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第七章

318 また頭10個分

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( リーフ )


「「 どういう事ですか?! 」」


レオンが出ていった後、モルトと二ールは信じられないものでも見るかのような目をして、俺に尋ねてきた。


俺はそれにニヤニヤ~と笑みを浮かべながら、先ほど起きた事のあらましを二人に教えたのだが……てっきり興奮して話に食いついてくるかと思った二人は微妙な表情を浮かべて、更に考え込む様子まで見せる。


二人ともどうしたんだろう??


予想と違う反応を不思議に思ったが、俺はここでハッ!と気づいた。


レオンは現在、俺達幼馴染~ズの中で頭1つ分抜きん出た存在である。


それこそ小学院では剣も魔法も、そして座学さえも俺達どころか、誰も彼もを遥か下に置き去りにしたまま断トツのトップ様。


多分俺達があえて勝っていると言える部分は、呪いがあるか否かくらい?

しかしそれすらもダークヒーロー的魅力に溢れている事から、俺は負けていると思っている。


ホントな~んも勝てない。


しかもこの間ウォッカに滞在していた時に気づいたが、レオンはスタイルも神レベルのため、なんと黒フードで呪いのお顔を隠せばめちゃくちゃモテモテなのも、俺はしかとこの目で確認した。


そんなチラチラとレオンに視線を送ってくるお嬢さん方に気づいたのは俺だけではなく、モルトとニールもそれに気づいていたようで、二人は揃ってムッ!とした顔をする。


「 男は顔よりスタイルか……。 」


「 女性は男の体しか見てくれない生き物だったんすね……。 」


そうブツブツと言いながら、モルトは自分の履いているズボンの裾をエイヤッと上に持ち上げ少しでも足を長く見せようとし、ニールは自身のお腹をタプタプと触っていた。


「 いや、顔も重要じゃないのかな。 」


俺は俺で、そんな自論を唱えながら、鼻を少しでも高くしようとグイグイと引っ張る……などの無駄な努力をしていたが、こればっかりは仕方がない。


持って生まれてくるものは完全ランダム。

レオンと並ぶとご当地キャラになってしまう自分の好きな部分を探すのも、人生の醍醐味だ。


レオンの横で、キレッキレの盆踊りを披露して大活躍のご当地キャラを妄想し、キラッ!と目を輝かせた。


ただ、やはり自分の持っていないものを持っている人に対し嫉妬の心を持つのは当然の事で、ボンヤリしているレオンに対し、チィィッ!!と舌打ちするモルトとニールの気持ちは正直よ~く分かる!


そんな二人の現在の心境は、ズバリこれ!


” レオンが女の子とデートなどしてしまったら、俺たち幼馴染~ズの中で、更に頭2つ分程上の存在に……! ”


分かる分かる~。

彼女がいるかいないかで、グループ内の順位に大きく関わるからねっ!


前世で彼女持ちのイケてる友達を見て、ギリィ……と唇を噛んでた思い出を振り返り、過去の自分の滑稽さに吹き出す。


女の子達からの評価はそのまま男の格付けランキングに直結している……そう言っても過言ではないほどその存在は大きいものだ。


つまり何が言いたいかって言うと、現在断トツトップのレオンがその女の子とデートというビックなイベントをこなすことで────更に男の格付けランキングは跳ね上がるという事。


頭1つが2つに、いやもう10個くらいは上になってしまうかもしれないな……。


その高さにゾゾッとしていると、モルトはおずおずと俺に話しかけてきた。


「 あの……ついていったほうがよろしいのでは……?

その……危なくないですか?( 相手が ) 」


「 大丈夫大丈夫。( レオンは )めちゃくちゃ強いから!

例え( 酔っ払った暴漢などが )絡んできても瞬殺だろうね。

でも普段は虫も殺せぬ優しい子だから相手は死にはしないさ。 」


確かにこんな夕ご飯も終わった時間、そんな遅くに幼子を外に出すなど前世なら瘴気の沙汰ではない。

誘拐、暴漢、なんでもウェルカムなとんでもない事であるが、レオンはそりゃ~もう、めちゃくちゃ強い。


多分並の酔っ払いや犯罪者など相手にならぬ程の実力があるので、寧ろ相手がヤバい。

そのため俺的にはせっかく芽生えた淡いトキメキを優先させてあげようと考えたわけだ。


モルトは俺の答えに、サーッ……と青ざめながら、「 じょっ、女性が逞しすぎる…… 」と言ってブルブル震えだしたが、その通り!


女性は強い!これは万国、万異世界全て共通のはず。

うんうんと頷く俺に、今度はニールがおずおずと話しかけてくる。


「 その……( レオンの片恋?の )相手はどんな人なんっすか? 」


” レオンを襲おうとする相手はどんな人ですか? ”


まぁ、大抵は酔っ払った……主に戦闘職、および暴力大好きな人達だろうと思われる。


日々の命をかけたギリギリの生活からか、戦闘職の人達は浴びるように酒を飲む人達が多い様で、絡んでくるのもそういった人達の中。

攻撃性の高い、いわゆるたちが悪いとされる人間のはず……。


「 ……そうだねぇ~。

多分体格はレオン以上じゃないかな?

そうじゃなきゃ襲ってこないだろうから。


きっと今頃はお酒まみれになっているだろうね。」


「 体格が……レオン以上……襲う……??……お酒まみれ……。 」


ニールは首をひねりながら考えこんでしまったが、レオンに心配は無用。


幼馴染~ズ兼ライバルの俺達に出来るのは待つことだけである!

そんな結論を頭の中で出し、二人の肩にグイ~と手を回した。


「 まぁまぁ、レオンの事は放っておいて俺達は男同士、お風呂に入りに行こ~! 」


そう言ってなんとなく納得していない様子の二人を連れ、俺は温泉の方へと向かった。


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