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EP1

#16

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 内容としては、委員長が挨拶して、1年の各クラスの代表者に記念品を渡すというもの。貰う人と渡す人を監査委員から1人ずつ出さないといけないらしい。

 渡す役は3年生の主張によって、2年のクラスが同じ人が務めることになった。流石先輩である。

 そんな難しいことでは無いが、やりたくは無い。というか、こういう軽い仕事を率先してやって、不利益を被るのは自分なのだ。

   「代表、黒瀬さんに頼んでいい?」

   「...え、その...」

   「いい?よろしくね!」

 同じクラスの役を頼まれている黒瀬が目に入る。本当ならここで引き受けてはならない。

 柄にもなくやってしまった黒板消しの仕事、くじ引きで決まった遠足の班長、上級生が皆卒業し3年生から始めた地区長など、色々と役割を背負わされた小学生時代。高学年になると、運動会のリーダーや委員長は当たり前、児童会や学級委員、本来違う人がやる筈だった他学校との交流会の代表も勝手にやらされた。始めは信頼されていると感じて気持ち良かったが、次第に、真面目にやらないと、期待に応えないとという思いに囚われるようになった。

 周りから見れば優等生だったかもしれないが、彼らにとって自分は仕事の出来る駒だったのでは無いか、僕は人に使われて喜んでいたのだろうか、あいつらは僕に仕事を任せて悪いと思わないのだろうか。交流会で失敗した後、悩みというか怒りというか、やたらと強い思いに駆られた。

 だから中学校では、誰にでも頼られる存在ではなく、皆にとって近寄り難い存在になろうと...なんてことはどうでも良くて、とにかく、学校では余計なことを引き受けてはならないのだ。

 だから、僕も人に仕事を頼もう。

   「白渡、頼んだ」

   「伊折君、幾ら何でも転校生に頼むのは如何なものかと思うよ?」

   「いやいや、可愛い子でさえ旅をさせるべきなんだから、転校生も突き放した方がいいだろ?やれよ」

   「分かったよ、白渡がやればいいのね?今回は貸しってことで、今日の放課後デートに来てもらうから」

 仕事以上に面倒な約束をさせられる。

 こいつに頼んだ僕が馬鹿だった、そう後悔していると、白渡は委員長のもとまで行き、決定事項を伝える。

   「2年6組は、白渡君が代表になりました」

   「あの子だよね?オッケー!」 

 ...ん?

 あ、やらかした。
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