96 / 1,307
第二章
81 邪神
しおりを挟む
( リーフ )
突如変化した痛みを感じるほどの鋭い視線と重だるい空気に、レオンは大丈夫かと慌てて視線を向ける────が、先ほどと全く変わらず、俺をジッと睨みつけているレオンがそこにいた。
レオンは意外と肝が座っている!
そしていい感じに俺にヘイトが集まっている!
良き良き~と俺は満足気に微笑むと、ゴホンッとわざとらしく咳き込んだ。
「 レオン、このドノバンはこれから剣や魔法を教えてくれる先生になる。
君は俺のためにこれから ” 的 ” として、修行に付き合ってもらうよ。
精一杯彼から学び、そして最強の下僕、兼 ” 的 ” になるんだ!
分かったね? 」
要は " 俺と一緒に修行頑張ろ~ " 的な事を改めて言い聞かせたのだが……レオンは険しい表情のまま「 はい!! 」と良い返事を返し、更に強くギラッと俺を睨みつけてきた。
まるで親の敵でも取ろうかというほどの鋭い眼光に、俺はゆっくり眼を逸らす。
やる気が満々なことは非常に喜ばしい事なのだが、かなり頑張らないと俺が高学院まで持たないかもしれない。
途中でレオンの理性がブチギレて殺されたらどうしよう……。
────ドキドキ……。
ヒヤヒヤ~!
思った以上に効果が出すぎている事に不安と恐怖を抱いていたため、俺はドノバンが探るように俺とレオンを眺めていた事に全く気づかなかった。
「 お~い。とりあえずリーフに確認なんだが、本当に体に何か変調はないんだな? 」
「 え?うんうん、大丈夫だよ。 」
「 そいつに触れた場所に変な黒い痣みてぇな模様が浮かんでないか? 」
痣?と不思議そうに首をかしげる俺に、「 ねぇーんだな? 」と再確認するドノバン。
戸惑いながらもコクリと頷く。
するとピンっと張り詰めた空気は和らぎ、ドノバンはまた気の抜けた顔つきに戻ると、大きく息を吐き出した。
「 あ──……そいつは伝染性の呪いじゃねぇみたいだな。
まぁ、ならとりあえずは安心して大丈夫だろう。
……しかし、見たところ相当強力な呪いの様だな。
俺は専門家じゃねえから詳しくはわからねぇが、そりゃー恐らく ” 人 ” が発生させられるレベルのもんじゃねぇ。
一体どこで貰ったのか……見当もつかん。 」
そう言ってまだ少し警戒しながら、ドノバンはジロジロとレオンを見下ろす。
レオンに呪いを掛けたのは ” 人 ” ではなく ” 邪神 ”
・・いわゆるイシュル神とは別の力を持った神様だ。
邪神 < ゼノン >
彼はイシュル神さえ解くことができない呪いを、レオンの魂に刻み込んだ。
物語の中で彼について描かれている事は少なく、結局は謎に包まれたまま物語は終焉を迎えることとなったが……その中で唯一分かる事と言えば、彼はその言動や行動からも " 人 " に良い感情は持っていなかったことくらい。
一体彼< ゼノン >は何者で何故 " 人 " を恨んでいたのだろう?
勿論気にはなるが、途中で脱落する俺にはその答えを知る事はないだろうなぁ~と諦めている。
今後レオンが旅に出た時、きっと彼は物語と同様にレオンの前に姿を現し、そして────……。
ゼノンの最後を思い出し、ブルリと身震いすると、それを誤魔化すように俺はドノバンに話しかけた。
「 元第二騎士団、団長なのに、そんなに呪いが怖いのかい? 」
軽く聞いたつもりだったが、ドノバンは思いの外真剣な顔をして言った。
「 あぁ、怖いぜ? この世で1番な。
戦いに携わるものが1番恐れるものは何か?
そう問われれば全員が同じ答えを返す。
" それは呪いだ " ────ってな。 」
多少戯けた様な言い方はしているが、多分これはドノバンの本心の様だ。
こんなに強い人でも呪いはとても怖いモノらしい。
ふむふむと頷きながら俺を今だに睨みつけているレオンの左半身をじーっと見つめていると、ドノバンは呪いについて教えてくれた。
突如変化した痛みを感じるほどの鋭い視線と重だるい空気に、レオンは大丈夫かと慌てて視線を向ける────が、先ほどと全く変わらず、俺をジッと睨みつけているレオンがそこにいた。
レオンは意外と肝が座っている!
そしていい感じに俺にヘイトが集まっている!
良き良き~と俺は満足気に微笑むと、ゴホンッとわざとらしく咳き込んだ。
「 レオン、このドノバンはこれから剣や魔法を教えてくれる先生になる。
君は俺のためにこれから ” 的 ” として、修行に付き合ってもらうよ。
精一杯彼から学び、そして最強の下僕、兼 ” 的 ” になるんだ!
分かったね? 」
要は " 俺と一緒に修行頑張ろ~ " 的な事を改めて言い聞かせたのだが……レオンは険しい表情のまま「 はい!! 」と良い返事を返し、更に強くギラッと俺を睨みつけてきた。
まるで親の敵でも取ろうかというほどの鋭い眼光に、俺はゆっくり眼を逸らす。
やる気が満々なことは非常に喜ばしい事なのだが、かなり頑張らないと俺が高学院まで持たないかもしれない。
途中でレオンの理性がブチギレて殺されたらどうしよう……。
────ドキドキ……。
ヒヤヒヤ~!
思った以上に効果が出すぎている事に不安と恐怖を抱いていたため、俺はドノバンが探るように俺とレオンを眺めていた事に全く気づかなかった。
「 お~い。とりあえずリーフに確認なんだが、本当に体に何か変調はないんだな? 」
「 え?うんうん、大丈夫だよ。 」
「 そいつに触れた場所に変な黒い痣みてぇな模様が浮かんでないか? 」
痣?と不思議そうに首をかしげる俺に、「 ねぇーんだな? 」と再確認するドノバン。
戸惑いながらもコクリと頷く。
するとピンっと張り詰めた空気は和らぎ、ドノバンはまた気の抜けた顔つきに戻ると、大きく息を吐き出した。
「 あ──……そいつは伝染性の呪いじゃねぇみたいだな。
まぁ、ならとりあえずは安心して大丈夫だろう。
……しかし、見たところ相当強力な呪いの様だな。
俺は専門家じゃねえから詳しくはわからねぇが、そりゃー恐らく ” 人 ” が発生させられるレベルのもんじゃねぇ。
一体どこで貰ったのか……見当もつかん。 」
そう言ってまだ少し警戒しながら、ドノバンはジロジロとレオンを見下ろす。
レオンに呪いを掛けたのは ” 人 ” ではなく ” 邪神 ”
・・いわゆるイシュル神とは別の力を持った神様だ。
邪神 < ゼノン >
彼はイシュル神さえ解くことができない呪いを、レオンの魂に刻み込んだ。
物語の中で彼について描かれている事は少なく、結局は謎に包まれたまま物語は終焉を迎えることとなったが……その中で唯一分かる事と言えば、彼はその言動や行動からも " 人 " に良い感情は持っていなかったことくらい。
一体彼< ゼノン >は何者で何故 " 人 " を恨んでいたのだろう?
勿論気にはなるが、途中で脱落する俺にはその答えを知る事はないだろうなぁ~と諦めている。
今後レオンが旅に出た時、きっと彼は物語と同様にレオンの前に姿を現し、そして────……。
ゼノンの最後を思い出し、ブルリと身震いすると、それを誤魔化すように俺はドノバンに話しかけた。
「 元第二騎士団、団長なのに、そんなに呪いが怖いのかい? 」
軽く聞いたつもりだったが、ドノバンは思いの外真剣な顔をして言った。
「 あぁ、怖いぜ? この世で1番な。
戦いに携わるものが1番恐れるものは何か?
そう問われれば全員が同じ答えを返す。
" それは呪いだ " ────ってな。 」
多少戯けた様な言い方はしているが、多分これはドノバンの本心の様だ。
こんなに強い人でも呪いはとても怖いモノらしい。
ふむふむと頷きながら俺を今だに睨みつけているレオンの左半身をじーっと見つめていると、ドノバンは呪いについて教えてくれた。
101
お気に入りに追加
1,988
あなたにおすすめの小説
大好きなBLゲームの世界に転生したので、最推しの隣に居座り続けます。 〜名も無き君への献身〜
7ズ
BL
異世界BLゲーム『救済のマリアージュ』。通称:Qマリには、普通のBLゲームには無い闇堕ちルートと言うものが存在していた。
攻略対象の為に手を汚す事さえ厭わない主人公闇堕ちルートは、闇の腐女子の心を掴み、大ヒットした。
そして、そのゲームにハートを打ち抜かれた光の腐女子の中にも闇堕ちルートに最推しを持つ者が居た。
しかし、大規模なファンコミュニティであっても彼女の推しについて好意的に話す者は居ない。
彼女の推しは、攻略対象の養父。ろくでなしで飲んだくれ。表ルートでは事故で命を落とし、闇堕ちルートで主人公によって殺されてしまう。
どのルートでも死の運命が確約されている名も無きキャラクターへ異常な執着と愛情をたった一人で注いでいる孤独な彼女。
ある日、眠りから目覚めたら、彼女はQマリの世界へ幼い少年の姿で転生してしまった。
異常な執着と愛情を現実へと持ち出した彼女は、最推しである養父の設定に秘められた真実を知る事となった。
果たして彼女は、死の運命から彼を救い出す事が出来るのか──?
