キツネと龍と天神様

放蕩なキツネ曰く

　不思議なことにこ現在、僕、キツネは人化の術を解いて人と暮らしている。

　魔女さんのお家で酔っ払って、夜道で眠たくなって、ついそのまま寝てしまったのが原因だ。

　どうやら拾ってくれたお婆さんは、畑仕事の帰りに僕を見つけたらしく捨てられた猫か何かだと勘違いしている。
「ぽちちゃん……、たまちゃんだったわね。ご飯よぉ」
　いや、キツネです。このお婆さんはパワフルな御仁で、早起きして畑で作業し何かのアルバイトをして生活をされていた。
　凄い元気で活動的な人、常に動いている。
　そして、僕のことを犬と勘違いして「ぽち」と命名してくれたけれどドッグフードを半分しか食べなかった――二日酔いで食えなかった――ので、猫だと再認識したよう。
　いや、キツネです。あと、僕は「たま」になったんですね、わかりました。
　あぁキャットフードが出てきた。


　三日目の朝、僕はお婆さんにお別れを告げようと枕元に赴く。
　短い間でしたがお世話になりました。
「たまや、また遊びにおいで」
　眠っているお婆さんが寝言。
　僕は、キツネです。