129 / 366
未来を思い出す天神曰く
しおりを挟む
曲芸団に飼われる一匹の獅子。
年寄りの獅子は、今日も眠っている。
「アナタはいつもそうやって寝てるの?」
迷い込んだ客の子供が、獅子に訊ねた。
「そうだね、本番があるまで、こうやって眠るのさ」
獅子が眼も開かずに答えた。
「狭くない?」
「寝るには十分」
欠伸。
「まぁるい舞台でアナタが恐ろしく吠えているのをみたわ」
「あぁ、あれはね。そうしろと言われているからそうしてるだけだよ」
「アナタを使役する人の鞭が当たって痛そうだったわ」
「あれはね、当たってないんだよ。痛がってるフリさ」
子供は不思議な獅子を見ていた。
「この檻の中は、私の王国だ。どんな姿勢で寝ても怒られないし、何をしろとも言われない。まぁ檻の外は違うがね。君は君の王国を持っているかね?」
子供はあははと笑う。
「私は、持ってないわ」
「じゃあ、持つと良い。それを守るために強くも弱くもなれる」
「弱くはなりたくないかな」
「なら、強くなればいい」
そう言うと獅子は、眠ってしまった。
年寄りの獅子は、今日も眠っている。
「アナタはいつもそうやって寝てるの?」
迷い込んだ客の子供が、獅子に訊ねた。
「そうだね、本番があるまで、こうやって眠るのさ」
獅子が眼も開かずに答えた。
「狭くない?」
「寝るには十分」
欠伸。
「まぁるい舞台でアナタが恐ろしく吠えているのをみたわ」
「あぁ、あれはね。そうしろと言われているからそうしてるだけだよ」
「アナタを使役する人の鞭が当たって痛そうだったわ」
「あれはね、当たってないんだよ。痛がってるフリさ」
子供は不思議な獅子を見ていた。
「この檻の中は、私の王国だ。どんな姿勢で寝ても怒られないし、何をしろとも言われない。まぁ檻の外は違うがね。君は君の王国を持っているかね?」
子供はあははと笑う。
「私は、持ってないわ」
「じゃあ、持つと良い。それを守るために強くも弱くもなれる」
「弱くはなりたくないかな」
「なら、強くなればいい」
そう言うと獅子は、眠ってしまった。
0
お気に入りに追加
5
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる