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現代( 注意! )
83 流された
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( 理亜 )
女神様はあっという間に私に最新の治療を受けさせてくれて、それによりみるみる私は元気になっていく。
両親はオロオロしながら玲央さんに生涯をかけてお金を返しますと土下座したが、玲央さんは一言「 いらない。 」と答えるだけ。
でも・・と言い淀む両親と私を見て、玲央さんはハァ……と面倒くさそうに言った。
「 死んだら大樹の意識がそっちに行っちゃうでしょ?
だから死なれるとめんどくさい。
記憶が部分的に消せるなら喜んで見送るんだけどね。
邪魔だし。 」
淡々と口から飛び出す言葉の数々に、私を労る様な心は一切ない。
あまりに直接的な無関心に私達は固まったが、直ぐに父が正気を取り戻し「 そんな若い身で借金させるわけには・・ 」と言ったが、玲央さんは不思議そうな顔で答えた。
「 借金・・?
何でこんな程度のお金で借金なんてするの? 」
その顔が本当に訳が分からないといった様子で・・
しかし負けじと両親も私も訳が分からずポカンとしてしまった。
後にテレビのニュースで玲央さんを見て、非常に納得したが・・。
結局その後私は無事に病気を克服し、受け取ってもらえないお金は両親が仏壇に何故か毎月コツコツ納めている。
もしかしてまた来るかもしれないからその時渡す。
そう言っていたが、玲央さんが結婚したニュースを見て、私達は多分あの時のことは気の迷いだったのかも?と思う様になった。
その頃には私も結婚し子育てに奔走していて、やっぱり自分の家族を作る事にしたんだろうと軽く考えていた、その三年後くらいの事。
私も実家に帰る度に、玲央さんにいつか返すという仏壇のお金に毎月余分に余ったお金を納める様になっていて、その日もそのお金を納めて祈っていた。
その時ーーー
ーーピンポーーン・・
「 ・・?はーーい。 」
家のチャイムがなって子供達は両親に見ていて貰い玄関に向かうとーーーー玲央さんがいた。
初めて来た時と何ら変わらず・・いや、それ以上に美しくなった玲央さんが。
最大級サイクロンの様な玲央さんの訪問。
あの日同様固まる両親と私に向かい、玲央さんは見たこともない様な金額が書かれている収入証明書とDNA付きの子供の情報。
それからこれから生まれてくる子供と兄とのDNA検査結果まで提示してくる。
「 これで条件はクリアーしたでしょ?
大樹貰うね。 」
結局何も言えずにただ沈黙する私達に玲央さんは淡々と、兄が出張から帰って直ぐに一緒に住む事を伝えてサッサっと帰ってしまった。
その後の我が家はまるでお通夜の様で、キャキャとはしゃぐ我が子達の声だけが響く中、父が言う。
「 ・・・あっぱれ。 」
「 ……何言ってんの。 」
玲央さんを褒めた?父に私がため息をつきながらそう言うと、母が横から口を出した。
「 10年ですものね~。
確かにそれだけの執念を何かに持つって普通じゃ無理だわ。
確かに敵ながらあっぱれね。 」
「 お母さんまで・・。 」
しみじみとした様子で同時に頷く両親。
確かにたった一人の為にここまでするなど、本当に凄い事だ。
だが、私としては自分のために進学を諦めてくれた大好きな兄が不幸になるなど絶対に嫌だった。
だから、何とかしなきゃ!と色々策を巡らせていたが、反対に両親は、何だか諦めモードに・・
「 まぁ、ここまで人に愛されることなんてないし、もう良いんじゃないか?
そもそも大樹は直ぐに手が出るから、本当に嫌なら殴って逃げるだろう。
大丈夫大丈夫。 」
「 そうねぇ・・。
それに何たって彼女の一人も出来たことないし・・
やっぱり優しいだけじゃ最近の若いお嬢さんには人気ないのかしら?
ならもういっそ男の人でもいいんじゃない?
そもそも子供も出来ちゃったなら責任とらないといけないし・・。 」
「 いやいやいやいや!? 」
何だかもっともらしいことを言って流されそうになっている両親に慌てて突っ込みを入れる。
本人の同意なしはそもそも犯罪!
しかも子供に関しても絶対本人の了承取ってないでしょ!?コレ。
虎視眈々と外堀を埋め、逃げられない状況を作り出してしまった玲央さんには恐怖以外感じない。
ブルブル震えながらそれを訴えようとしたのだが・・そんな私を両親は嗜めてくる。
「 理亜!お前は命の恩人にちゃんと感謝しなさい!
それに結局お金は受け取って貰えなかったな・・
どうするか・・ 」
「 結婚の支度金として渡すとかどう? 」
ボソボソボソ~!と二人でとんでもないことを言い出したが、何だかんだで流されやすい二人は最終的にはまっ、いっか~と結論を出した様だ。
私はなんか違う、なんか違う・・と必死に理性を保っていたが、その後1番流されやすい兄が普通に玲央さんと実家に来て、普通に家族になったと報告してきたので・・
ーーーまぁ、結局私も流された。
嬉しそうに報告してきた兄を見たらこれでいいかと思ってしまったから。
「 おめでとう。お兄ちゃん。 」
素直にお祝いの言葉を贈ると兄は幸せそうに笑った。
女神様はあっという間に私に最新の治療を受けさせてくれて、それによりみるみる私は元気になっていく。
両親はオロオロしながら玲央さんに生涯をかけてお金を返しますと土下座したが、玲央さんは一言「 いらない。 」と答えるだけ。
でも・・と言い淀む両親と私を見て、玲央さんはハァ……と面倒くさそうに言った。
「 死んだら大樹の意識がそっちに行っちゃうでしょ?
