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年少期

十八話

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外見が今のままだと町の子供だと思われちゃうから、偽装して十八歳くらいの見た目にしてみた。

胸はしっかりありますよ!なかったら私が泣けてしまう・・・

最初は、無性ということにショックを受けてしまったけど、自分が思う性別に変化できることを知ったその瞬間から、女性にしましたよ!

男性になるなんて無理!

私は、男性にしか興味がないから!あっちの趣味はないよ!
偏見は持たない主義ではあるけどね。

門のところに立っている兵士さんに、冒険者カードを見せると案外素直に町から出れました。
ニヤニヤしていて、目線が胸を見ていたから殺気を出したら怯えて謝っていたのが面白かった。
先輩兵士さんに頭を叩かれて痛そうだったけどね。

街道から外れて、森の中に入ってセリアを呼びます。

精霊は基本、人間嫌いが多いらしい。
魔法を使うときに、強制的に力を奪われることがあるんだって。

私もそうなのでは?と聞いたら、私はセリアと契約したことで魔力が共有されているから大丈夫らしい。

なるほど、だから私と同じ魔法を使えるのか。


「悪魔によって異常が起こった場所はこの近くにあるの?」

「この森の中の奥に進んだところで、影響が出始めているところがあるから、そこを浄化さえすればここの辺りは大丈夫だよ」

「案内できる?」

「任せて!」


奥に進んでいくと、魔獣の森と違って薄暗くなっていく感じが不気味。
よく見ると、どこか霧のようなものがかかっているのが見えた。
霧といっても、白じゃなく黒だから余計に暗く感じるのかと自己完結したところで、セリアに呼び止められた。


「神子様、ここだよ!あそこの黒い渦ができているところが元凶になっているんだよ」

「うわあぁ・・・」

「あそこにいる騎士が門番の役割を果たしている感じがする。でも気を付けて!門番の魔力と渦の魔力が繋がっているから、魔法は無限に打てるようになってると思う!」


セリアの忠告に耳を傾けながら、戦闘を有利にする方法を頭の中でシュミレーションする。

門番の騎士は、こちらに気づいてないようだから先手必勝で行かないといけない。

騎士は、中身が骸骨でマントを羽織っている。
RPGで出てくる定番のモンスター、スケルトンと名付けよう!

騎士だから、スケルトン騎士!
安直だけどそこは・・・ね?

・・・スルースキルよ、今こそ真の力を発揮するときだぞ!

スケルトン騎士の周りを黒い靄が纏っていた。
剣も大剣に近い大きさだから、攻撃が来たら受け流す方向で行かないと力比べではこっちが不利。

魔法を使って行けば、いけるかな。

茂みに隠れて、光魔法のライトを最大光源でスケルトン騎士の目の前に出現させる。
スケルトン騎士の骨のうち、光を浴びたところが少し黒ずんだ。

私は違和感を感じて茂みから飛び出す。
さっきまでいたところに、短剣が刺さっていた。

・・・危なかった。

ここから離れないといけない気がして、本能的に離れたけど、そのまま離れなかったらなんて想像してブルッっと背筋が震える。

大剣を構えて襲ってきた騎士に対して、ジャンプしながら回転して攻撃を避けた後に騎士の懐に近づいて、黒ずんでいる骨の部分に聖属性の魔力を纏った短剣を刺す。

大剣は動きが大きく、一撃の攻撃も大きい代わりに隙ができやすい。

振り下ろして地面に埋まった剣を抜き、次の攻撃をしようと準備している隙に潜り込んでやったわけだよ。

騎士は、斬られたところを庇いつつ立ち上がろうとしている。

そんな時間を私は与えないよ?

私は騎士の前に立って、聖属性魔法の【バニッシュ】を唱える。
スケルトン騎士が纏っていた、黒い靄が光の粒に触れた瞬間消えていき、騎士も同じように消えていった。


「さっすが神子様!このままにしても、また別の門番が現れるだけだからこの渦を早く消しちゃおう!」

「うん!」


渦に両手を突き出して手のひらを重ね合わせる。

この渦は悪魔の力の源の一部にもなっていて、触れたものをすべてエネルギー化させてから悪魔の力として変化させ、渦を介して悪魔に供給されるという、はた迷惑な力を持っているらしい。


『我は、神の依り代なり。この器を利用し、この悪を浄化し賜え。器の願いを聞き届けよ。』


祝詞見たいなのを唱えると、自分が金色に輝きだして金色の光の粒が自分を中心に、周りを漂い始めた。

漂っていた光の粒が、渦だけじゃなく周りの木や地面に吸い込まれるように消えていっては、新しい光の粒が自分から生まれていく。

とても幻想的な雰囲気だけど、光の粒が生まれていくたびに魔力がごっそりなくなって、息が上がっていく。
魔力回復促進のために、その場に座り込んで座禅を組んで瞑想をする。
最初は、あの形じゃないといけないらしいけど、後は好きな体勢でいいんだって。


「神子様大丈夫?僕の魔力供給もしているから勢いよく魔力がなくなっているんだ。ごめん・・・。」

「大丈夫だよ。魔力量増やすための訓練をしていけばいいだけだし、MP回復上昇があるから回復量は多いいよ」


しゅんとして落ち込んでるセリアに瞑想をいったん止めて、よしよしと頭を人差し指で撫でてあげる。
セリアは「撫でるなぁ~~」と言っているようだけど、顔がゆるゆるに緩んで嬉しそうにしているから気にしていない。

幻想的な雰囲気の中で、二人で笑いあってこの風景を楽しみました。


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作者です!
 
たくさんの感想ありがとうございます!
誤字報告などは、確認次第修正しています。
今後もよろしくお願いします!

ようやく、1箇所目終わりました。
想像しやすいように、書いたつもりだけど、分かりにくかったらごめんなさい。
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感想 33

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