そして鬼と成る

文月くー

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ミーティング

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(雫の奴、復帰試合早々『無我の境地』に入りやがったよ…!!)
そう。
雫は、『無我の境地』に入っていたのだ。
だが、その状態にいつでも入れると言うわけではない。
入るにも条件と言うものが存在する。

まず、第一の条件、一定以上の呪力を持っていること。

そして第二の条件、一定以上の技術を身に付けていること。

最後に第三の条件、それは、呪術技が好きであることだ。

しかし、この3つの条件をクリアしていても、〝自分のトリガー〟を把握しておかなければならない。
もちろん、雑念があっても入れない。
『無我の境地』は、いわば、〝極限集中状態〟なのだ。

(まぁ、雫のトリガーは…あれだろうな。本人は気付いてないけど)

大河は、嬉しそうに、雫の復帰を喜ぶのだった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

結局勝てたのは、俺と大河の二人だけだった。
そして体験入部も終わりとなり、俺達は、早々に帰路に着いたのだった。   

        *          *           *            *          *           *          *            *           *           *         *      

一方その頃、部室では、不知火、黒神、水輝の三人がミーティングをしていた。

「あの月詠君って子、何者?」

と、水輝が聞く。
すると、黒神が

「〝酒呑童子〟って知らない?」

「それって、小学生部門三大タイトルに四年間、常に王者として君臨し続け、それも最年少記録まで立てて、次世代の〝覇王〟とまで謳われていたのに、中学になって、突然いなくなった、あの消えた天才だよね…!?」

「そう。それが彼だよ。
その強さは他と異常なぐらい隔絶している。
流石に『十柱』と戦り合ったら、どうなるか分からないけどね。」

三人が話していると、二十代前半とおぼしき男が入ってきた。

「華楽先生。今日は随分とニコニコしていますね」

不知火がそう聞くと、華楽は答える。

「いや~、今週の土曜日、海全との合同練習試合が決まってね」

と、軽く告げる。
しかし選手からすると、大問題なのである。
なぜなら―――――

「海全って、『十柱』が一人、『参ノ柱』〝剛鬼〟剱崎宇龍〈けんざきうりゅう〉を獲得したところですよね…?!」

そう。『十柱』の一人が海全にいるからなのである。
すると、華楽は、

「でもウチにも入ったじゃないか。『十柱』の一人が」

と、あっけらかんに言う。

「そうでしたね」

もう既に、諦めモードに入っている黒神。

「今年はウチが頂上〈てっぺん〉を、獲りにいくんだからね。
このぐらいの事で、文句言わない、言わない」

こうして、ミーティングは終わったのだった。

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