だから死なれるとめんどくさい。
記憶が部分的に消せるなら喜んで見送るんだけどね。
邪魔だし。 」
淡々と口から飛び出す言葉の数々に、私を労る様な心は一切ない。
あまりに直接的な無関心に私達は固まったが、直ぐに父が正気を取り戻し「 そんな若い身で借金させるわけには・・ 」と言ったが、玲央さんは不思議そうな顔で答えた。
「 借金・・?
何でこんな程度のお金で借金なんてするの? 」
その顔が本当に訳が分からないといった様子で・・
しかし負けじと両親も私も訳が分からずポカンとしてしまった。
後にテレビのニュースで玲央さんを見て、非常に納得したが・・。
結局その後私は無事に病気を克服し、受け取ってもらえないお金は両親が仏壇に何故か毎月コツコツ納めている。
もしかしてまた来るかもしれないからその時渡す。
そう言っていたが、玲央さんが結婚したニュースを見て、私達は多分あの時のことは気の迷いだったのかも?と思う様になった。
その頃には私も結婚し子育てに奔走していて、やっぱり自分の家族を作る事にしたんだろうと軽く考えていた、その三年後くらいの事。
私も実家に帰る度に、玲央さんにいつか返すという仏壇のお金に毎月余分に余ったお金を納める様になっていて、その日もそのお金を納めて祈っていた。
その時ーーー
ーーピンポーーン・・
「 ・・?はーーい。 」
家のチャイムがなって子供達は両親に見ていて貰い玄関に向かうとーーーー玲央さんがいた。
初めて来た時と何ら変わらず・・いや、それ以上に美しくなった玲央さんが。
最大級サイクロンの様な玲央さんの訪問。
あの日同様固まる両親と私に向かい、玲央さんは見たこともない様な金額が書かれている収入証明書とDNA付きの子供の情報。
それからこれから生まれてくる子供と兄とのDNA検査結果まで提示してくる。
「 これで条件はクリアーしたでしょ?
大樹貰うね。 」
結局何も言えずにただ沈黙する私達に玲央さんは淡々と、兄が出張から帰って直ぐに一緒に住む事を伝えてサッサっと帰ってしまった。
その後の我が家はまるでお通夜の様で、キャキャとはしゃぐ我が子達の声だけが響く中、父が言う。
「 ・・・あっぱれ。 」
「 ……何言ってんの。 」
玲央さんを褒めた?父に私がため息をつきながらそう言うと、母が横から口を出した。
「 10年ですものね~。
確かにそれだけの執念を何かに持つって普通じゃ無理だわ。
確かに敵ながらあっぱれね。 」
「 お母さんまで・・。 」
しみじみとした様子で同時に頷く両親。
確かにたった一人の為にここまでするなど、本当に凄い事だ。
だが、私としては自分のために進学を諦めてくれた大好きな兄が不幸になるなど絶対に嫌だった。
だから、何とかしなきゃ!と色々策を巡らせていたが、反対に両親は、何だか諦めモードに・・
「 まぁ、ここまで人に愛されることなんてないし、もう良いんじゃないか?
そもそも大樹は直ぐに手が出るから、本当に嫌なら殴って逃げるだろう。
大丈夫大丈夫。 」
「 そうねぇ・・。
それに何たって彼女の一人も出来たことないし・・
やっぱり優しいだけじゃ最近の若いお嬢さんには人気ないのかしら?
ならもういっそ男の人でもいいんじゃない?
そもそも子供も出来ちゃったなら責任とらないといけないし・・。 」
「 いやいやいやいや!? 」
何だかもっともらしいことを言って流されそうになっている両親に慌てて突っ込みを入れる。
本人の同意なしはそもそも犯罪!
しかも子供に関しても絶対本人の了承取ってないでしょ!?コレ。
虎視眈々と外堀を埋め、逃げられない状況を作り出してしまった玲央さんには恐怖以外感じない。
ブルブル震えながらそれを訴えようとしたのだが・・そんな私を両親は嗜めてくる。
「 理亜!お前は命の恩人にちゃんと感謝しなさい!
それに結局お金は受け取って貰えなかったな・・
どうするか・・ 」
「 結婚の支度金として渡すとかどう? 」
ボソボソボソ~!と二人でとんでもないことを言い出したが、何だかんだで流されやすい二人は最終的にはまっ、いっか~と結論を出した様だ。
私はなんか違う、なんか違う・・と必死に理性を保っていたが、その後1番流されやすい兄が普通に玲央さんと実家に来て、普通に家族になったと報告してきたので・・
ーーーまぁ、結局私も流された。
嬉しそうに報告してきた兄を見たらこれでいいかと思ってしまったから。
「 おめでとう。お兄ちゃん。 」
素直にお祝いの言葉を贈ると兄は幸せそうに笑った。
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