そして鬼と成る

文月くー

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登校

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目が覚め、いつもより少し早く起きると、学校の準備を済ませる。
そう。今日は高校の入学式なのである。
そして俺、月詠雫〈つくよみしずく〉は、近くの進学校の春峰高校にこの晴天の中、入学するのだ。
俺は玄関で靴を履いていると、後ろから母さんが話しかけてきた。

「雫?頑張ってきてね?」

と声をかけてくれる。なので俺も

「うん。行ってくるよ」

と答える。すると、母さんはさらに釘を刺すように、付け加える。

「呪術技だけは、駄目だから…。」

と。
俺は、いつものように答える。

「うん。わかってる。それじゃ行ってきます」

俺は、呪術技だけは、絶対にやらない。
           
     *                   *                  *                   *       

「おっはよー!!って、どうした?高校入学初日早々疲れた顔してー」

こいつは赤石大河〈あかしたいが〉。
俺の幼馴染で、文武両道を具現化させたようなパーフェクトイケメンだ。
とても明るく、友達もおおくて、なにより友達思いな皆の人気者である。
俺とは真逆の存在なのに、常に隣にいる不思議な奴でもあるのだが。

「いやー、朝からうるさい奴が隣にいるからなー」

と、俺は決まり文句を言う。
大河も軽くスルーして、話題を変えた。

「今日から俺達も高校生かー」

「まさか二人で入るとは、思ってなかったけどなー」

少し苦笑いしながら、適当に答える。
すると、大河が、真剣な表情になり聞いてきた。

「で、どうすんだ?呪術技。言っとくけど、俺ははいるぞ?後な、俺はまだ、お前の事をライバルだと思ってる。」

「…俺は、わからない。だけど、母さんを悲しませたくない…。」

「…わかった。」

大河も一応、納得してくれたようだった。
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