キツネと龍と天神様

霧間愁

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隠れきれないキツネ曰く

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 オオカミさんが試合にでるというので観に行く。
 と言っても、出場とかではなく演舞を披露するそう。
 「観にこん?」と言われてホイホイと行くことにした。

 オオカミさん親衛隊の女子たちが色めき立つ。
 が、ピリッとする会場内でそれらは封殺。
 オオカミさんが一礼してから、中央に立つ。
 構え、抜刀、半歩一閃、後ろにひいて上段に構え八相、一歩踏み込んで斬り下ろしてから、一歩引いて剣先を下にして血振、納刀して残心したまま直立。柄から手を下ろす。
 二歩歩んで、抜刀して横に一閃、半歩引いて半身になって下段の構え剣先を後ろに、踏み込みながら一気に上段に構えなおして振り下ろす、片手で横下に血振、納刀しながら直立に残心。柄から手を下ろす。

 幾つかの型を披露し終え、一礼して会場の端に移動したオオカミさん。親衛隊の面々はオオカミさんに声を出さずに手を振っていた。僕はぼんやりとそれを見ていた。
 かっこいいなぁ、と思っていると、オオカミさんは僕を見つけたようで、にっこりと笑って手を振ってきた。

 無論、親衛隊の面々からは睨まれました。
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