キツネと龍と天神様

霧間愁

文字の大きさ
上 下
13 / 366

強気に粋がるキツネ曰く

しおりを挟む
 画面で出撃の合図。
 僕、キツネはマウスを持つ手に力を込めてしまう。
 りらっくすリラックス、とキーボードのWSDAの指の置き位置とQEの位置を指を動かして確認。

 軍曹が僕の操作するキャラに何か話しかけているが、外国語なので理解できない。字幕も流れてるけど、表示時間が短くて見逃してしまう。
 きっと頑張れとか言ってるんだ、と思う。

 小指と親指を伸ばす。TabとShiftとControlに少し届かないこの手が憎い。
 別ゲーで白い死神シモヘイヘと呼ばれた僕の実力を見せつけてやると、意気込むと次第に緊張が高まっていく。
 game開始の合図と共に、銃声。

 え?一体何が起こったんだろう、と理解できないままに画面にはGameoverの文字が表示されていた。
 どうやら敵の狙撃手に撃たれたみたい。

 なんだよ、このクソゲー。あの狙撃手のプレイヤーの今週の運勢下げてやる。

 と、憤慨しながら僕は次のゲームマッチへの準備ボタンをクリックした。
しおりを挟む

処理中です...