ーーーーーーーーーーーー
狂気的なまでに一途な男(in腐女子)×名無しの訳あり飲兵衛
六日の菖蒲
あこ
BL
突然一方的に別れを告げられた紫はその後、理由を目の当たりにする。
落ち込んで行く紫を見ていた萌葱は、図らずも自分と向き合う事になった。
▷ 王道?全寮制学園ものっぽい学園が舞台です。
▷ 同室の紫と萌葱を中心にその脇でアンチ王道な展開ですが、アンチの影は薄め(のはず)
▷ 身代わりにされてた受けが幸せになるまで、が目標。
▷ 見た目不良な萌葱は不良ではありません。見た目だけ。そして世話焼き(紫限定)です。
▷ 紫はのほほん健気な普通顔です。でも雰囲気補正でちょっと可愛く見えます。
▷ 章や作品タイトルの頭に『★』があるものは、個人サイトでリクエストしていただいたものです。こちらではいただいたリクエスト内容やお礼などの後書きを省略させていただいています。
不遇聖女様(男)は、国を捨てて闇落ちする覚悟を決めました!
ミクリ21
BL
聖女様(男)は、理不尽な不遇を受けていました。
その不遇は、聖女になった7歳から始まり、現在の15歳まで続きました。
しかし、聖女ラウロはとうとう国を捨てるようです。
何故なら、この世界の成人年齢は15歳だから。
聖女ラウロは、これからは闇落ちをして自由に生きるのだ!!(闇落ちは自称)
第十王子は天然侍従には敵わない。
きっせつ
BL
「婚約破棄させて頂きます。」
学園の卒業パーティーで始まった九人の令嬢による兄王子達の断罪を頭が痛くなる思いで第十王子ツェーンは見ていた。突如、その断罪により九人の王子が失脚し、ツェーンは王太子へと位が引き上げになったが……。どうしても王になりたくない王子とそんな王子を慕うド天然ワンコな侍従の偽装婚約から始まる勘違いとすれ違い(考え方の)のボーイズラブコメディ…の予定。※R 15。本番なし。
生まれ変わりは嫌われ者
青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。
「ケイラ…っ!!」
王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。
「グレン……。愛してる。」
「あぁ。俺も愛してるケイラ。」
壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。
━━━━━━━━━━━━━━━
あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。
なのにー、
運命というのは時に残酷なものだ。
俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。
一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。
★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結
満月に囚われる。
柴傘
BL
「僕は、彼と幸せになる」
俺にそう宣言した、想い人のアルフォンス。その横には、憎き第一王子が控えていた。
…あれ?そもそも俺は何故、こんなにも彼に執心していたのだろう。確かに彼を愛していた、それに嘘偽りはない。
だけど何故、俺はあんなことをしてまで彼を手に入れようとしたのだろうか。
そんな自覚をした瞬間、頭の中に勢い良く誰かの記憶が流れ込む。その中に、今この状況と良く似た事が起きている物語があった。
…あっ、俺悪役キャラじゃん!
そう思ったが時既に遅し、俺は第一王子の命令で友好国である獣人国ユースチスへ送られた。
そこで出会った王弟であるヴィンセントは、狼頭の獣人。一見恐ろしくも見える彼は、とても穏やかで気遣いが出来るいい人だった。俺たちはすっかり仲良くなり、日々を楽しく過ごしていく。
だけど次第に、友人であるヴィンスから目が離せなくなっていて…。
狼獣人王弟殿下×悪役キャラに転生した主人公。
8/13以降不定期更新。R-18描写のある話は*有り
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる