×名無しの訳あり飲兵衛
六日の菖蒲
あこ
BL
突然一方的に別れを告げられた紫はその後、理由を目の当たりにする。
落ち込んで行く紫を見ていた萌葱は、図らずも自分と向き合う事になった。
▷ 王道?全寮制学園ものっぽい学園が舞台です。
▷ 同室の紫と萌葱を中心にその脇でアンチ王道な展開ですが、アンチの影は薄め(のはず)
▷ 身代わりにされてた受けが幸せになるまで、が目標。
▷ 見た目不良な萌葱は不良ではありません。見た目だけ。そして世話焼き(紫限定)です。
▷ 紫はのほほん健気な普通顔です。でも雰囲気補正でちょっと可愛く見えます。
▷ 章や作品タイトルの頭に『★』があるものは、個人サイトでリクエストしていただいたものです。こちらではいただいたリクエスト内容やお礼などの後書きを省略させていただいています。
不遇聖女様(男)は、国を捨てて闇落ちする覚悟を決めました!
ミクリ21
BL
聖女様(男)は、理不尽な不遇を受けていました。
その不遇は、聖女になった7歳から始まり、現在の15歳まで続きました。
しかし、聖女ラウロはとうとう国を捨てるようです。
何故なら、この世界の成人年齢は15歳だから。
聖女ラウロは、これからは闇落ちをして自由に生きるのだ!!(闇落ちは自称)
第十王子は天然侍従には敵わない。
きっせつ
BL
「婚約破棄させて頂きます。」
学園の卒業パーティーで始まった九人の令嬢による兄王子達の断罪を頭が痛くなる思いで第十王子ツェーンは見ていた。突如、その断罪により九人の王子が失脚し、ツェーンは王太子へと位が引き上げになったが……。どうしても王になりたくない王子とそんな王子を慕うド天然ワンコな侍従の偽装婚約から始まる勘違いとすれ違い(考え方の)のボーイズラブコメディ…の予定。※R 15。本番なし。
生まれ変わりは嫌われ者
青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。
「ケイラ…っ!!」
王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。
「グレン……。愛してる。」
「あぁ。俺も愛してるケイラ。」
壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。
━━━━━━━━━━━━━━━
あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。
なのにー、
運命というのは時に残酷なものだ。
俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。
一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。
★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結
満月に囚われる。
柴傘
BL
「僕は、彼と幸せになる」
俺にそう宣言した、想い人のアルフォンス。その横には、憎き第一王子が控えていた。
…あれ?そもそも俺は何故、こんなにも彼に執心していたのだろう。確かに彼を愛していた、それに嘘偽りはない。
だけど何故、俺はあんなことをしてまで彼を手に入れようとしたのだろうか。
そんな自覚をした瞬間、頭の中に勢い良く誰かの記憶が流れ込む。その中に、今この状況と良く似た事が起きている物語があった。
…あっ、俺悪役キャラじゃん!
そう思ったが時既に遅し、俺は第一王子の命令で友好国である獣人国ユースチスへ送られた。
そこで出会った王弟であるヴィンセントは、狼頭の獣人。一見恐ろしくも見える彼は、とても穏やかで気遣いが出来るいい人だった。俺たちはすっかり仲良くなり、日々を楽しく過ごしていく。
だけど次第に、友人であるヴィンスから目が離せなくなっていて…。
狼獣人王弟殿下×悪役キャラに転生した主人公。
8/13以降不定期更新。R-18描写のある話は*有り
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる