キツネと龍と天神様

霧間愁

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ぶらつく天神曰く

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 献上されたその不思議な箱は、遠い国の魔法使いが作り出したらしい。
「どう思う?宮廷占術師として」
 王が尋ねると、占術師は困った顔をして“資格”がある人間にしか開けられない箱はさぞ厄介な代物だと返答するしかなかった。
「“資格”か、……まぁ、宝物庫にでも入れておけば、そのうち価値が出るだろうよ」
 その国の王は、適当に嗤う。
 そして、片付けなければならない諸問題に向き合った。

 商人の息子は古市場で見つけた箱を父親に自慢した。
「これは、もしかすると、あの魔法使いが作り出した箱ではないのか?」
 父親の蒐集目録の中でみたから安く手に入れてきたのだ。父親にこれを買ってくれと頼む。
「この箱を王に献上すれば、御用商人になれるかもしれん。うむ、さすが我が息子」
 古物商人にして、父親の彼は息子を褒めた。

 盗掘屋の少女は、その小さな体を生かして墓や洞窟が崩壊しない最低最小の穴を掘って、侵入する稼業をしている。
 その日は、小さな箱だけだった。
 それでも今日一日分の飯代になると、盗品商のところに歩いた。
 今日の寝床はまだ決まっていない。
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