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歩くような速度の龍曰く
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いらっしゃい。と、店主が入口の青年に気が付いて声をかけた。
「何かお探しですか?」
店主が珍しく客に訊ねる、青年は「あ、いえ、ちょっと、その」と歯切れが悪い。
優しく笑いながら店主は「話を伺いましょう」と青年を近くに呼び寄せた。
「笑わないで、聞いてください」
「えぇ、聞きましょう聴きましょう」
青年は一拍おいて口を開いた。
「付き合っている人がいるんですが、どうにもおかしいんです。少し人間離れしているというか、不思議ちゃんとか天然ボケみたいなことではなくて、うまくは言えないんですけど、……例えば街中でとんでもなく美人で派手な格好していても誰の目も引かなかったり、真夜中に唐突にいなくなって朝にはちゃんと隣で寝てたり、ハンドバッグ一つで遊びに行くって言って三日間くらい帰ってこなかったり、あ、いえ、その間はちゃんと連絡はつくんですけど、浮気しているのかとも思ったんですけど、そういう感じじゃないんですよね」
店主が「それで何をお探しなんです?」と青年に問う。
「人ならざる者になれる薬……とかありますか?」
「何かお探しですか?」
店主が珍しく客に訊ねる、青年は「あ、いえ、ちょっと、その」と歯切れが悪い。
優しく笑いながら店主は「話を伺いましょう」と青年を近くに呼び寄せた。
「笑わないで、聞いてください」
「えぇ、聞きましょう聴きましょう」
青年は一拍おいて口を開いた。
「付き合っている人がいるんですが、どうにもおかしいんです。少し人間離れしているというか、不思議ちゃんとか天然ボケみたいなことではなくて、うまくは言えないんですけど、……例えば街中でとんでもなく美人で派手な格好していても誰の目も引かなかったり、真夜中に唐突にいなくなって朝にはちゃんと隣で寝てたり、ハンドバッグ一つで遊びに行くって言って三日間くらい帰ってこなかったり、あ、いえ、その間はちゃんと連絡はつくんですけど、浮気しているのかとも思ったんですけど、そういう感じじゃないんですよね」
店主が「それで何をお探しなんです?」と青年に問う。
「人ならざる者になれる薬……とかありますか?」
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