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第十六章

598 俺の一年分・・?

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( リーフ )



そしてフンフン~♬と鼻歌を歌い出したライキーさんに「 マリンさんの所に渡して食べさせて貰ってもいい? 」と尋ねと、パァ!と嬉しそうな顔で「 いいよ!僕も後で食べに行こ~! 」と嬉しそうに快諾してくれたので、ありがたくそうさせて貰う事にした。


モッモッと俺の食べかけキノコを頬張るレオン、そして口周りをベロンベロンと舐め回すあげ玉と食べ終わった串をペロペロしている黒みつにライキーさんからキノコを貰ったよ~と伝えると、あげ玉は空っぽになった豆キノコの皮をくちばしでツィ・・と持ち上げ、突然ライキーさんの前にプ~ラプラと振る。


「 クピョピョ?( 常にストックしとくのだぞ? ) 」


言っている意味は分からないが、多分ジロジロ~と睨みつける様に見ている事からあんまり良いことじゃなさそうだと俺は察知。


あげ玉~?と名前呼んだ後くちばしを掴みムニムニしながら叱咤していると、その間に黒みつがコソコソ~とライキーさんの分のキノコへと触手を伸ばし摘み食いしようとしている!


もう一方の空いている方の手で黒みつをパシッ!と掴みそのまま腰ポーチへIN。


全く悪さばかりする坊や達だ!


この煩いおじさんがくちばしモニモニ、腰ポーチをプルプル振って軽く叱りつけておくと、別に悪さをしているわけではないレオンまで参戦しあげ玉のモニモニしている俺の手を自分の口へ。


とりあえずレオンは笑顔の練習~と口の端をミョンっ!と引っ張って上に上げておいた。


それをニコニコ笑顔で見ていたライキーさんは籠の中に豆キノコを追加でドサッといれてくれたので、それにペコペコ頭を下げる保護者の俺。


そうしてお腹一杯で満足した俺達はライキーさんに御礼を言い、そのまま依頼達成の報告をするためギルドの方へと戻っていった。




そうしてギルドに到着した俺はあげ玉と黒みつが依頼を無事達成した事をエイミさんに告げると、エイミさんの目玉はポポンっと飛び出し、「 うそ・・嘘よ・・。 」と報告書を睨みながらブツブツ呟く。


それを見下ろすあげ玉と黒みつのドヤ顔。


凄かろう?と精一杯アピールする二人の姿に微笑ましさを感じたーーー・・のも束の間。

横であげ玉が下に土がないのにエイミさんに砂を掛ける動作を、黒みつは便乗してワサワサワサ~と触手を揺らして怖がらせようとしたため、俺はスッ・・とその笑みを引っ込める。



全く・・とため息をつきながら、あげ玉のくちばしと黒みつのプルプルボディーを揉み込んでいると、やはり隣に座っていた他のギルド職員さんがササッ!と手続きを素早くしてくれて依頼達成料金を払ってくれた。


依頼料はEランク相当で高ランク依頼からすれば微々たるものかもしれないが、俺としては半日にも満たない労働に一人あたり金貨3枚・・つまり日本円にして三万円は結構すごいと思う。


チャリリ~ンとコインの音が密かに鳴る小さな袋を持って上機嫌でギルドのカウンターを離れて、その後向かうのは素材を提出する【 素材受け取り所 】


その受付に顔を出すと、受付にいたスタッフさんに「 おっ?またスゲェの持ってきたのか? 」と言われて、周りにいる他のスタッフさんが総出で小さな箒を持ってサッサッと提出用の台を掃き出しキレイにし始めた。


「 凄くはないと思うよ~。流星コウモリ。 」


「 ほほ~ぅ。まぁ、味は悪くねぇがちょっとしか肉がとれなぇんだよな~。

しかし揚げたてはつまみに最高に合うんだ。


くぅ~!今日は唐揚げで決まりだな! 」


クィっと酒を飲むジェスチャーをしながら目をギュッ!と瞑るスタッフさんに、今日は瘴核だけだと告げると、あからさまにがっかりした様子を見せる。



「 唐揚げはなしかぁ~・・。


いや、でも瘴核の買い取りも大歓迎だ。

瘴核はあればあるだけ良いからな。


しかし、流星コウモリの瘴核は質がいいが無傷でとるのは難しいからな~。

スマンが傷が付いてたりバラバラになっている場合は料金から差し引きになるぜ。 」



唐揚げが無くなったと知った周りのスタッフさん達もがっかり~としながらも、査定用のルーペみたいなものをを持って待機。


俺は後ろにいるレオンに声を掛け、黒みつがスキルで修復してくれた瘴核達をジャラジャラジャラ~と出してもらい大きな山になると、スタッフさん達はポカーンとそれを見上げ、ルーペみたいなヤツをゴトッ・・と下に落とした。



「 こ・・これは何年分の瘴核だ・・? 」


「 さっきさっき~。採れたてピチピチ~。

あげ玉と黒みつが倒してとってくれたんだ。 」



ふふふ~と不敵に笑う本日何にもしていない俺。


スタッフさん達はまた総出でその瘴核を数えてくれて、傷ひとつない瘴核達におったまげ!

これほど綺麗な瘴核は見たことない!と普通より少々高めの査定となった様だ。


俺は黒みつにいい子いい子~と撫で撫でしておき、さぁおいくらかな~?と軽く考えていたらドドンッ!と置かれたお金が詰まった袋にピタリと動きを止める。


そして恐る恐る中身を確かめると、なんと入っていたのは金貨300枚!

一体の瘴核の値段が銀貨3枚・・つまり3千円、それが1000匹分あるので合計300万というわけだ。


ーーー年収・・?


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