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頭痛持ちの天神曰く
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小さな喫茶店をひらいている夫婦がいたわ。
男は町一番の珈琲を入れることができて、女は笑顔が評判の店だった。
ある時、逃走中の男が逃げ込んできた。
夫は「いらっしゃい」と声をかける。妻はこちらですと席に案内した。男は刃物を突き出して言う。
「静かにしろ、動くな」
「お断りします」
夫はそう言って、男の為の珈琲をいれる。妻は何でもないように店内の整理を続けた。
「見えないのか?」
「見えてますとも」
二人に男は怖気づいたが、刃物を持つ手に力を入れた。
淹れたカップから珈琲の匂い。笑顔の妻が案内した机に置く。
「どうぞ」
男が恐る恐る珈琲に口をつける。
「毒なんて入ってませんよ」
夫が冗談っぽく言うと、妻が笑った。男も少し笑ってしまった。
扉の外を窺いながら、男が珈琲を飲み終わる。
「お急ぎなのでしょう?今日のお代は、ツケておきますね」
妻が笑顔で男を送り出した。
数年後、男が代金を持っていこうとしたその日に、刃物を持った強盗に襲われた。
男は町一番の珈琲を入れることができて、女は笑顔が評判の店だった。
ある時、逃走中の男が逃げ込んできた。
夫は「いらっしゃい」と声をかける。妻はこちらですと席に案内した。男は刃物を突き出して言う。
「静かにしろ、動くな」
「お断りします」
夫はそう言って、男の為の珈琲をいれる。妻は何でもないように店内の整理を続けた。
「見えないのか?」
「見えてますとも」
二人に男は怖気づいたが、刃物を持つ手に力を入れた。
淹れたカップから珈琲の匂い。笑顔の妻が案内した机に置く。
「どうぞ」
男が恐る恐る珈琲に口をつける。
「毒なんて入ってませんよ」
夫が冗談っぽく言うと、妻が笑った。男も少し笑ってしまった。
扉の外を窺いながら、男が珈琲を飲み終わる。
「お急ぎなのでしょう?今日のお代は、ツケておきますね」
妻が笑顔で男を送り出した。
数年後、男が代金を持っていこうとしたその日に、刃物を持った強盗に襲われた。
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