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第二十章
705 完全勝利
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( アゼリア )
レイドは汗をドバッ!!と掻いて固まる。
サイモンは動かずダラダラと汗を掻いているレイドを冷静に見ながら「 あ~そろそろ限界かぁ~。じゃっ!僕たちはそろそろ帰りま~す♡ 」と言い放ち、何故かメルを抱きかかえそのままリリアと共に去っていった。
まるで嵐の様なエルフ共だ・・
ソフィア様と共に去っていった方向をジーーと見つめている間も、レイドはガタガタと震えながら「 えっ?何で?? 」「 なんで俺だけ?? 」と言いながら両手を上げて降参のポーズをとっている。
レオンの背中にはいつの間にか飛び乗ったらしいリーフ様の姿、そして左右にユラユラ~と揺れて子守唄えを歌っている中、モルトとニールはうう~ん・・とお互い顔を見合わせて考え込んでいた。
「 同じくらいの体格なのが嫌なんじゃないのか?
同体格嫌悪ってやつか・・。高身長の代償だな、諦めろ。 」
「 レイドの滲み出たいやらしオーラが気に入らないんじゃないんすか? 」
身も蓋もない事を言ってふぅ~と息を吐く2人に、レイドはブワッ!と泣きながら「 お前ら獣人組の仲間だろ~!助けてくれよ! 」ときゃんきゃん泣き叫んでいたが、二人はニタリと笑って止めない。
しかしリーフ様の子守唄の効果か、レオンの腕が一瞬フッと緩んだその瞬間、レイドはそのチャンスを逃さずシュワッ!とその場から脱出。
そのままモルトとニールを両脇に抱え「 じゃっ!明日学院でな! 」と言い残して脱兎の如く去っていった。
視界からレイドや他の者達の姿が消えた事で、やっと落ち着いたらしいレオンはレイピアを収め、それを見届けたリーフ様もその背から降りそのままレオンの前に向き合う。
「 レオン!何であんなにレイドに意地悪するんだい?
怖がっていたじゃないーーー・・ 」
ーーと、叱りつけようと喋り始めたリーフ様の口を、レオンは片手で塞いだ。
深くフードを被っているため表情は見せないが・・
「 沢山我慢した・・ 」
「 俺はいい子・・いい子・・ 」
「 器の広い男・・ 」
「 ーーーどうしようか・・? 」
そんな理解不能な言葉をブツブツと呟くレオンは、ひたすら怖くて気持ち悪い。
突然始まりそうな修羅場に周りはざわざわと騒ぎ出すが、リーフ様に任せておけば大丈夫だと知っている私とソフィア様はとりあえず黙って見守る。
最初はレオンの呪われた様な外見に心底恐怖したものだが、今はそんな外見など子猫に見えるほど中身の方が強烈で、一言でいえば ” 狂人 ” であると、少しでもレオンと接点をもった者なら誰でも知っている。
そんな ” 狂人 ” が日常に溶け込む事自体が奇跡。
しかもとびきり強い ” 狂人 ” であるため、止められるのはリーフ様だけ。
だからこそ ” 見守る ” 。この対応なのだ。
リーフ様はモガモガしながら必死に口を塞ぐ手を外したが、今度は正面から体を抱きしめられてしまいモゾモゾ、ジタバタ。
ミチミチ~・・という不穏な音に街の者達の顔は青ざめる。
ヒィヒィと息を乱しながら、リーフ様は「 レオンはいい子~いい子~世界一いい子~ 」とブツブツ、そして背中をさすさすと擦るとレオンはお返しか?リーフ様の背中を撫で撫でと丁寧に撫で上げた。
「 ・・帰ったら抱っこと撫で撫でしてくれますか? 」
「 うんうん、良いよ~。約束したもんね。 」
ニコニコするリーフ様。レオンは撫でる手をピタリと止めた。
「 ・・あと膝枕も・・。 」
「 ーーーーえっ!・・あ、うんうん。いいよー。 」
「 耳かきも・・ 」
「 ええっ!?それ何処で覚えたんだい??
良いけど耳かきないから帰りに買って帰らないとね~。 」
次々とレオンの口から飛び出す図々しいお願いの数々に、奴隷の分際でぇぇ~!と言いたかったがグッと堪える。
そんな私の怒りなどいつも通り一切気にする事もなく、レオンはパッと嬉しそうな雰囲気を醸し出すと、腕の力を弱めリーフ様の頭に顔をつけてスリスリしながら大人しくなった。
それに街の者達は、ハハハッ!と笑い、
「 ハーレム対決は正妻の完全勝利か~! 」
「 男は尻に敷くくらいがちょうどいいさね!頑張って捕まえておくんだよ!守護影様! 」
「 皆仲良しなんだねぇ。聖女様も楽しそうで良かったよ。 」
ーーーなどと笑いながらゾロゾロと去っていく。
あんな恐ろしいヤツを正妻などと良く言えるな・・
遠い目をしながらそれを見送った後、やっと静かになった周囲を見渡し息をついたら・・今度は後ろにヨセフ司教がいない事に気がついた。
ソフィア様も同時にそれに気づいたらしく、二人でキョロキョロと周囲をもう一度見回しその姿を探すとーーーーいた。
少し離れた木の影から半分ほどはみ出して覗く顔。
その目は大きく見開かれ、口元は両手で押さえられている。
嫌な予感に表情を失ったが、ヨセフ司教は全くコチラの心情など構いもせず、自身の頬をパアァァーーーン!!と思い切り叩き、キリッ!とした表情でゆっくり歩いてきた。
そして後ろにべったりとレオンをくっつけたリーフ様の前に立ち、胡散臭い笑顔でニッコリと笑う。
レイドは汗をドバッ!!と掻いて固まる。
サイモンは動かずダラダラと汗を掻いているレイドを冷静に見ながら「 あ~そろそろ限界かぁ~。じゃっ!僕たちはそろそろ帰りま~す♡ 」と言い放ち、何故かメルを抱きかかえそのままリリアと共に去っていった。
まるで嵐の様なエルフ共だ・・
ソフィア様と共に去っていった方向をジーーと見つめている間も、レイドはガタガタと震えながら「 えっ?何で?? 」「 なんで俺だけ?? 」と言いながら両手を上げて降参のポーズをとっている。
レオンの背中にはいつの間にか飛び乗ったらしいリーフ様の姿、そして左右にユラユラ~と揺れて子守唄えを歌っている中、モルトとニールはうう~ん・・とお互い顔を見合わせて考え込んでいた。
「 同じくらいの体格なのが嫌なんじゃないのか?
