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青年期
二十二話
しおりを挟む一通り悶え終わって落ち着いてきた後、私は人前でなんという姿をさらしてしまったのかと、今度は二人の前で両手両ひざをついて頭をガックシとうなだれています。
ショールさんは顔が引きつってます。ケイ君はニコニコとさわやか笑顔のままだけど、どこか周りに花が飛んでいる・・・え?なぜに?
それに気づいたショールさんがケイ君を見つつさらに顔を引きつらせていました。
ケイ君の顔見て引きつらせるなんてあり得ない!この素晴らしいイケメンフェイスを見てなんていう表情を!!
「主、落ち着いたか?」
「はい。埋めてください」
「はっ!?いや、なぜに!?」
「人前でこんな恥をさらすなど・・・」
「ほら、主!今のは見なかったことにするから!な、ケイ!ケイもそうだろ!?」
「そうかな?僕は嬉しいよ」
「ちょっ・・・おま「ほんとですか?」・・・えっ?」
落ち込んでいた私に天の光が差し込んできました!
ケイ君に迫って、再確認。嘘じゃないよね?幻聴じゃないよね?
「うん。可愛かった」
「え?私は可愛くなんてありませんよ?」
「僕は君をかわいいと思う。それに、自己紹介がまだだったね。僕はケイ。このうざワンコに弟子入りして武術を磨いてるよ」
「ケイ!その紹介の仕方は酷いぞ!師匠泣いちゃう!」
「これはご丁寧に。私はユウカです。冒険者ランクSで今さっきショールさんに弟子入りさせてもらったところです。特技は家事です。モフらせて下さい!ケイさん!」
「いいよ。僕でよければ」
「ありがとうございます!」
早速モフらせてもらいました!毛並みは良好。ふさふさのサラサラで、触ると毛に埋もれていく感じがたまりません!尻尾も触りたかったけど、性感帯だからと触らせてもらえませんでした・・・次こそは!
完全獣化も出来るそうで、してもらったら完全に北海道犬でした!
もちろん撫でまわしました!もう表情筋が緩みまくってすごいことになっているかしれないけど、構わずにやりました。
もう、ふっさふさでテレビ番組に出てくる、〇さお並みの毛量でした。今は伸ばしているんだそう。
願掛け?確かそんなのおまじないであったよね。
そういえば師匠は?どこ?・・・いた!
師匠を探すと部屋の隅っこに体育座りで座ってました。うじうじしてて、うざい。
キノコが頭から生えそうなくらい、うじうじしてるね笑
「心配しているの?優しいんだね。でも、そんなことより大事なことがあるんだ」
「何でしょう?」
特に何も心配はしていないけど、面白いなぁとしか考えていなかったけど、ケイ君に褒められたから訂正はしない。
頭なでなでとか至福の極み!見とれていいですか!
「どうせ僕は蚊帳の外ですヨーダ・・・ぐすん」
師匠、うるさいです。こっちまで湿ってきそうなので、うじうじしないでくださいと言ったら灰になりました笑
ケイ君と向かい合わせになるように座ると、ケイ君が私の両手を包み込むように握ってきました。ごちそうさまです!・・・じゃなくて!えっ?
「手に何か感じない?」
「?」
どっかのチャラ男のような口説き文句だけど、確かにケイ君と触れているところから、体温とは違う何温かいものが流れ込んでくるのがわかったから、正直に言った。
そしたら、あからさまにホッと息をついてよかったと言ってる。
・・・何がよかったの?私はケイ君と手を握れてうれしいけどさ。武術をしているだけあって、剣ダコができていて男らしい手だなぁ
もし地球にいたら、顔面偏差値も性格もそうだけど親友が飛びつきそうな感じだよね。
親友が今ここにいなくてちょっとホッとしたな。
あの子は根はやさしいんだけど、それが表に出てこないから誤解されやすいんだよね。
「いきなりでごめんね。実は君が僕の運命の番みたいなんだ。僕と繋がってくれるよね?」
「「えっ」」
突然の告白に頭が真っ白になる。
・・・えっ?え?番って何?繋がる?何と繋がるの?
