黒の陰陽師

文月くー

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第一章 学園生活

第二十八話 別れ

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ここにいる全員が理解できていないようだ。
そりゃそうだ。
何故ならば、十二天翼である俺が、十禍将であるなんて話を急に言われたのだから。

「考えてみろ?怨怪の親玉の左目が俺の目に入ってて無事なわけないだろ?
これが俺の秘密だ。」

静寂に包まれた病室。

そんなところに、アホな声が聞こえてきた。

「あ~あ、約束、破ったね。燐くん。」

「…安倍晴明…!!」

安倍晴明は残念そうな顔をしながら近付いてきた。

「これは明らかな命約違反だ。従って君には死んでもらうと言いたいところだけど、そうもいかなくなっちゃったんだよね。だから君にはとりあえず、学園を退学してもらうよ?それで、月虹騎士団に所属してもらうことになる。いいかな?というより、これはもう決定事項なんだけどね。」

死ぬのは覚悟していたが、まさか死ななくてよくなったなんて。
ただ、学園を辞めるのかー…。
仕方ない。
俺の自業自得なんだから。

「わかりました。すぐに準備します。」

「あー違う違う。君が学園を出るのはクラスマッチが終わってからだよ?クラスマッチでは十二天翼として出て貰うけれどね」

そのぐらいなら良いか。
しかし、アホ晴明の要望は続く。

「それとだけど、クラスマッチ、最有力の、次期〝十二天翼〟の中でも特に強くて既に霊装すら使える黄烙未来ちゃんには、〝十二天翼〟としての全力を見せてあげてほしい。その為なら、魔刀も霊装も使っていい。それどころか、、を使っても良いよ。」

うえ?!
そこまで本気でやるのかよ。
正直手加減とか出来ないんだけど。
その心情を読んだように、

「そのために舞ちゃんがいるんだろう?」

はぁー、やってやるか。

「了解ッ。」

死ぬ未来は回避されたのだった。






~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



【未来side】



「…―らい」

誰かが私を呼んでる。

「みらい!」

「わっ!」

飛び起きた未来。

「やっと起きたかー。もう!みらいったらお昼の時間終わってからずぅっと寝っぱなしだったんだよ??ちょっとは授業を真面目に受けようよ!」

未来を起こしてくれて、お説教までしてくれたのが、銀聖しろがねひじりで、物心ついたときから一緒にいる親友である。

「わかったよー。次は頑張るー」

「はぁー。まぁいいや。そういえばみらいさー、クラスマッチ、誰が現〝十二天翼〟だと思うー?」

未来は少し考えてから

「どうだろー、なんとなく1人、他の人とは圧倒的に卓越してるような気がする人がいるにはいるけど、ぼんやりしてて分からないんだよなー。」

「みらいがぼんやりしかわからないってヤバくない?」

そう、未来が一番優れているところこそ、もはや神が為せる業にまで高みへと昇格されている観察眼なのだ。

「まぁ、それだけが私の取り柄じゃないから大丈夫だよー」

「学生で霊装使えるのなんてみらい以外、いないもんね。」

「んー」

しかしまだ、この時二人は理解できていなかった。
〝十二天翼〟、それも、〝殲天翼〟という存在がどれ程、別次元なのかを。

そして、クラスマッチの本選が始まるのだった。


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