同体格嫌悪ってやつか・・。高身長の代償だな、諦めろ。 」
「 レイドの滲み出たいやらしオーラが気に入らないんじゃないんすか? 」
身も蓋もない事を言ってふぅ~と息を吐く2人に、レイドはブワッ!と泣きながら「 お前ら獣人組の仲間だろ~!助けてくれよ! 」ときゃんきゃん泣き叫んでいたが、二人はニタリと笑って止めない。
しかしリーフ様の子守唄の効果か、レオンの腕が一瞬フッと緩んだその瞬間、レイドはそのチャンスを逃さずシュワッ!とその場から脱出。
そのままモルトとニールを両脇に抱え「 じゃっ!明日学院でな! 」と言い残して脱兎の如く去っていった。
視界からレイドや他の者達の姿が消えた事で、やっと落ち着いたらしいレオンはレイピアを収め、それを見届けたリーフ様もその背から降りそのままレオンの前に向き合う。
「 レオン!何であんなにレイドに意地悪するんだい?
怖がっていたじゃないーーー・・ 」
ーーと、叱りつけようと喋り始めたリーフ様の口を、レオンは片手で塞いだ。
深くフードを被っているため表情は見せないが・・
「 沢山我慢した・・ 」
「 俺はいい子・・いい子・・ 」
「 器の広い男・・ 」
「 ーーーどうしようか・・? 」
そんな理解不能な言葉をブツブツと呟くレオンは、ひたすら怖くて気持ち悪い。
突然始まりそうな修羅場に周りはざわざわと騒ぎ出すが、リーフ様に任せておけば大丈夫だと知っている私とソフィア様はとりあえず黙って見守る。
最初はレオンの呪われた様な外見に心底恐怖したものだが、今はそんな外見など子猫に見えるほど中身の方が強烈で、一言でいえば ” 狂人 ” であると、少しでもレオンと接点をもった者なら誰でも知っている。
そんな ” 狂人 ” が日常に溶け込む事自体が奇跡。
しかもとびきり強い ” 狂人 ” であるため、止められるのはリーフ様だけ。
だからこそ ” 見守る ” 。この対応なのだ。
リーフ様はモガモガしながら必死に口を塞ぐ手を外したが、今度は正面から体を抱きしめられてしまいモゾモゾ、ジタバタ。
ミチミチ~・・という不穏な音に街の者達の顔は青ざめる。
ヒィヒィと息を乱しながら、リーフ様は「 レオンはいい子~いい子~世界一いい子~ 」とブツブツ、そして背中をさすさすと擦るとレオンはお返しか?リーフ様の背中を撫で撫でと丁寧に撫で上げた。
「 ・・帰ったら抱っこと撫で撫でしてくれますか? 」
「 うんうん、良いよ~。約束したもんね。 」
ニコニコするリーフ様。レオンは撫でる手をピタリと止めた。
「 ・・あと膝枕も・・。 」
「 ーーーーえっ!・・あ、うんうん。いいよー。 」
「 耳かきも・・ 」
「 ええっ!?それ何処で覚えたんだい??
良いけど耳かきないから帰りに買って帰らないとね~。 」
次々とレオンの口から飛び出す図々しいお願いの数々に、奴隷の分際でぇぇ~!と言いたかったがグッと堪える。
そんな私の怒りなどいつも通り一切気にする事もなく、レオンはパッと嬉しそうな雰囲気を醸し出すと、腕の力を弱めリーフ様の頭に顔をつけてスリスリしながら大人しくなった。
それに街の者達は、ハハハッ!と笑い、
「 ハーレム対決は正妻の完全勝利か~! 」
「 男は尻に敷くくらいがちょうどいいさね!頑張って捕まえておくんだよ!守護影様! 」
「 皆仲良しなんだねぇ。聖女様も楽しそうで良かったよ。 」
ーーーなどと笑いながらゾロゾロと去っていく。
あんな恐ろしいヤツを正妻などと良く言えるな・・
遠い目をしながらそれを見送った後、やっと静かになった周囲を見渡し息をついたら・・今度は後ろにヨセフ司教がいない事に気がついた。
ソフィア様も同時にそれに気づいたらしく、二人でキョロキョロと周囲をもう一度見回しその姿を探すとーーーーいた。
少し離れた木の影から半分ほどはみ出して覗く顔。
その目は大きく見開かれ、口元は両手で押さえられている。
嫌な予感に表情を失ったが、ヨセフ司教は全くコチラの心情など構いもせず、自身の頬をパアァァーーーン!!と思い切り叩き、キリッ!とした表情でゆっくり歩いてきた。
そして後ろにべったりとレオンをくっつけたリーフ様の前に立ち、胡散臭い笑顔でニッコリと笑う。
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