キツネと龍と天神様

空腹のキツネ曰く

　これは革命だ。
　なんという量、なんという値段、そして味。
　お腹いっぱいになれる量、お財布に優しい低価格、美味くはないが不味くもない。


　僕、キツネはその日、出先でおそろしくお腹が空いていた。
　このまま死んでしまうかもしれない、そんな恐怖感に支配され始めたとき、見つけた食堂に飛び込んだ。

　カウンターが五席、テーブル席が二席というこじんまりとした店内。ニコニコした初老の男性が、「いらっしゃい」と席に案内してくれる。
　一番安いメニュー“今日の定食”を選んだ。

　炒める音、切る音が聞こえて、出された今日の定食は野菜炒めだった。
「野菜は多めにしといたよ、お嬢ちゃん」
　いや、肉が好きだが？とは言えず、愛想笑い。これで不味かったらキレ散らかす、と決めた。

　今日の定食に向きなおる。
　量多！という第一印象。山になった野菜炒めとご飯。あとは小さく感じる普通サイズのお味噌汁。

　美味くない！でも、不味くもない！
　なので、絶妙に厭きがこない。


　会計でもう一度僕は驚愕した。