キツネと龍と天神様

霧間愁

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眼が冴えるキツネ曰く

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 真夜中の自動販売機の前で買うものを決めかねている僕、キツネです。

 中二心が疼く時間ですね。僕は、夕方から寝たせいで目が覚めてしまっただけなんですけど。
 この時間は同類が活動する時間帯で、見知った顔とすれ違います。

 そう言えば、幾分か前には「経験値稼ぎだ」とか「世界を救うんだ」とか言って若者数人が暴れまわっていたらしいですけど、どうしたんでしょうか?
 ここのところ、噂も流れてきません。
 静かになったのはいい事です、誰も彼もが争いや野心を好むわけではないですからね。

 このまま帰って寝るなら、温かい檸檬味。
 少し散歩して帰るなら、温かいココア。

 そうだ、この時間にしか会えない知り合いにでも会いに行きましょうか。

 僕は自販機の取り出し口から、熱いくらいの缶を取り出してポケットにしまう。
 夜は短し、歩けよキツネ…、なんてね。
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