とにかく疑問に思ったことを聞いてみた。
「質問があります」
「うん。何かな?逃がす気はないよ?」
「そうではなく、番って何?繋がるって?」
「知らないの?」
「?」
「獣人は、人間でいうところの結婚が番になるってことだよ。獣人は、百年以上生きるから相手と繋がることで、自分と同じ年月を一緒に過ごすんだよ。獣性も強いから、独占欲もその分強いけどそこは愛し合っているから関係ないよね。番は普通に恋愛を通してくっつく場合と、運命の番に出会ってくっつく場合とがあるんだけど僕の場合は運命の方だったね」
「よかったじゃねぇか。主、こいつは強いから安心してください!・・・主?」
理由を教えてもらって、頭から湯気が出ちゃうんじゃないかってほど顔が真っ赤になった気がする。
ケイ君は涼しい顔でニコニコしながら教えてくれたけど、恥ずかしい!
「お・・・教えてくれて、あ・・・ありがとう」
「どういたしまして。僕からも聞いてもいかな?」
「あい」
「付き合ってる人はいるの?」
「えっ!・・・言わなきゃダメ?」
「できたら教えてほしいな」
嚙んじゃったよぉ!れれれ恋愛話なんかしないから、恥ずかしい!
顔がぁ!熱よ、収まるんだ!円周率とか唱えたら・・・無理!
「いいいい居ません!!」
「それはよかった」
「主のイメージがさっきから粉々に崩れていく・・・」
ショールさん、そんなことは今更ですよ。
森でスローライフを送ることはまだ諦めていないけど、今はしないといけないこともたくさんあるからね!
一人で暮らしていくつもりだったけど、ケイ君はどうなんだろう?
・・・一緒に付いて来てもらえるかな?
迷惑・・・かな?
「師匠、少し席を外してもらっても?」
「ケイ、睨むな。・・・はぁ、分かった分かった。外で鍛錬してるから、終わったら声をかけてくれ。・・・窓を開けるようなことはするなよ?」
「しませんよ。まだ大事に愛でてもっと仲を深めてから、いただくよ」
「お願いだから、せめて俺がいないところでやってくれな?」
「嫌だなぁ~どうして師匠に可愛いユウカを愛でさせなきゃいけないの?何?死にたいの?死に急いでも何もないよ?」
「怖っ!お前は本当にやらかしそうだから、ウソでも冗談でもそう聞こえないんだよ!」
「何かな?なんか言った?師匠?」
「ナンデモナイデス」
「窓を開けるようなこと?いただく?」
何それ?どういうことなのかな?
呆れた顔をしながら私の肩に手を置こうとして、ケイ君に叩き落とされていた。
「師匠?」
「だから睨むなって。・・・独占欲が過ぎると嫌われるぞ」
溜息をつきながら右手を挙げて手を振りながら、家から出ていった。
ケイ君は扉の方をじっと睨んでる。
ショールさんがいなくなった後、ケイ君は自分の膝に私を座らせて両手をガッチリと掴んで、目を合わせた。
こ・・・この体制は恥ずか死ぬ!
「・・・何ですか?」
「僕たちは運命の番だしこれからずっと一緒にいるんだから、敬語は無しだよ」
「私は人付き合いが苦手なので、敬語じゃなくなるのは難しいかもしれません」
ニヤァっと笑いだしたケイ君。
嫌な予感がする・・・
でも、そんな顔してもかっこいいなんて詐欺ですね。悪役にいそうだけど、どっちかっていうと腹黒のほうかもしれない。
・・・ケイ君から出ている黒いものが怖い!!何企んでらっしゃるの!?
「言うまで手は離さないからね。手始めに、ケイって呼び捨てにしてみようか。これくらいならハードルも低いからいけるでしょ?」
「・・・ケイ君」
「はい、お仕置き」
「うっ・・・だ、ダメ・・・待って!そこは!!」
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作者です
恋愛要素ようやく出てきましたよ!
裏話とかも作成中なので楽しみにしててください!
ツイッター始めました!
月光@アルファポリスで出てくるのでよかったら、フォローお願いします!
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