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第十九章

666 家族の奇跡ってやつ?

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( リーフ )



「 否定されたり受け入れてもらえないのは悲しいね。

でも色んな考え方があるからある程度は仕方がないんだ。


お兄さんの考え方だって間違ってないさ。

ただあえて悪い所を挙げるなら、言い方とちょっと焦って物事を進めようとしたことだと俺は思うよ。


ゆっくり進めて妥協点を見つけるのが一番だろうけど、どうしても分かり合えない事ってあるからさ、そういう時は一旦距離を取る!


だから、それでいいんだ。 」



マリオンは暫くの間無言のまま、フルフルと震えながら絞り出す様な小さな声を出す。



「 ・・・家族がバラバラになっても・・それは ” 正しい ” になるのでしょうか・・。

両親を傷つけてまで自分の意見を通すことも・・


俺にはよく分かりません。 」



「 確かにバラバラは悲しいね。


でも自分の意見を持つことは成長の証だからな~。

親御さんとしても成長できる大チャンスなんだよ。


自分が思うほど人は弱くないから大丈夫大丈夫。


だからマリオンも成長した証を少しづつ親御さんに見せていかないとね。

言うことを聞くだけだと自分も相手も最後は悲しい事になっちゃうからさ。


マリオンならきっと上手くやっていけるよ。 」



そう言うと、マリオンは途端に大きく震えだし、突然ブワワァァ~!!と泣き出してしまった。


「 うわぁぁ~んっ!!リーフ様のバカーー!! 」

「 俺を泣かせるなんて酷すぎますーー!! 」


見たことの無いほどの大号泣をしながら泣き喚くマリオンに、俺は「 ごめんごめ~ん。 」と言いながらハハハ~と笑う。



そして泣きながらゴシゴシと両目を拭き、う~う~と唸り声をあげながらマリオンは言った。



「 俺だって仕方ない事だって分かってるんですよ!

でも・・でも!俺は家族がバラバラになってほしくなかったんです!

兄のことだって凄く尊敬していたのに、父様と母様を真っ向から否定して傷つけて勝手に出ていったんですよ!!

とんでもないクズ野郎なんです!あの兄はっ!!! 」



「 なるほどなるほど。

マリオンはお兄さんを尊敬していたのか~。

多分ね~お兄さんは今頃頭が冷えて凄く後悔していると思うよ。

離れるといろんな事が見えてくるからさ。


だから今頑張ってるんじゃないかな? 」



頭に血が昇り、ワーーー!!とドキツイ事言ってしまって後に後悔するやつ~。

恥ずかしくて穴に入って二度と出たくなくなるやつ~。


めちゃくちゃ見に覚えのある体験談に、関わった全てのモノにごめんなさい、そして穴があったら教えて貰えますか?俺、入るんで。

ーーーという気持ちを思い出しながら苦笑いしたが、マリオンはそんな俺の様子が全く目に入らない様子で興奮しながら話を続ける。



「 家族を捨ててめちゃくちゃにしておいて仕事が上手くいっているなんて心底腹が立ちます!!

あんなヤツのお店なんて潰れてしまえばいいんです!! 」



「 そりゃあ確かに悔しいね。

じゃあ今度あったら一発思い切りぶん殴ってやればいいさ。

マリオンにはその権利が十分にあるんだからさ。 」



ヒュンヒュンっと顔を左右に振って、喧嘩上等だぞ~?と挑発するような動きを見せるが、マリオンは急にトーンダウンして今までとは一変、弱々しい声で言った。



「 ・・会うなんて無理ですよ。


だってもう完全に絶縁して出てっちゃったんですから。

二度と会う事なんて・・ 」



最後は不自然に言葉を切り、俺の肩を掴んでいる手に力を入れてきたので、俺はマリオンをヨイショッと抱え直してからそれに答える。



「 生きているんだからいつでも会えるよ。

硬い絆で結ばれた家族って、お互い必死になって生きていれば不思議な事にまた交わる時が来るみたいだよ。

ホント、不思議だね。 」



” 家族 ” ってやつは本当に他人から見たら不思議なもので、大喧嘩してお互い離れても、また会えばコロッと仲直りしてしまう事が結構ある。

それこそ周りの心配は何だったの?と言いたくなるほどに。


前世では親友の陽太がまさにそれで、もう親父さんと警察が呼ばれるほどの大喧嘩をして家を出ていったのに、次に会った時にはケロリと仲直り。

そしてまた喧嘩しては離れ、喧嘩しては離れで、俺からしたら不思議で仕方がない関係性であった。


これは ” 家族愛 ” とやらが起こす奇跡の様なものなのだろうか??


前世でも今生でもご縁がなかった感情に対し首を傾げてしまったが、マリオン的には色々複雑な想いがあったらしく、そのまままたビャーー!!と泣き出してしまった。


まぁ、きっと責任感の固まりマリオン少年は、尊敬するご両親や自身の守るべきお友達の前では泣けないのだろうから今はそっとしておこう。


そう考えた俺は、ずっとブスス~!としているレオンに声を掛け、そのままダンジョンを探して歩き続けた。


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