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第十五章

562 何だろう?アレ

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( リーフ )


うそもそも魔法だって前衛ほどではないが結構な体力勝負。

走ったりすることだって沢山あるし、実際に戦いの場になれば動かないわけにいかないので、やはり戦いやすい格好をする事は必須になるはずだ。


しかしそれをあえて好きにさせるのは、自分なりに魔法というものがどういうものかを生徒達に考えさせたかったんじゃないかな~?と思った。


何となく世に認知されている ” 後方で打つだけ ” というイメージから、実際に体験し自分の目で見たイメージに変われば、それに適した格好を自ずとするだろうと、それを期待しているのかもしれない。


なるほどね~!


キラッ!と目を光らせ、俺は上機嫌に笑うルーン先生を見つめた。


ドノバン級のちょっとエッチな先生だと思っていたが、そうではなかった!


本当に勝手な思い込みは駄目だな~と、改めて反省していると、突然ピュ~と強めの風が吹き俺達を襲う。


すると先生の下半身を申し訳ない程度に隠している布がピラピラ~と上に捲り上がり、ビキニアーマーがモロ見えに。


結構な肌の露出具合と際どいくらいの食い込みっぷりに、俺は直ぐに後ろにいたレオンの両目をソッ……と隠した。



そんな露出を全く恐れないルーン先生とともに、次々とスライム戦争の場所に向かってはスライムを倒し、怪しい風が吹けばレオンの両目を隠し、スライムを倒し、また怪しい風が吹けばレオンの両目を────……。



「 …………。 」


” 後ろに敵がいる ” 


それを嫌というほど学びながら、黙って黙々とお仕事をこなしていくと、やがて俺たちはガランっと空っぽになってしまった、とある< スライムの家 >へ辿り着いた。


すぐそこでスライム戦争が起きていたにも関わらずこの静けさ……ちょっと変だ。


強い違和感を感じてヒヤッとしながら、冷静に周囲を見て回る。

すると、目に飛び込んでくるのは、スポットライトに照らされる様に日があたり、キラキラ輝く大きな泉とそれを囲う木々や花々であった。


更にその場には近くを流れる小さな川のチョロチョロという音のみが聞こえていて、普段だったらピクニックしたいな~と思える場所だ。


しかし……今の状況だと不気味さを感じてしまいそんな気分にはなれない。


それはルーン先生も重々承知で、俺に向かってボソッと呟いた。


「 今、新たに探知魔法を掛けてみたんだが、この場所だけ大きな真っ黒い穴が開いていて情報が全く読めない。


探知魔法が使えないとなると、多分あたいのレベルを遥かに上回る奴が、未知の何かか……。

どちらにせよヤバいもんには違いないから、何かあれば直ぐに撤退するぜ。


二人共警戒を絶対に解くなよ。 」


「 分かった! 」


俺はゴクリッと唾を飲み込みながら返事をしたが、レオンときたら綺麗な場所=おやつタイムと勘違いしたのか、上機嫌のまま多次元ボックスから、マルクさん特性のはちみつパンを取り出そうとしている!


それを無言で止めてから、俺はスキル< 昆虫の予見者 >を発動。


注意深く周囲の様子を探っていた、その時────変わった気配を感じた。


「 ────?

……────あっ!あそこの木の影に何か反応があるよ! 」


泉の直ぐ側に立つ大きな巨木、その影になにやら不思議な魔力反応を感じたためそこを指差す。


「 何だと!! 」


ルーン先生がハッ!として叫び、直ぐに杖をそこに向かって構えた。


俺もその木に視線を送り、2人揃ってジ~っと凝視していると────?


────ソロ~……。


黒いぷにぷにした何かが、ゆっくりと木の影から顔を?出した。


大きさ的にはサッカーボールくらい?

顔というか……なんだろう?

なんか……ツルっとしている……??


「 ……何だろう?あの黒いの。 」


その正体が掴めず、思わずキョト~ンとそれを見つめてしまったが、隣にいるルーン先生はそれとは対照的に、ザッ!!と青ざめ、突然怒鳴りだす。


「 スライムの始祖だっ!!

しかもあの色は、多分ユニーク個体!! 」


そう叫んだルーン先生は、直ぐに大量の火の玉を出現させてその黒いスライム?がいる木の方へ攻撃を打ち込んだ。


その凄まじい攻撃にうわっ!と短い悲鳴をあげ、顔を両手で覆い爆風から身を守りつつ、目はその黒スライムに向けたままジッとその様子を見守る。


すると、その子はルーン先生の発生させた火の玉を見上げ ” うわぁぁ────!! ” と言わんばかりの、慌てた様子をみせながら必死にそれを避けていた。


「 ……??? 」


その様子に違和感を感じ、首を傾げながらその黒いモノを視線で追い続ける。


すると、その全ての攻撃を避けた黒いヤツは、ポンポンッとゴムボールの様に弾みながら、近くにある大きな石の影に慌てて隠れてしまった。


そして、またやそこからチラ~とこちらを覗いている様な仕草を見せる。


「 んん~??? 」


その行動に本格的な違和感を感じて、唸りながら更に首を横に傾けたのだが、そんな俺をルーン先生が叱咤してきた。


「 こらっ!リーフ!真面目にやれ!


あいつが今回の騒動の犯人だ。

あんなおっかない真っ黒なスライムなんて見たことないぜ!


周りのスライム達はあいつを恐れて移動しているか……もしくは他のスライム達を操って戦わせて遊んでるんだ!

あんな奴ここで倒さなきゃ街に危険が及ぶかもしれないぜ!


あたいの攻撃に合わせて一気に叩くぞ! 」


フンッ!!と気合十分で叫ぶルーン先生の言葉を聞きながら────俺は本当にそうなのかな?と考えていた。


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